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勇者召喚、ヤバいのが混じってた。 ~近代兵器と戦い抜いた男は、異世界で慈愛を振るう~  作者: 風水
第四幕・第二章:失われた技術の残光

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第百二十話:新しい道、求める心

第百二十話:新しい道、求める心


セレスティアの最深部。銀の結晶から放たれた波動が収束し、サキモリの全身に冷たい光が定着した。

彼は自分の指先を動かし、視界に浮かぶログを確認する。


「……計測完了。……不安定な消滅の危機は脱しましたが、これは『修復』ではありません。三人のリソースを借りた、暫定的な存在維持システムに過ぎません」


サキモリが静かに告げると、ルミナが不思議そうに首を傾げた。


「おじさん……? なんだか、前よりもずっと『そこにいる』感じがするよ」


「条件付きです。……今の私の存在強度は、皆さんと共にいることで、その出力が規定されます」


サキモリは、自身の状態を「部品」になぞらえて整理した。


・アリサ:物理安定(肉体のアンカー)

・エレン:火力分散(魔力負荷の肩代わり)

・ルミナ:記憶維持(精神のバックアップ)


「皆さんと離れている、あるいは一人の時。私の強度は10%まで低下します。……日常生活を送る分には問題ありませんが、戦うための力は出せません」


「……つまり、私たちがそばにいて初めて、サキモリ殿は『戦える存在』になれるということか?」


アリサの問いに、サキモリは頷いた。


「その通りです。四人で揃っている時、私の出力は30%で安定します。……これだけで、以前に魔王城で戦った準魔族を凌駕し、以前の戦闘機六のある脅威の大半を排除可能です。……ですが、出力を70%まで引き上げるのは、三人のリソースを急激に消費する短時間の過負荷オーバーロードとなります」


サキモリは、三人の顔を順番に見つめた。


「そして100%。……かつて私が一人で振るっていた全力を出した瞬間に、このシステムは崩壊し、おそらく私は消滅します」


「……ふん。一人で無茶はできない、ということか」


アリサが盾を置き、不敵に笑う。


「むしろ好都合だ。貴殿をこの世界に繋ぎ止める柱が我らだというのなら、これほど名誉なことはない」


「おじさん、もう『一人で戦う』なんて選択肢、最初からなくなっちゃったんだね。私たちがいないと、おじさんはただの『普通の人』なんだから」


ルミナがいたずらっぽく笑いながら、彼の手を軽く握った。


サキモリは、その手の温もりを感じながら、自嘲気味に目を伏せた。


かつては孤高の兵器として完結していた自分が、今は仲間の「役割」がなければ戦場に立つことさえできない。


それは兵器としては欠陥だが、この世界で生きていくためには、奇跡のような「仕組み」だった。


一行は廃都の展望台へと立ち、大陸のパノラマを見下ろした。


八割が魔族領という絶望的な盤面。


だが、サキモリの目には、効率的な進軍ルートではなく、未知の生態系や文明が織りなす「可能性」が映っていた。


「……行きましょう。私は一人では、もう戦場にすら辿り着けません」


サキモリは、かつての自分なら決して口にしなかった言葉を選び、三人に視線を向けた。


「……ですから、これからも私を『形成』してください。……一緒に行きましょう」


「当たり前だ! 貴殿が行く先は、すべて我が盾が平らげてみせる!」


「私の矢も、常に貴方の計算と共にありますわ。……どこまでも、お供いたします」


「おじさん、次はあの大きな森だよ! 出発!」


最強の孤高を捨て、四人で一つの「最小ユニット」となった彼ら。


不完全な足取りで、しかし一歩ずつ確実に。


新しい世界を求める「冒険者」たちの旅は、空に浮かぶ廃都から、未知なる大地へと加速していく。


(第百二十話:完)

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