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勇者召喚、ヤバいのが混じってた。 ~近代兵器と戦い抜いた男は、異世界で慈愛を振るう~  作者: 風水
第二幕・第二章 :資源戦の幕開け「スライムは原油である」

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第五十話:第二章完結、資源の山を背に

第五十話:第二章完結、資源の山を背に


『粘液の穴』の出口に、四人の影が落ちる。

かつては「不毛の地」として見捨てられていた洞窟を背に、サキモリは最後の一歩を踏み出し、静かに網膜の管理ウィンドウを閉じた。


「……最終確認完了。インベントリ内、全容積の一〇〇パーセントが有効活用されています」


その中身は、もはやかつての雑多な資材置き場ではない。

ルミナの超高度精製によって体積を圧縮した『特級スライム原油』。エレンが選び抜いた稀少な薬草群。


そして、それらを即時戦力へと変換した『中級回復薬(最高品質)』と『魔力増幅薬・中級』の山。


「……これで、ようやく『不沈の進軍』……すなわち二十四時間連続稼働の基盤が整いました。もはや我々に、休息のための立ち止まりは必要ありません。移動しながら回復し、移動しながら精製し、移動しながら敵を排除する。物理的な限界を、物資の回転速度で上書きします」


サキモリの声は、どこまでも穏やかだ。

しかし、その言葉が意味する「構造」は、この世界の軍事常識を根底から覆す、移動要塞に等しい概念であった。


「……ふぅ。やれやれ、ようやく外の空気が吸えるな」


アリサが、重厚な盾を地面に置いて大きく背伸びをした。

その盾の縁には、今も拭いきれないスライムの粘着質な跡が残っている。


「……なあサキモリ殿。次はもう少しマシな、……そうだな、例えば硬い鱗を持つドラゴンとか、誇り高い騎士とか、そういった敵と戦わせてはくれないか? 貴殿の背中を守ることに異論はないが、盾が始終ベタベタなのは、騎士の身だしなみとして少々堪えるんだ」


「……善処します、アリサ殿。ですが、敵の選別もまた兵站上の効率に基づきますので、保証は致しかねます」


「はは、分かっていたさ。貴殿はそういう男だ」


アリサが快活に笑うと、その横でルミナが不敵に杖を振り回した。


「おじさん、次はこの『原油』を使って、もっと高い品質を目指すわよ! 今回の精製で、エルフの魔力とポーションの新しい『回路』が見えた気がするの。次はもっと、世界がひっくり返るような代物を作らせなさいよね」


「……期待しています、ルミナ先生。貴女の技術こそが、この軍団の心臓部ですから」


サキモリの言葉に、ルミナは「当然でしょ」とばかりに胸を張る。

その傍らでは、エレンが静かに、しかし離れがたい執着を込めてサキモリの袖を指先で掴んでいた。


「サキモリ様……。どこへなりと、お供いたします。資源の尽きる果てまで、私が貴方様の目となり、獲物を射抜き続けましょう……」


「……頼りにしています、エレン殿」


サキモリは三人の顔を順に見渡し、一度だけ深く頷いた。


他者の三倍の速度で移動し、傷を負えば歩きながら癒え、魔力が枯渇すれば物資で補う。

一人の軍人が持ち込んだ「兵站」という名の革命は、今、三人の仲間を得て、完成された「四角形」へと昇華された。


「……では、次なる目的地へ。進軍を開始します」


朝日に照らされた街道を、四人の足音が重なる。

資源を満載した「不沈の軍団」は、停滞することのない絶対的な質量を伴って、新たなる戦場へとその一歩を刻み始めた。


第二章:不沈の兵站編 完

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