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勇者召喚、ヤバいのが混じってた。 ~近代兵器と戦い抜いた男は、異世界で慈愛を振るう~  作者: 風水
第四幕・第五章 第四部:【上位個体:竜の加護】

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第百五十一話:【記憶の殻を集める者】

第百五十一話:【記憶の殻を集める者】


聖域に、深淵を揺るがすような長い沈黙が流れた。


舞い上がる雪の結晶は、古龍ニドヘグから溢れ出す濃密な魔力に触れ、結晶のまま虚空に静止している。


動けない四人を眼下に、竜はただ静かに「思考」していた。


それは数万年という悠久の時を生きる神の視点による、冷徹かつ巨大な演算であった。


(……ことわりを超えたか。矮小なる羽虫共が、我という不変に一石を投じた)


竜の眼差しの先には、サキモリの拳によって穿たれた眉間の空白があった。


ただの暴力ではない。


個々の力では届かぬ絶壁を、互いの魂を共鳴させ、存在を支え合い、論理的な極致を叩き込むことで超えてみせた「絆」という名のシステム。


それは、かつてニドヘグが記憶したどの英雄や魔王とも異なる、異質で、いびつで、しかし美しい輝きを放つ「変革」の種火であった。


(滅ぼすには……惜しい。我が記憶の殻に、これほど鮮烈なノイズを刻んだ者は他にない)


ニドヘグは決断した。


彼らをここで屠り、塵に還すことは容易い。


だが、この異質なる個体たちが、これからこの世界というシステムの中でどのような「バグ」を引き起こし、歴史をどう色づけていくのか。


それを観測し続けることこそが、退屈な永劫を生きる自分にとっての「遊び」にふさわしい。


『――認めよう。お前たちは、もはや単なる虫けらではない』


竜の意志が、震える大気を通じて直接脳内に響く。


ニドヘグの巨躯から、黄金の光を孕んだ蒼い魔力の粒子が、慈雨のように四人の体へ降り注いだ。


それは、この聖域の王が永永無窮の守護を、そして「永続的な観測対象」としての資格を授ける聖なる加護であった。


『お前たちの「絆による連携」という理が、どこまで届くのか。我が記憶の記録者として、その生を繋ぎ留めることを許そう』


サキモリは、意識の混濁の中でその言葉を聞いた。


圧倒的な強者からの承認。


それは屈服でも隷属でもなく、神の視界の中に「主体」として招き入れられたことを意味していた。


ニドヘグはゆっくりと翼を閉じ、再び山のごとき沈黙へと戻っていく。


その瞳には、彼らがこれから引き起こすであろう「嵐」への、微かな期待が宿っていた。


「お前たちの歩みが、我が記憶をどこまで色づけるのか……見届けよう」


竜の言葉が聖域に溶ける。


その瞬間、四人を包む魔力の光が爆発的な輝きを放ち、彼らの本質を根底から書き換えようと動き始めた。


(第百五十二話へ続く)

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