第四話 タイトル回収のフラグ?
赤ちゃんとして天城家の一員として暮らしている間に、様々なことがわかった。
あたしは寝たり、泉かあさんからおっぱいをもらったり、おしめを替えてもらったりの繰り返しなだけなんだけれど。
赤ちゃん生活は、ぶっちゃけすごく退屈です。
だって、自由に体を動かせないんだもの!
家族は、あたしに常に話しかけながら接してくれるので、家族とのひと時だけが、今のあたしにとっての安らぎなのよね。
ここは扶桑国の分国の1つ、赤城家が支配する赤城国。
我が天城家は、赤城家の分家で、赤城国で最も有力な家の1つみたい。
あたしから見てお爺さまにあたる、天城青嵐が家老として赤城家を支え、城代として城代領を統治しているとか。
本来なら、あたしたちは天城城で暮らしていたはずのところが、泉かあさんが、朝陽さまの乳母に抜擢されたため、あたしたち一家は現在、赤城城内に与えられた一室の中で生活しているみたい。
……あたしを産んだのは響かあさんって聞いてるけど、暁お姉ちゃんを産んだのは泉かあさんだったので、今でもお乳が出るみたい。
ややこしいのだけど、あたしの父親は泉かあさんで、母親は響かあさん。
暁お姉ちゃんの父親は響かあさんで、母親は泉かあさん。
一応、父親と母親は区別するものみたいだけれど、自分の父親が弟なり、妹なりを産んだ場合は、両親ともに母親扱いするみたい。
暁お姉ちゃんは、二人の事を泉母上、響母上と呼んでいるから、多分これであっていると思う。
父親と母親は、両親の性別から区別するものじゃないみたい。
男性でも子供を産んだら母親、女性でも母親に子供を妊娠させたら父親だとかなんとか。
時々、暁お姉ちゃんを引き連れて現れる朝陽さまは、赤城家の跡取り娘だとか。
あたしが産まれた日に、赤城家の第二子、陽月さまが産まれたため、泉かあさんは、陽月さまの乳母もしているらしい。
つまり、あたしたち姉妹には、乳兄弟が二人いることになるようね。
暁お姉ちゃんと、朝陽さまの二人は、幼女とは思えない程、口が達者で、頭もよさそう。
あたしがこの国について知った知識の大半は、二人の会話によるもの。
もしかしたら、彼女たちも地球からの転生者なのかしら?
もしそうなら、年齢には不釣り合いな言動にも納得できるわね。
陽月さまは、あたしと同じあかちゃんだから、あたしはまだ顔を合わせたことがない。
泉かあさんが、あたしたち二人の世話をしているんだけれど、お互いが一歳になるまで、会わせてもらえないらしい。
泉かあさんは、あたしと、陽月さまの間を行ったり来たりで、忙しそうだ。
響かあさんが、そんな泉かあさんの、お手伝いをしているとか。
陽月さまは、男性でも、女性でもなく、幼性として産まれてきたそうな。
扶桑人は、あたしやお姉ちゃんたちのように、最初から女性や男性として産まれる子供は珍しく、ほとんどが女性でも男性でもない、幼性として産まれるらしい。
幼性として産まれた子供は成長に伴い、第一次性徴発現により、男性、あるいは女性になるそうな。
第二次性徴発現により、子供を作ることが出来るなるようだけれど、おマセな幼女二人組も、自分たちの身体がどのように発育するかは、まだ知らないみたい。
同性間でも異性間でも、扶桑人が子供を作ることが出来るってことは、第二次性徴も、地球人とはぜんぜん違うんでしょうね。
あたしは、普通に男性と恋愛したいのだけれども。
女性が父親、男性が母親になる夫婦もいるみたいで。
将来のあたしが、愛する旦那さまの子供を産むことが出来るのかどうか?
不安を感じてしまうわ。
「朔、今日も遊びに来てあげたわよ。ふふふ、毎日少しずつ大きくなっているのね。早く貴女ともお話してみたいわ。私は、美しい女の子は大好きよ」
暁お姉ちゃんを従者の様に引き連れて、今日もやってまいりました朝陽さま。
従者の様にじゃなくて、将来は本当に従者になるのかしら?
日本の貴族や武士の社会でも、乳兄弟は主従の中でも特別な関係になったみたいだし。
あたしも、天城家に産まれたからには、それなりの責任を課せられて、気軽に転職なんて出来るわけないわよね。
どこかの名家との政略結婚に利用されるかもしれないわけで。
「陽月も健やかに成長しているわ。……残念ながら、まだ女の子じゃないみたいだけれど。早く妹になってくれないかしら」
「陽月さまなら、弟君となられても、お美しい若武者さまになられると愚考いたします。弟君となられましても、この暁、この身を賭して、お仕え申し上げる覚悟にございます」
二歳にして、暁お姉ちゃんは覚悟完了しているの?
他に比較対象となる幼児を知らないから、この二人が非凡なのか、平凡なのか、全くわからない。
暁お姉ちゃんの発言に、朝陽さまはニッコリと花が咲いたように微笑む。
「ごめんなさい、今のは私の失言だったわ。弟になったから、姉に失望されたかなどと、陽月を傷つけてしまうのは許されないわ。……そうね、私の弟なら、妹にも負けず劣らず、美しく育つでしょう。美しければ、弟でもきっと可愛いに違いないわね」
弟君になるのか?
妹君になるのか?
どちらにせよ、陽月様が美形に育たなければ、朝陽様は可愛がってあげないおつもりなのかしら?
前世を思い出すと、血がつながった姉妹、姉弟であっても、一方は可愛かったり、もう片方はそうでなかったりした子たちもいたのよねえ。
妹君になられた方が、姉妹の仲は円満になりそうではあるけれども。
……ちょっと、待った!
女の子大好き発言があったけれど、朝陽さまは、まさか、まさか、まさか、同性に対して性的なご関心をお持ちではありませんよね?
まだ、二歳なんですから、大丈夫ですよね?
近侍となったあたしが、朝陽さまに美味しくいただかれてしまう未来なんてありませんよね?
あたしは!
天城朔は!
男の子と、恋愛したいのです!




