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勇者召喚、ヤバいのが混じってた。 ~近代兵器と戦い抜いた男は、異世界で慈愛を振るう~  作者: 風水
第三幕・第五章:反撃ののろし 【後編:原点にして頂点】

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第百九話:終焉の残光、再会の咆哮

第百九話:終焉の残光、再会の咆哮


ジャバウォック城の城下に広がる、かつての市街地。そこは今や、巨大なクレーターと瓦礫の山が連なる、不毛の平原へと姿を変えていた。


東部戦線の絶望を切り裂いたエレン、中央戦線の地獄を耐え抜いたアリサ、そして南部戦線の炎を逃れたルミナ。

三人はそれぞれの軍の生き残りを率い、サキモリの足跡を追って、ついにこの魔族領の深部へと辿り着いた。


「あれは……」


アリサが声を震わせ、指をさす。

夜明けの薄明かりの中、クレーターの中心で「それ」は起きていた。


山のような巨躯を持つ魔王ジャバウォック。

人類の歴史上、一度として膝を屈することのなかった魔族領でも強国の1つである軍事国家の王が、今は絶望に顔を歪ませ、天を仰いでいた。


その巨大な胸の中央には、一人の人間の腕が、肩まで深く突き刺さっている。


サキモリだった。

だが、彼女たちの知るサキモリではない。


全身の毛穴から気化した血液が「黒い蒸気」となって立ち昇り、もはや人の輪郭すら定かではない。

凄まじい熱気が大気を歪ませ、彼が動くたびに周囲の空間が陽炎のように揺らめく。


「……ア、ガ……消失デリート、完了」


サキモリが腕を引き抜くと同時に、拳を一点に突き出した。


ドォォォォォォォォォン!!


最後の一撃。

魔導障壁も、純魔族の強靭な肉体も、もはや何の意味もなさない。


四十ミリカノン砲の直撃を一点に凝縮したような破壊の波動が、魔王の巨躯を内側から爆破した。


「ああ……あああああ……ッ!」


魔王ジャバウォックが、光の粒子となって霧散していく。


その背後で、三人の少女たちはただ立ち尽くしていた。


四十万以上の軍勢をたった一人で「間引き」、魔王という概念さえも物理的に粉砕した男の背中。

そこには、神々しい勇者の輝きなどない。


ただ、平和な日常を守るという「一点の目的」のために、己の情緒も、肉体も、人間性さえも燃料にして燃やし尽くした、剥き出しの「軍人」の執念だけがあった。


彼女たちは知った。

自分たちが享受していた平和の裏側で、この男がどれほどの「狂気」を飼い慣らし、どれほどの激痛を「構造」として処理してきたのかを。


「サキモリ様……」


エレンが涙ながらに一歩踏み出す。


その瞬間、魔王の消滅と呼応するように、サキモリを包んでいた不吉な黒い霧が、ふっと熱を失って霧散した。


立ち昇っていた蒸気が消え、静寂が平原を支配する。

夜明けの光が、泥と血に汚れ、ボロボロになった一人の男の背中を、静かに照らし出していた。


(第百九話:完)

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