ファントム、依頼される3
「……いいだろう。今回の件は不問にしてやる。MI6との貸し借りは、いずれ組織にとって有益に働くだろうからな」
意外な言葉に、瀬尾が、にやりと笑う。
「話が分かるじゃな──」
「だが」と佐伯が遮った。
「お前たちには、今回の無許可での越権行為に対する『罰』を受けてもらう」
「……なぜ? 違法行為は何も。変装道具を使うのが違法? いや、あれはマスターが借りてきたハリウッドの──」
「ホウレンソウ! 社会人の基本だ! 勝手にMI6と連携とか聞いてない! アルケナ!? 全く聞いてないぞ!」
「俺はもうコクチョウ所属ではないし、報告の義務は──」
「待て待て、それ言ったら俺だけ悪者になるだろ? 俺だってお前が悪さしないように見張ってるだけで、それ以上の任務は──」
「うるさーーーーーいっ!! ファントムの名前で動いたらコクチョウなんだよ!」
声を荒げる佐伯に対し、灰島は冷静に対応する。
「であれば、今回の事件解決に対する報酬もいただけると?」
いけしゃあしゃあとそう言ってのける灰島に、机に置かれた佐伯の腕がプルプルと震える。
「……あぁ、くれてやるっ! そして『罰』も一緒にな!!」
こうして二人は、コクチョウで『罰』を受けることになった。
彼がモニターに映し出したのは、街角の防犯カメラが捉えた一枚の画像だった。それは、顔も判然としない男の後ろ姿が不鮮明に写っていた。
「こんな画像しか残っていないが、これは──」
「マッド・ドッグ?」と先に答えたのは、瀬尾だった。
「あぁ、こいつが2週間前に日本に入国している。その目的と──」
「そいつ、もうファントムにぶん殴られて、MI6に確保されましたけど?」
「ええ、殴りもしましたが 。あぁ、目的でしたね。目的はアルケナに雇われて、先ほどの美術品を強奪するため……、どうかしましたか?」
頭を抱える佐伯に灰島がそう尋ねれば、彼はぎろりと二人を睨み上げた。
「報告書だ! 今回のことの顛末を最初から最後まで、詳細に書いて提出しろ! 俺が承認するまで、ここから出ることはまかりならん!!!!!」
こうして、最強のエージェントである二人は監禁されてしまった。




