表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コードネーム・ファントムの新たな日常2~少女と名画、そして英国の魔女~  作者: 桜瀬ひな


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
59/65

ファントム、依頼される5

 数時間後。


「うーん、監視カメラでは怪しい動きをする人物はいないけどなぁ」

「うん、もう画面と睨めっこで目がショボショボするわ」


 数時間、瀬尾と玲奈からはなんの情報も得られない。


「指紋が断片的だからなのかしら? 国内で照合できるものは全部やったけど、該当無しよ」


 ユキの方もお手上げだ。


「なら、国外はどうだ?」


 灰島に言われて、ユキも「そうね」と海外のデータにアクセスする。


「犯罪者記録だけではなく、興行、ライセンス……あらゆる指紋登録データに範囲を広げるわ」


「そんじゃ、俺も手伝うかね」と、瀬尾もキーボードを叩き始めた。

「時間短縮のために、ちょーっと借りちゃうよ~」と彼が不敵な笑みを浮かべる。


 玲奈が興味津々に期待を込めて尋ねた。


「借りるって、何を?」


「ん? アメリカ国家安全保障局……NSAのメインサーバーさ。世界中のあらゆるデータが集まる『図書館』だからね。こっそり裏口バックドアからお邪魔して、検索キューの先頭に、俺たちのリクエストを割り込ませてもらうだけ」


 海外の情報機関を、まるで近所のコンビニのように扱う瀬尾に、灰島は小さく息を吐く。


「バレるなよ?」

「そんなヘマしません! これ以上長官怒らせると、脳梗塞起こしかねないからなぁ」


 本気で心配しているのではないのだろうが、彼がここまで言うのならバレることはないのだろう。それ以上、言及しないでいると、ピコンと電子音が響いた。


「引っかかったわ。北朝鮮のデータだけど」


 ユキのモニターに表示されたのは、シルクハットを被った粋な老紳士の古い白黒写真。


『プロフェッサー・シルク。本名、柳 俊之。1970年代に一世を風靡した伝説の奇術師。10年前に引退』

「柳さん!? 一体いつセグレトに!?」


 彼を知っているのだろう、マスターがそう叫ぶ中、瀬尾の指は止まることなくキーボードを叩く。


「これか、マスター。俺たちのいない3時くらい、白髪の男性が来ただろう? 彼の耳の形と、この写真の耳の形が一致する。うまいこと変装してるね、これじゃ別人だ」


 瀬尾のPCに映し出されたのは、ユキの画面に映し出された画像の人物とはまるで別人だった。

 ここまでの状況に灰島は、全てのピースがはまっていくのを感じた。


「……盗まれてなど、いなかったんだ。最初から」

「どういうことだ?」


 瀬尾の質問に、灰島はカウンターのコーヒー豆を見た。


「保管庫に入っているものを、入れ替えたわけじゃない。保管に入る前、すでにすり替わっていたんだ。マスター、あなたはお客に豆の袋を見せませんでしたか?」


 マスターは、はっとしたように頷く。


「ええ、常連の皆様にお見せして……」


「その時です」と灰島は断言した。


「彼は巧みな話術であなたの注意を逸らし、その一瞬で本物の豆が入った袋と、彼が用意した同じ見た目の『偽物の袋』をすり替えた。あなたが大事に金庫にしまったのは、もはや抜け殻だったというわけだ。ほら、ここ」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ