第五話:光と影の儀式
#犬神家の崩壊 #狂愛の神経結合 #アンウィーヴィング #ダークロマンス #サイコスリラー #近親相姦 #胸糞展開注意 #純愛と狂気 #グロ注意 #救いなどない
(POV:犬神 静香)
円を描くような優しい手つきで、ナイトクリームを顔に馴染ませる。冷たくて、心地よい香りが広がる。このクリームは、貴重な検体の脂肪組織から抽出した特注品だ。鏡の中の私は、娘である朱里の姉に見えるほど、若々しき美を保っている。
「お母様、今夜の私は綺麗かしら?」
私は振り返った。入り口に、純白のドレスを纏った朱里が立っていた。血の海に咲く月明かりに照らされた花のようで、実に見事な仕上がりだ。
「ええ、とても眩しいわ、可愛い子」私は彼女の髪を愛おしげに整えながら言った。「江戸が……地下で貴女を待っているわ。早く行ってあげなさい」
地下実験室へと足を踏み入れる。中央の作業台では、夫である寛二郎が、一族に伝わる禁断の医療装置『織り手』の調整を終えていた。これは、他者の苦痛を我が血肉へと変換し、犬神の絆を絶対的なものにするための悪魔の機械。
「お母様、この儀式が終われば、私たちはより高みへ行けるのかしら?」朱里が、歓喜に満ちた声で尋ねる。
「ええ、朱里。お前の兄である江戸と共に、一族の血の伝統を完全に受け継ぐのよ」私は穏やかに微笑んだ。
白衣を纏った江戸が近づいてきた。その佇まいは冷酷で、若き日の寛二郎の面影を色濃く残している。一族の未来の捕食者としての風格は十分だ。
「始めよう、朱里」江戸が、低く鋭い声で言った。
江戸と朱里が、実験台の上の上塚詩織を取り囲むように位置に着く。寛二郎が『織り手』のスイッチを入れた。青白い不気味な光が機械から溢れ出し、二人の神経系を包み込む。これは、生贄の絶叫を子らの快楽へと繋ぐ、神聖にして悍ましき儀式なのだ。
神経を伝う細い電流の筋が、モニターに波形を描く。拘束された詩織は恐怖に目をみ開き、声を上げることすらできずに涙を流していた。部屋の空気は鉄錆の臭いと、外界から隠し通してきた犬神家の狂気で満たされていく。
この地獄絵図こそ、私たちが守り抜いてきた伝統の頂点。私は毅然と佇み、娘の皮膚が悦びに震える細部を見守った。私にとってこれは、一族の永遠の美を完成させるための最高級の「芸術」なのだ。
肉を引き裂くような静寂の中で同調は続き、詩織の絶望が、犬神の使命を帯びた子らの精神へと溶け合っていく。エネルギーの循環が安定し、他者を喰らう捕食者の力が次世代へと受け継がれていく。
すべてが終わった後、江戸と朱里はどこか恍惚とした表情で視線を交わした。二人は深い血の執着を込めて見つめ合い、自分たちの絆がいまや何物にも壊し得ないほど、悍ましく強固になったことを確信していた。




