特訓1
「ハハハハハ
ついに私の時代がやって来た!
待たせてすまない。」
運動場の隅で永野紅羽がテンション爆あげで叫びだす。
「お姉ちゃん、恥ずかしいから静かにして!
せっかく運動部の人が練習用のスペースを貸してくれたんだよ。
大人しくしないと追い出されるから‥」
妹の永野乙羽がバカな姉を宥める。
「おっ、すまない。
気持ちが昂ってしまったか。
まぁ、こんなチャンスは滅多に来ないからな。」
妹に注意を受けようが姉のテンションは下がることはなかった。
何故なら、この場に意中の人物がいるからだ。
「紅羽、乙羽、今日は宜しくね。
リレーの練習があってなかなか時間が作れなくて‥」
正が申し訳なさそうな顔をする。
「別に正くんが謝ることじゃないよ。
忙しいのに時間を作ってくれて、ありがとう。」
乙羽が正に笑いかける。
「ちっ、陰では文句たらたら言ってるくせに‥。
これだから卑しい妹は‥」
紅羽が小声で妹の悪口を言うと、それが聞こえたのか乙羽はノールックで姉のボディーに裏拳を叩き込む。
「ゔっぐっ!」
姉が悶えているが、そんな事は無視して正との会話を続ける。
「では、時間が惜しいので練習を始めます。
まずは正くんと私の足をバンドで止めます。」
そう言うと乙羽は正にバンドを渡す。
正は受け取ったバンドで自分の足と乙羽を固定する。
「あっ、もう少しキツくしてね。
途中で外れたら危ないから。」
乙羽の説明に正はマジックテープを強めにまく。
「大丈夫?
痛くない?」
正が心配するが乙羽は大丈夫だと笑顔で応える。
「それでは、私の足も‥」
紅羽が正の固定されていない方の足に近づく。
「あっ、お姉ちゃんは私の足にバンドを巻いて。」
「何でだよ!」
思わず声が大きくなる紅羽であった。




