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勇者召喚、ヤバいのが混じってた。 ~近代兵器と戦い抜いた男は、異世界で慈愛を振るう~  作者: 風水
第三幕・第五章:サキモリ「原点回帰」 【中編:次元の断絶】

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第百四話:肉体という名の弾丸

第百四話:肉体という名の弾丸


ジャバウォックの城塞内部。そこは、魔族の中でも選りすぐりのエリート「純魔族種」が守護する、絶対不可侵の領域だった。


だが、その鉄壁の廊下を、一人の男が「音」を置き去りにして突き進む。


「……武器の耐久値、限界。廃棄する」


サキモリが手にしていた魔族の長剣が、凄まじい振りに耐えきれず、分子レベルで崩壊して消滅した。


彼は眉ひとつ動かさず、無造作に次の獲物を拾い上げる。倒した敵の斧、槍、あるいはただの鉄塊。


サキモリがそれを手に取り、一振りすれば、敵軍の隊列は一瞬で消し飛ぶ。


しかし、彼の身体能力――全盛期の「出力」の前では、この世界のいかなる名剣も、一撃ごとに砕け散る「使い捨ての消耗品」に過ぎなかった。


ついに、手に持てる武器がすべて尽きた。


ジャバウォック防衛の要、将軍とその精鋭たちが、冷笑を浮かべて立ち塞がる。


「武器を失ったか、哀れな人間よ。純魔族の肉体強度は、貴様の想像を絶するぞ!」


「……問題ない。元より、これ(武器)はリミッターに過ぎない」


サキモリは、血と汗で黒く染まった拳を、静かに握り込んだ。


「徒手空拳。……これこそが、最も効率的な破壊手段だ」


その言葉が終わるより早く、サキモリの姿が消えた。


空手、柔術、剣道。かつて彼が極めたあらゆる武道の「理」が、三十倍の身体能力という「狂気」によって再構築される。


ドォォォォォォン!!


サキモリの拳が、飛来する戦艦の砲弾にも等しい超火力の魔法弾を、正面から「砕き散らした」。


爆炎を突き抜け、彼はそのまま城壁を蹴る。


ただの踏み込みが、数メートルの厚さを持つ魔法増幅の城壁を、内部から爆破するように粉砕した。


「な……馬鹿な! 純魔族の肉体こそが最強のはずだ!」


精鋭の一人が叫びながら突進する。


だが、サキモリはそれを柔術の理で受け流し、指先をわずかに敵の胸元へ添えた。


ボシュゥゥゥゥゥン!!


「――構造の破壊」


サキモリが指先から放ったのは、衝撃波を一点に凝縮し、波紋のように内部へと浸透させる「透勁とうけい」。


次の瞬間、触れられた精鋭の肉体が、内部から噴き出す圧力に耐えきれず、風船のように破裂した。


魔力でも魔法でもない。ただ、肉体の振動を共鳴させ、物質を内部から崩壊させる「純粋な物理の極致」。


サキモリは足を止めない。


指先が触れるたび、肩がぶつかるたび、エリートと謳われた純魔族たちの頑強な肉体が、内側から爆ぜて霧へと変わっていく。


「ア、ガ……ハッ……。……次だ」


サキモリの全身からは、限界を超えた熱気が黒い蒸気となって立ち昇る。


彼の肉体そのものが、今や人類最古にして最強の「弾丸」と化していた。


恐怖に顔を歪める将軍の目の前で、サキモリは返り血を拭うことさえせず、ただ無機質な殺意をその指先に宿らせていた。


(第百四話:完)

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