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勇者召喚、ヤバいのが混じってた。 ~近代兵器と戦い抜いた男は、異世界で慈愛を振るう~  作者: 風水
【第二巻】第四幕・第一章:共鳴のアルカディア

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第百十三話:三つの鍵(アンカー)

第百十三話:三つのアンカー


王立魔導研究所の演習場。そこには、円陣を組むサキモリ、ルミナ、エレン、アリサの姿があった。

これから行われるのは、サキモリの自壊を防ぎ、その戦闘能力を再建するための新システム「共振儀式」の初試行だ。


「……各員、接続コネクトを確認。ルミナ先生、固定状況は?」


「任せて、おじさん! おじさんの存在が消えないように、私が世界の記憶アーカイブにおじさんの存在をしっかり上書き固定しておくから!」


ルミナがサキモリの背後に立ち、その背に手を添える。

彼女の役割は、この世界の法則から零れ落ちようとするサキモリを、自身の魔導知識を介して「世界の記憶」の一部として無理やり固定し続ける「存在のアンカー」だ。


「エレン、攻撃権限の委譲を開始します。私は回避と接敵(身体操作)に専念します」


「承知いたしましたわ。サキモリ様の計算通りに……私の魔力を貴方の『牙』として放ちますわ!」


エレンがサキモリと魔力を同調させる。

サキモリが攻撃の意思決定を行い、その出力をエレンが肩代わりして放出する。


これにより、サキモリは自分自身の魔力を削ることなく、驚異的な身体能力と精密な格闘戦を両立させることが可能となる。


「アリサ殿、私の外装維持を。耐久値(HP)の共有を開始してください」


「うむ。私が近くにいる限り、いかなる衝撃も私の魔力が吸い取ってみせよう。サキモリ殿、貴殿の身はこの盾が繋ぎ止める!」


アリサが大盾を構え、サキモリの至近距離で守護のオーラを展開する。

彼女がサキモリと魔力出力を連結させ、自身の強固な防御性能をサキモリに転写コピーすることで、脆弱化した彼の耐久力を外部から補強するのだ。


「……儀式、最終段階フェーズ。四身一体――駆動開始」


サキモリが軽く拳を握った瞬間、青白い光の鎖が四人を繋いだ。

三人がそれぞれの負担を肩代わりし、サキモリの摩耗を抑え込む。


「……演算終了。目標、完全沈黙」


演習用の強固な魔導標的が、一瞬で粉砕されていた。

かつてのサキモリなら、一瞥するだけで片付いた相手だ。


だが今、彼は激しい呼吸を繰り返す三人の肩を借りて立っている。


「……出力を確認。私の本来の約三割。……ですが、消滅ロストの予兆はありません」


「たった三割……? おじさん、あんなに強かったのに……」


ルミナがどこか悲しげに声を上げる。


だが、サキモリは静かに首を振った。


「ルミナ先生、誤解しないでください。私の『三割』は、かつて交戦した準魔族の全力をも遥かに凌駕します。……三人との連携により、消滅のリスクを回避しつつこの出力を維持できる。これは、奇跡に近い戦果です」


一人では一〇パーセントの出力さえ危うかった。

だが、三人がいれば「強者」としての力を維持できる。


「……なるほど。四人で初めて、一人の『サキモリ』というわけですか」


サキモリは、自分を繋ぎ止める三人の負担を感じながら、新形態の起動ログを閉じた。


それは、かつての「孤独な兵器」が、仲間という名の「命の部品」を得て生まれ変わった瞬間だった。


(第百十三話:完)

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