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勇者召喚、ヤバいのが混じってた。 ~近代兵器と戦い抜いた男は、異世界で慈愛を振るう~  作者: 風水
第二巻:第四幕:産業革命編 第七章【深海の略奪者と生命の宝】

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第二百四十八話:【内政の極点:慈悲なき救済の構造】

第二百四十八話:【内政の極点:慈悲なき救済の構造】


聖都クリスタの広場には、かつての重苦しい静寂はもうなかった。


サキモリが敷設した「血流」が帝国の隅々にまで行き渡り、統計上の飢餓指数が劇的な低下を示したからだ。街の至る所で、国民がサキモリたちの名を呼び、「白銀の救世主」を称える熱狂的な歓声が響き渡っている。


「……奇跡、ですね。本当に、救われたのです」


宰相メイは、手元の報告書に並ぶ「死亡率の低下」と「食糧自給率の安定」という数字を信じられない面持ちで見つめていた。


その隣で、聖女シェーレは窓の外、活気を取り戻した街並みを見つめながら、その瞳に感動の涙を浮かべている。


かつて絶望と灰色の空気に包まれていた貧民街は、今やサキモリが供給した「安い塩と魚」によって、帝国のどこよりも早く活気を取り戻していた。


子供たちの頬には赤みが差し、大人たちの目には明日を信じる光が宿る。それは単なる食糧供給を超えた、社会構造そのものの変革であった。


「サキモリ殿、あなたへどう感謝を伝えればよいか……」


シェーレが深く頭を下げたとき、サキモリは対照的に、手元の膨大なデータシートから目を離さずにいた。


「感謝は不要です。これは構造を最適化した結果に過ぎませんから」


淡々と、温度のない声でサキモリは応じる。


だが、その視線の先にあるデータシートは、実はもう三十分も前から一文字も更新されていなかった。彼は、街から風に乗って聞こえてくる笑い声や、自分の名を呼ぶ歓声、そして目の前のシェーレが流した喜びの涙を、誰にも悟られぬよう胸の奥底で深く、深く噛み締めていた。


「これで、もう誰も飢えに怯えることはありませんね」


シェーレの穏やかな微笑みに対し、サキモリはわずかに指先を震わせながらも、即座に「合理的な仮面」を被り直した。


「国民の栄養状態が改善されれば、軍事・経済における人的資本の価値が上がります。国家構造の安定化において、これほど効率的な投資はありません」


「……もう、おじさん。少しは空気を読んでよね」


「サキモリ様らしいですわ」


「うむ、サキモリ殿らしいですね」


「師匠は素直じゃないにゃあ……」


サキモリのあまりに冷徹な「断言」に、報告室にルミナの深い溜息が響いた。


だが、サキモリの背中が、ほんの少しだけ誇らしげに、そして幸福感に満ちて緩んでいることを、彼女たちだけは知っていた。


歓声が止まぬ聖都の熱気を感じながら、サキモリは次の「救済の設計図」を、より一層力強く広げるのだった。

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