ファントム、依頼される8
しかし、もう夜も遅い。
「玲奈もユキさんも明日は学校です。ずる休みは絶対にダメですよ」
「えー! おじいちゃんの親友の頼みだよ? すぐにでも行動した方が」
「ダメです」
「別に私は学校なんて行かなくても、勉強には問題はないし」
「ダメ、と言いましたよ、二人とも」
「……」
このマスターの一言で、全員帰宅することに。
「瀬尾……」
「分かってるって」
けれど二人はこの後、寝ることなく作戦の準備を始めることにした。
「ただいま! どうなってるの!?」
息を切らせて玲奈がセグレトのドアをくぐる。
「……はぁ、玲奈、元気すぎ……」
その後3分ほどして、ユキが同じようにセグレトのドアをくぐったが、その顔はすでに瀕死だ。
「二人とも元気だねぇ」と、笑顔で瀬尾が迎えた。
「何してるの?」
夕方のセグレトには、まだ数人の客がいるから、玲奈は瀬尾の隣に座り小さな声で質問する。
「ん? そりゃまずは情報収集が鉄則でしょ?」
そう言って、彼はPCを操る。
「何かわかったの?」
向かいにユキが座り質問すれば、「いや」と短く答える。
「ま、日本ではカジノの存在自体が違法だからね。いくらでも付け入る隙はあるけど、今回はそれが目的ではないからもう少し時間が必要かな?」
確かに、と思いながらユキは店内を見回した。マスターは常連客の相手をしつつ、コーヒーを淹れている。
「ねぇ、パパは?」
「外でお仕事。現場の下見は実際に行ってみないとね」
瀬尾の言葉に納得するユキとは対照的に、玲奈は「うーん」と唸る。
「瀬尾さん。一つ、聞いてもいいですか?」
「んー? なあに、玲奈ちゃん」
瀬尾は画面から目を離さずに答える。
「お客さんたちは、イカサマだと分かっているのに、どうして通い続けるんだろう? お金を巻き上げられると分かってるんでしょ?」
玲奈の純粋な問いかけに、瀬尾はふっと息を吐き、キーボードを打つ手を一瞬止めた。




