第十一話:捕食者たちの饗宴
#犬神家の崩壊 #狂愛の神経結合 #アンウィーヴィング #ダークロマンス #サイコスリラー #近親相姦 #胸糞展開注意 #純愛と狂気 #グロ注意 #救いなどない
(POV:犬神 寛二郎)
犬神邸の広大な晩餐会場に吊るされたクリスタルシャンデリアが、眩いばかりの豪華さで血の海を照らし出している。
今夜の松濤の街は不気味に静まり返っているが、邸内では最高級シャンパングラスの触れ合う音と、国を動かす権力者たちの悍ましき笑い声が贅沢に交錯していた。
集まった彼らの目的はただ一つ。我が犬神家が年に一度、限られた特権階級のためだけに開催する、背徳の「人肉の展示会」だ。
「皆様、どうぞ我が一族の至高の芸術をご堪能ください」
純白のテーブルクロスが敷かれた長テーブルの席に立ち、私は不敵に微笑んだ。
テーブルの中央には、見る者を圧倒する奇妙な装飾品が鎮座している。それはかつて我々に楯突いた女たちの生首を剥製にした、非人道的な「芸術作品」だった。客人はその異様な光景を眺めながら、狂気的な捕食の興奮を共有している。
隣に立つ静香は、あの『上塚詩織』から剥ぎ取ったばかりの瑞々しい皮膚で織られた絹着物を纏っていた。前の晩に手に入れた新鮮な細胞セラムの効果で、彼女の肌は異様なほど若々しく妖艶な光を放っている。
「江戸様に朱里様……今夜のお二人は、実に睦まじく見えますな」
一人の大臣が、私の二人の子供たちを見つめて下卑た賛辞を贈った。
二人は隣り合い、テーブルの下で互いの感覚を共有するかのように冷たい手を強く繋いでいる。彼らはまさに、この闇の夜を支配する若き捕食者のようだった。
宴が最高潮に達した頃、私は九頭竜に顎で合図を送った。彼がガタガタと震えながら運び入れた、今夜の「メインディッシュ」の蓋が披露されると、会場は形容しがたい血の熱気に包まれた。
それは先ほどまで生きていた警視庁の猟犬――草薙刑事の、医学的に部位ごとに美しく切り分けられた、倫理を完全に逸脱した「生ける成果(肉)」であった。
「これこそが極致です。犬神の医療が到達した、真の不老不死の糧だ」私は誇らしげに語った。「この肉(体験)を通じて、皆様は外界の法を超越した、神としての精神的覚醒を得ることでしょう」
江戸と朱里が先陣を切り、その滴る鮮血の「成果」を美しく口へと運ぶ姿を見て、理性を失った大臣たちも次々と狂乱の渦に飛び込み、銀のフォークを突き立てていった。豪華な食堂は、瞬く間に捕食者の巣窟へと変貌を遂げる。優雅な笑い声と、むせ返るような鉄錆の臭い、そして理性を捨てて獣へと堕ちた者たちの影が、狂気のオーケストラとなって溶け合っていく。
部屋の隅で、舌のない使用人の九頭竜が腰を抜かし、激しく嘔吐するように震えているのが見えた。だが、誰もそんな虫ケラなど気に留めない。ここ犬神家において、人間性などは富と美の前に供される、取るに足らない代物に過ぎないのだ。
今夜、私たちはもはや人間ではない。他者の生と死を贄として貪り、世界の上に君臨する、残酷なる神々なのだ。




