保健室
「ふあぁ〜。」
私1人しか居ない保健室で思わずあくびが出てしまう。
私が眠いのにはワケがあった。
養護教諭(保健室の先生)をやりながら、陰ではVTuver 杜若 雫のマネージャーのようなことをやっているからである。
昨晩も親友である叶京香の配信をずっと見守っていた。
大手なら他の社員などがいてダブルチェックしてくれているが、転生しまくっている京香ちゃんには私しかいないからだ。
眠い目を擦りながら今日も頑張るのであった。
* * * *
この学校に赴任してからもう2年が経つ。
最初の頃は漫画のように保健室の先生に憧れる男子生徒がいっぱい尋ねてくるかと期待してたが、蓋を開けてみれば生徒はあまり寄ってこなかった。
あっ、別に私が不細工だからとかではない。自分で言うのもアレだけど、顔やスタイルにはそこそこ自信がある。
アニメやエロゲーに出てくるようなバインバインの胸ではないが、程よいDカップはあるので卑下はしていない。
あ〜、押し倒してくるような男の子はいないのかなぁ‥。
今日も妄想爆発である。
それにしても暇である。
ここ数年で増えている保健室で授業を受けている子も、教育委員会が頑張って専用の教室を作ったのでココにはいない。
昔のように怪我をする子も減ってきている。なのでほぼ誰もこないのである。
ダダッダダ‥
誰が廊下を走る音が聞こえてくる。
最近は廊下を走る子も減ったので珍しく感じていた。
バタン!
いきなりノックもせずに保健室の扉が開かれる。
「瀬尾先生!
気分悪いです!」
廊下を全力疾走してきた女生徒が血色の良い顔で不調を訴える。
え?
どこが???
「私も気分悪いです!」
「私も!!」
さらに2人の生徒が飛び込んでくるのであった。
とりあえずクラスと名前を尋ねる。
‥‥‥‥3人とも1年3組である。
1年3組といえば京香ちゃんのクラスである。
偶然なのか‥それとも‥
同じクラスの子が3人も同時に気分が悪くなるのはまず普通ではない。
「クソッ、先を越されたか!
馬鹿姉妹のせいだからな!」
「誰が馬鹿姉妹じゃ!
美人姉妹の間違いだろ!」
「お姉ちゃんは馬鹿だけど、私は違うから!
ほんと、一緒にしないで欲しい!」
まさかの3人追加である。
「3人とも1年3組じゃないよね?」
あり得ないと思いつつ、尋ねてみる。
「はぁ?
1年3組だけど。」
「正解!」
「はい、1年3組です!」
ヤンキーと同じ顔の2人が1年3組だと認める。
ちょっと京香ちゃんのクラス大丈夫?
何かあった?
まさかインフルエンザとかじゃないよね?
私は6人もの体調不良者を目の前にしてその異常さに震えるのであった。




