第二百二十一話:【鋼の迷宮:無尽蔵の硬度】
第二百二十一話:【鋼の迷宮:無尽蔵の硬度】
大鉱山ダンジョンの内部は、これまでの魔境とは一線を画す無機質な威圧感に満ちていた。
一行の前に立ちはだかったのは、石灰やアイアン、ミスリル、さらにはクロムやマンガンといった希少金属で構成された、色とりどりのゴーレムの群れである。
「にゃぁぁぁ! 普通のゴーレムより大きすぎるにゃ!」
巨体の金属塊が放つ地響きにミャオが悲鳴を上げるが、サキモリは眉一つ動かさず、彼女に回避と周囲に自生する希少な薬草の採取を指示した。
通常の物理・魔法攻撃を受けても瞬時に再生する金属の巨人たちに対し、サキモリは愛槍を振るい、その硬質な装甲の隙間にある「コア」を精密に破壊していく。
同時に、ルミナが展開する電磁バリア魔法と、アリサが構える概念盾「アイギス」が重なり合い、敵の猛攻を一切寄せ付けない絶対防御陣を構築した。
後方ではエレンが常に索敵を行い、接敵した相手を正確に射抜いて迎撃を繰り返す。
彼女がサキモリの戦闘負担を軽減させることで、サキモリは移動しながら「加工スキル」を発動し、回収した金属を次なる資材へと変換する時間を確保していた。
「これほど質の高い合金の素体が自ら歩いてくるとは。実に見事な効率ですね」
サキモリの瞳には敵への恐怖など微塵もなく、ただ膨大な素材をいかに活用するかという「計算」だけが宿っていた。
「そうね、経験値もすごく高いし、ここは資源の補給路としてまた利用してもいいかもしれないわ」
ルミナが涼しい顔で同意する傍ら、アリサは自らの拳と盾の威力に目を見張っていた。
かつての自分であれば一対一でも敗北していたであろうミスリルゴーレムを、今の彼女はシールドバッシュ一撃で大破させていたのだ。
「今の私の力があれば、次は私の国を守り抜くことができるはずですわ」
エレンもまた、楽しげな表情で迫りくる二体のゴーレムを同時に射抜く。
「こんな難易度のダンジョンに来る日が来るなんて……」
と息を切らしながら、ミャオが採取した薬草をサキモリへと手渡した。
鋼の迷宮は、もはや一行にとっての脅威ではなく、帝国の未来を鋳造するための巨大な「工房」と化していた。
(第二百二十二話へ続く)




