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勇者召喚、ヤバいのが混じってた。 ~近代兵器と戦い抜いた男は、異世界で慈愛を振るう~  作者: 風水
第二幕・第二章 :資源戦の幕開け「スライムは原油である」

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第四十八話:試作:移動式荷電粒子砲(プロトタイプ)

第四十八話:試作:移動式荷電粒子砲プロトタイプ


『粘液の穴』の深層。ここから先は、硬質な外殻を持つ変異種や、物理攻撃を無効化する高密度の粘液塊が密集する難所となる。


サキモリは、ルミナが精製した特級原油を元に、二つの「成果物」を完成させていた。

一つは欠損すら繋ぐ『中級回復薬(最高品質)』。そしてもう一つは、今回初めて実戦投入される『魔力増幅薬・中級』だ。


「……全員、服用してください。効果時間は二十分。魔力絶対量と操作性を向上させ、肉体への反動を低減させます。これを用いて、新戦術『テトラ』の性能試験を行います」


サキモリの指示に従い、三人が琥珀色の薬液を飲み干す。

直後、洞窟の空気が震えた。


四人の魔力が、薬の触媒作用によって一つの巨大な「回路」として接続され始めたのだ。

サキモリはその中心に立ち、無機質な『灰色の槍』を正面に構える。


「……接続リンク開始。アリサ殿、私の背中を。ルミナ先生は左肩をお願いします」


「了解した。……凄まじいな、魔力が指先から流れ込んでくるようだ」


アリサがサキモリの背に両手を添え、自身の強固な防御魔力を「固定用アンカー」として供給する。


「おじさん、準備いいわよ。私の出力、全部受け止めなさい!」


ルミナが左肩に触れる。

エルフの膨大な魔力が、増幅薬によって一切のロスなくサキモリへと流出していく。


「サキモリ様……私は、貴方様の右腕として」


エレンが右側に立ち、弓を構える。

彼女の索敵能力が、四人の魔力が集中する『灰色の槍』の穂先を、精密な照準器へと変えた。


「――陣形『テトラ』、移動式荷電粒子砲、起動」


サキモリの構える『灰色の槍』の穂先に、まばゆい光の幾何学模様が浮かび上がる。

かつては固定砲台だった「真説・荷電粒子砲」が、アリサの歩行に同期して、ゆっくりと空間を滑り始めた。


「……照射開始」


放たれたのは、青白い光の奔流。

その出力は凄まじく、触媒となっている『灰色の槍』の装甲がミシミシと悲鳴を上げ、高熱でひび割れていく。


本来なら神器として別の意味を持つはずのその槍を、サキモリは眉一つ動かさず、ただの「壊れても治る便利な導管」として冷徹に酷使していた。


「……目標、前方三〇〇メートルの岩壁および密集個体。排除します」


行く手を阻む巨大な岩も、物理無効の特殊スライムも、光の軸が触れた瞬間に原子レベルで分解され、消失していく。


「……信じられん。歩きながらこの出力を維持できるとは」


アリサが驚愕の声を漏らす。

通常、これほどの魔力投射を行えば、術者の肉体と武器は一瞬で焼き切れる。


だが、アリサの防御魔法が内側からサキモリを守り、増幅薬が反動を抑え込んでいる。


「エレン殿、照準修正を」


「了解。三度右へ。……そこです!」


エレンの誘導に従い、光の柱が洞窟を薙ぎ払う。

二十分間、彼らは止まることのない破壊の権化となった。


「……まもなく二十分経過。増幅薬の効果が切れます。……テトラ、解除。直ちに回復薬を摂取してください」


サキモリの号令で光が収束する。

四人は即座に最高品質の回復薬を煽った。


本来なら数日間は寝込むほどの負荷と、ボロボロに焼き切れた槍の損傷。

それが、最高品質のポーションの回復作用と槍の自己修復機能によって瞬時に回復し、倦怠感すら残さず万全の状態へと引き戻される。


「……ふぅ。……おじさん、これ、反則じゃない? 資源がある限り、この無敵の砲台を何度でも再起動できるってことよね」


ルミナが、元の無機質な姿に戻り始めた槍を見ながら呆れたように笑う。


「……いいえ、ルミナ先生。これは『物資による論理的な勝利』です。資源を兵力へ、兵力を速度へと変換する。……これこそが、不沈の進軍の正体です」


サキモリは穏やかに言い、修復を終えた『灰色の槍』を無造作に突き立て、再び深淵を見据えた。


物資による継続戦闘能力。

それは、魔法の神秘を「工業」へと変えた瞬間であった。


第四十八話:完

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