表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者召喚、ヤバいのが混じってた。 ~近代兵器と戦い抜いた男は、異世界で慈愛を振るう~  作者: 風水
第五章 第六部:帰還と「半神」の威圧

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
166/185

第百六十六話:【宣戦の儀:砕かれた書状】

第百六十六話:【宣戦の儀:砕かれた書状】


跪き、震える使者たちの前で、サキモリは静かに手を伸ばした。


その指先が、テーブルに置かれた獣人王の親書を拾い上げる。


サキモリは何も語らず、ただ片手でその書状を握りしめた。


次の瞬間、周囲の空間が歪むほどの高密度な圧力が一点に集中する。


魔力による破壊ではない。


純粋な物理的圧力だけで、強靭な獣の皮で編まれた羊皮紙は瞬時に粉砕され、指の間から砂よりも細かい塵となって床へ零れ落ちた。


「対等な同盟か、あるいは敵対か。……選んでください」


サキモリの声は、感情を排した記録装置のように淡々としていた。


「もし敵対を選ぶのであれば、私はこの国々を全力で守ります。


そちらが消滅するか、あるいは侵略を諦めるまで、私は止まりません」


その宣言は、勇ましい鼓舞ではなく、確定した未来を告げる「構造」の提示であった。


サキモリは、自分たちがもはや既存の国家という枠組みや、脆弱な法体系で制御できる存在ではないことを、その圧倒的な実力をもって無機質に突きつけたのである。


国家という巨大な機構すら、彼という「変数」の前では塵に等しい。


「……ひ、ひぃっ……!」


もはや外交の体裁を保てる者は一人もいなかった。


獣人国の威光を背負っていたはずの使者たちは、恐怖という根源的な本能に支配され、無様に床を這いずるようにして謁見の間を逃げ出した。


バルバロイの門を抜けるまで、彼らが後ろを振り返ることは二度となかった。


嵐が去った後のような静寂の中、サキモリはふう、と小さく息を吐く。


「……おじさん、ちょっとやりすぎだよ」


隣にいたルミナが、腰に手を当てて膨れっ面でサキモリを睨んでいた。


「すみません、ルミナ先生。必要なことでしたので」


先ほどまでの神のごとき威圧感はどこへやら、サキモリは恐縮したように頭を下げる。


その様子を見て、エレンは花が咲くような笑みを浮かべてサキモリの手を取った。


「いいえ、さすがはサキモリ様ですわ。


あのような無礼な方々には、分を弁えさせる必要がありましたもの」


「ああ、私もエレンと同意見だ。


さすがサキモリ殿、あれくらいやった方がいい。我らの誇りを踏みにじる者に、容赦は不要だろう」


アリサもまた、満足げに頷きながら腰の剣を鳴らした。


少女たちの三者三様の反応を受けながら、サキモリはただ、遠く東方の空へと視線を向け、静かに次の「構造」を思考し始めていた。


(第百六十七話へ続く)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ