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勇者召喚、ヤバいのが混じってた。 ~近代兵器と戦い抜いた男は、異世界で慈愛を振るう~  作者: 風水
第二巻:第三幕:産業革命編 序章

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第二百十二話:【剛弓の閃光:巨木と巨人の伐採】

第二百十二話:【剛弓の閃光:巨木と巨人の伐採】


大森林の深部へ進むにつれ、一行の前に立ち塞がる「壁」はその質を変えていった。


通常の剣戟や火魔法を寄せ付けない、強靭な繊維を持つ樹木の怪物「トレント」。そして、硬質な木材と魔力核で構成された巨大な「木造ゴーレム」が、圧倒的な質量をもって襲い掛かる。


「物理的な打撃、あるいは単純な熱量だけでは、この巨体を資源化する前に灰にするか、こちらの武器を損耗させるだけに終わりますね」


サキモリは、隣に立つルミナに視線を送った。


知識豊富なエルフである彼女は、即座にこれら魔物の性質を解析し、その核となる「理」をサキモリへ共有する。


「おじさん、彼らの動力源は中心にある高密度の魔力核だよ。そこを突かない限り、外装をいくら削っても再生しちゃうの」


「了解しました。弱点の配置を把握。これより効率的な『伐採』を開始します」


サキモリの冷徹な指示が、パーティーの各員へ飛ぶ。


まず動いたのはミャオだ。


彼女はその野生の機動力を活かし、巨体ゆえに旋回性能の低いトレントたちの周囲を激しく駆け回って視線を釘付けにする。


その隙に、アリサが重厚な足音と共に前線へ躍り出た。


彼女は「プロポック(威嚇挑発)」を放ち、散漫になっていた敵の注意を自らの盾へと一点に集中させる。


襲い掛かる巨腕の連撃。


しかし、アリサの構える概念盾「アイギス」は、その衝撃をすべて無効化し、飛来する破片の一つすら仲間の元へ通さない。


「エレンさん、お願いします」


サキモリの合図に、後方で静かに弓を引いていたエレンが応じた。


彼女が放つのは、高熱を帯びた光の魔弓術。


その一矢は、アリサが引き付けて固定した巨人の急所――魔力核を寸分の狂いもなく貫いた。


「――っ!」


轟音と共に、巨大なゴーレムが崩壊する。


核を失い、単なる「質の良い乾燥材」へと成り下がった巨体の破片を、ルミナが手際よく魔法で回収し、サキモリのストレージへと送り込んでいく。


周囲に転がっていた「脅威」が、瞬く間に整然とした「資材」へと変換されていく光景。


サキモリは回収された木材の断面を確認し、満足げに頷いた。


「最高品質のナラ材に近い特性ですね。油分も申し分ない。これなら帝国が必要とする高品質の木炭が期待できます。効率を優先し、このまま次々と倒しましょう」


その言葉通り、一行は一秒の停滞もなく次の獲物へと向かう。


かつては王国の精鋭騎士団ですら苦戦したであろう巨人の群れが、サキモリの手にかかれば、ただの「未来の国家を支える燃料資源」に過ぎない。


その異常な光景の中で、必死に敵の攻撃を回避し、かく乱を続けていたミャオだけが、戦慄を隠せずにいた。


(ねぇ、師匠……これ、本当に『冒険』なのかニャ? あたしには、ただの工場作業に見えてきたニャ……!)


ミャオの困惑をよそに、大森林の「伐採」はさらにその速度を上げていく。


(第二百十三話へ続く)


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