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勇者召喚、ヤバいのが混じってた。 ~近代兵器と戦い抜いた男は、異世界で慈愛を振るう~  作者: 風水
第四幕・第三章:精霊の大森林編

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第百三十話:【門の開放と戦慄】

第百三十話:【門の開放と戦慄】


「…………当たった……。あの距離、あの乱気流を抜けて……あり得ぬ」


精霊の守護者が、震える声で零した。


数キロ先の山頂で弾けた『灯火』の残光を、精霊としての鋭敏な感覚が捉えている。


それは、精霊族が数千年の歴史の中で培ってきた「魔法の常識」が、跡形もなく粉砕された音でもあった。


サキモリは連結を解き、静かにエレンの肩から手を離した。


四人を繋いでいた高密度の情報バイパスが霧散し、森に元の静寂が戻る。


サキモリは手元の懐中時計を一瞥し、感情の欠落した声で告げた。


「弾道計算との誤差、コンマ〇.二ミリ。風のむらを考慮すれば、許容範囲内ですね」


その言葉に、精霊たちは背筋が凍るような戦慄を覚えた。


彼らが「奇跡」と呼ぶべき一撃を、この男は「計算の結果」と切り捨てたのだ。


門番は悟った。目の前の男は、単に強い「個」ではない。


アリサという不動の基盤。


ルミナという膨大な記憶と演算の補助。


エレンという高出力の砲身。


それら三人の英雄を、サキモリという「頭脳」が完全に支配し、一つの巨大な、そして残酷なまでに精密な「兵器システム」へと変貌させていた。


「個々の力を足し合わせたのではない……。この男は、我々の知らない『理』で、力を掛け算している……」


守護者の独白は、もはや恐怖に近い。


一人では成し得ないことを、最適化ハックによって成し遂げる。


その未知の論理こそが、精霊たちが初めて直面した「異物」の正体であった。


「試練は達成されました。……門を開けていただけますか。スケジュールに遅れが出ています」


サキモリの淡々とした催促に、門番は抗う術を持たなかった。


地響きと共に、数千年の間、不遜な侵入者を拒み続けてきた『古樹の門』が、中央からゆっくりと崩れ落ちるように左右へ分かれていく。


立ち昇る古びた魔力の煙を背に、サキモリは息一つ乱さず歩み出した。


その後ろを、誇らしげに、しかしサキモリへの深い畏怖を湛えた瞳で三人のヒロインが続く。


門が開いた先。


森の最深部、全ての光が吸い込まれるような静謐の玉座に、それはいた。


揺らめく影。


この森の意志そのものであり、単独の状態――すなわち出力10%のサキモリにとっては死に等しい圧倒的な質量を持つ存在。


精霊王の影が、静かに「異物」の到来を待っていた。


(第百三十一話へ続く)

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