第二百三十二話:【聖都の灯:乾杯と休息】
西側諸国を繋ぐ大陸横断鉄道の仮開通という激動の遠征を終え、一行は聖都の酒場に集っていた。
サキモリが提供した最高級の食材を使った料理を囲み、無事に任務を遂行したことを祝して乾杯の声が上がる。
「あたし、ちょっと自信がついたにゃ。実はみんなと一緒に国を出る前、あたしは5レベルだったにゃ。でも今日見たら44レベルだったにゃ! 凄いうれしいにゃ!」
ミャオは成果が数字に表れたことを喜び、満面の笑みを浮かべる。
過酷な採取と回避の連続が、彼女を確実に成長させていた。
「確かに。私も気づけば81レベルです。ガーランドで聖騎士団長に任命された時点では20レベルでしたから……。我ながら、この短期間での成長を実感します」
アリサもしみじみと自らのステータスを振り返り、微笑みを返す。
「あら、私も84レベルになっていますわ。レジスタンスで活動していた時が14レベルでしたから、思えば困難も多かったですけれど、報われましたね」
エレンもまた、かつての苦労を思い出しながら感慨に耽っていた。
「あたしは元冒険者の回復役のエルフだからずっと99レベルなのよね。99レベルでも育つらしいんだけど、限界突破の条件がわからないのよね。そういえば、おじさんは今、何レベルなの?」
ルミナの問いに、サキモリは淡々と答えた。
「あ、10レベルになりました」
「「「「えー!?」」」」
酒場に四人の驚愕の声が響き渡る。
事情を知るルミナは「上がりすぎだよおじさん」という意味で、他の三人は「あれだけのことをしておいて低すぎる」という意味での驚きであった。
「死んだはずの自分が、こうして皆と酒を酌み交わせる。転生・勇者とは悪くない仕組みですね」
サキモリはレベルに関する追求を静かにかわすと、穏やかな微笑みを浮かべた。
仕組みを整理し、記録し、静かに流れるこの時間は、彼にとっても心地よいものに過ぎなかった。
(第二百三十三話へ続く)




