第二百十五話:【満載の帰還:産業革命の火種】
第二百十五話:【満載の帰還:産業革命の火種】
大森林ダンジョンへの足を踏み入れてから、五日間。
一行は不眠不休の攻略を完遂した。
サキモリのストレージには、最高級の燃料、高効率の肥料、医療資源、そして膨大な食糧が、溢れんばかりに蓄積されている。
この強行軍を通じ、全員のレベルは飛躍的に上昇した。
特にサキモリは、レベルアップに伴い新たな「加工スキル」を取得。
これにより、従来の調合による飲食物や薬品だけでなく、建造物や構造物、さらには彼だけが知る機械設備の造作までもが可能となった。
「このスキルがあれば、帝国の設計図をより具体的に形にできます」
サキモリはその展望を仲間に伝えると、帰還に先立ち、加工熟練度を上げるための最終調整に入った。
ストレージにある磨き鉱石、革、繊維を惜しみなく使い、ルミナ、アリサ、エレン、ミャオの衣類や武具をその場で修繕していく。
熟練度は瞬く間に「3」へと達し、調合熟練度は30を突破。
拡張された10トンのストレージ容量は、今や限界まで満たされている。
新品同様に磨き上げられ、性能が微増した装備を身に纏い、一行は再び高速行軍を開始した。
その光景は、もはや一つの完成された移動工房であった。
サキモリは移動しながら調合と加工を並行しつつ、ルミナを背負う。
ルミナは魔法を操り、ストレージの余剰スペースへ詰め込むための採取品を皮袋へと集め、ミャオもまた地面に落ちた資源の回収に奔走する。
アリサは照明を掲げて護衛に徹し、エレンは索敵と採取物の選別を絶え間なく続けた。
目指すは、道路を修繕しながら彼らの帰りを待つ宰相と王女の元である。
「設計図を具現化するためのピースは揃いました。さて、帝国に『火』を灯しましょう」
聖都の門が地平線に見えたとき、サキモリが運ぶその「質量」は、一国を容易に造り変えるほどの圧倒的な熱量を秘めていた。
(第二章「産業革命編」 本格始動)




