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勇者召喚、ヤバいのが混じってた。 ~近代兵器と戦い抜いた男は、異世界で慈愛を振るう~  作者: 風水
第四幕・第三章:精霊の大森林編

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第百二十九話:【一点突破の100%】

第百二十九話:【一点突破の100%】


「――目標、全パラメータ合致。放てッ!」


サキモリの鋭い号令が、静寂を切り裂いた。


エレンの指が、限界まで引き絞られた弦を解き放つ。


その瞬間、世界から色が消え、一筋の「純白」が視界を塗りつぶした。


放たれたのは、もはや矢という概念を超越した、高密度魔力のパイル


ルミナからバイパス経由で供給される奔流のような魔力が、エレン自身の限界を遥かに超える「出力250%」の初速と貫通力を実現していた。


「……計算通りです。そのまま『道』を通りなさい」


サキモリの瞳には、荒れ狂う乱気流の中に一筋だけ存在する、摩擦係数ゼロの「真空の隙間」が見えていた。


矢は音速を超え、大気を灼きながら突き進む。


驚くべきことに、その軌道は直線ではなかった。


右へ、左へ。


まるで最初からそこに目に見えない「溝」が掘られていたかのように、矢は乱気流をあざ笑うような鋭い蛇行を描く。


それは「曲がってしまった」のではない。


サキモリの精密な弾道計算に基づき、着弾という「確定した未来」へ至るための、最も淀みなく、最も効率的な最短ルートをなぞっているのだ。


神秘を裂く物理の閃光


山を削り、雲を真っ二つに裂きながら進むその一閃は、地上から見れば空に刻まれた神の傷跡のようだった。


「な、なんだ……あの軌道は!? 物理法則も、魔道の理も無視しているというのか!?」


呆然と空を見上げる精霊の守護者。


彼が見ているのは奇跡ではない。


サキモリという異物が、異世界のカオスを「近代戦術の論理」で完全に制御・調律した結果カタルシスであった。


アリサがアンカーとして衝撃を地面へ逃がし、ルミナが最大出力の演算と魔力を供給し、エレンが250%の威力を一点へ叩き込む。


安定した30%の出力を維持するサキモリという「管制塔」の下で、三人のヒロインがその真価を100%以上解放した一撃が、今、神域の距離をゼロにする。


――数秒の静寂の後。


数キロ先、誰も届かぬはずの『死の山脈』の山頂で、親指ほどの『精霊の灯火』が音もなく弾け飛んだ。


(第百三十話へ続く)

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