負けられない戦い
体調不良で駆け込んできた生徒6人。
全員1年3組というおまけ付き。
思うところはあるが、まずは養護教諭としての仕事を全うしよう。
「とりあえず、症状を教えてくれる?」
6人の女生徒に声をかける。
「え?
症状???」
全員が困った顔になる。
「体調不良なのよね?
どこが悪いか教えてくれる?」
私の問いに女生徒達は考え込んでしまう。
いや、考え込むこと??
ここにきて私の脳裏にはサボりではないかという疑念が生まれていた。
「わ、私は熱っぽいです。」
1人の女生徒が答える。
「あっ、私も!」
「Me too!」
「オレも!」
「じゃあ、私も!」
「お姉ちゃんと同じで!」
全員が最初の子につられる形で同じ事を口にする。
1人「じゃあ」と言った子はあきらかにおかしいけど‥。
「それでは、全員熱を測ってね。」
私の言葉に全員がえ?って顔になっているが構わず体温計を全員に渡す。
* * * *
<永野紅羽視点>
くそ〜体温計だと!?
まともに測ったら仮病がバレてしまう‥。
こうなったら奥の手だ。
私は体温計を脇に挟むと、動かせる方の手で体温計の先を摘むと指と指を擦り合わせて摩擦を起こすのであった。
「先生、はい。」
私は不正した体温計を保険医の先生に渡す。
先生は渡された体温計を確認して目を見開く。
「40℃!!
ちょっと大丈夫なの??」
保険医の先生が慌ててしまう。
ヤバい、やり過ぎたかも‥。
私はやり過ぎた事を後悔するのであった。
* * * *
<永野乙羽視点>
「40℃!!
ちょっと大丈夫なの??」
お姉ちゃんの体温を見て保険医の先生が驚いている。
本当にお姉ちゃんは馬鹿だと思う。
いつもやり過ぎるのだ。
私はお姉ちゃんとは違う。
お姉ちゃんのようにやり過ぎないように調整しながら、体温計を擦るのであった。
「先生、どうぞ。」
保険医の先生に体温計を渡す。
「35℃。
今度は低過ぎる。
ちゃんと測ってくれる?」
保険医の先生に怒られてしまう。
え?
ちゃんと擦ったのに何故?
私は再度体温計を擦り合わせるのであった。
* * * *
<風間慈愛那視点>
ハハハ
さすが、馬鹿姉妹!
笑わかせてくれる。
ほんと不器用な奴らだぜ!
オレならそんなミスはおかさない。
オレは慎重に体温計を脇に挟むと、自由な動かせる方の手で体温計を回転させるのであった。
これなら適度な温度になるはず。
もう少し力を強くするか。
オレは少し力を込めて‥
ボキッ
!!!!!!
軽くしか力を入れてないのに体温計の先っぽが折れてしまうのであった。
「先生、体温計が壊れました。」
オレは先っぽが折れた体温計を先生に渡す。
「なんで折れるの!?」
保険医の先生は目を見開いて驚いていた。
* * * *
<坂田十和視点>
ザコ双子は自爆。
ヤンキーは体温計を破壊。
ほんと、馬鹿過ぎる。
私は馬鹿達とは違うのだ。
私は余裕を持って体温計を脇に挟む。
何故慌てないかというと、もともと平熱が高いのだ。
だから馬鹿達のように策を弄する必要がない。
私はゆっくり体温計を保険医の先生に渡すのであった。
「37.2℃。
微熱?」
微妙な温度に保険医の先生も困っていた。
* * * *
<岩田渚視点>
さて、私はどうやってこの難局を乗り越えようか‥。
下手な小細工をするとかえって失敗しそうだ。
確か身体の中で一番体温が高いのは直腸の中って聞いたことがあるが‥。
いやいやいや、こんな皆んなの前で直腸は無理だよ。
あとは‥‥の中も体温が高いと‥。
そんな恥ずかしい事を考えていると普通に体温が上がっていたようで‥
「37.5。
顔を赤いし、熱があるようね。」
保険医の先生にも熱があると認識してもらえました。
* * * *
<鉄千視点>
馬鹿達はほっとくとして、まさかギャルが突破するとは‥。
しかもギャルはなんの小細工をしていない様子だった。
さて、どうやってこのミッションをクリアするのか‥。
私は目をつぶってアイデアを‥
ピッ
おでこの方から電子音が聞こえてくる。
「37.1。
微熱ね。」
まさかの非接触型で熱を測られるのであった。
先生!!私だけずるいよー
直接抗議できないので目で不満を訴えるのであった。




