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厄介なマタタビ

買い物を一通りして、全員をイメチェンさせるという計画はひとまず成功。

いやぁ、皆の服装が変ると、何だかいつもとは違う感じがするな。

それと、ついさっき公園で知ったんだけどワーウルフってマタタビに弱いのな。

猫みたい、そのせいでマタタビに酔った奴が出て来たから家へ帰る。


「うぅ…」

「いやぁ、私とセイナちゃん以外全滅とはね」

「意図的にやったんじゃ無いですか?」


俺以外が酔っ払った理由はイリアさんだった。

イリアさんが何となくでマタタビを俺以外に嗅がせた結果がこれだ。


「で、なんで俺にはマタタビをしなかったんです?」

「いやだって、セイナちゃんが暴走したら止められないし」

「暴走するかも知れないのにやったんですか…誰も暴走してなかったけど

 と言うか! 何でマタタビ嗅がせたんですか!?」

「興味本位、知的好奇心ね!」

「知的好奇心でその内、崩壊しても知りませんよ?」

「大丈夫よ、崩壊しない程度の知的好奇心よ、私は意外とそこら辺わきまえてるの」


確かに俺にマタタビを嗅がせなかったのは正しい判断だったかも知れない。

俺が酔って暴走したら、あの場に居る誰も止められないし

そもそも最悪暴走した皆を制圧できる戦力が居なくなるからな。

俺は力も強いから、多少の相手なら制圧できるけどさ。


「しかし、ワーウルフがマタタビを嗅ぐとここまで泥酔するとはね。

 ワーウルフにマタタビを嗅がせると酔うとか言う噂は聞いていたけど

 これは非常に危険な所ね」

「危険? 何でですか?」

「いやだって考えてみなさいよ、

 皆、ちょっと嗅いだだけで力が抜けたとか言うのよ? ほら」

「む、あ、うぅ」


うぅ…い、意識が、ちょっとだけ世界が歪む…足に力が入らない…


「ぅ…い、イリアさん…い、いきなりそんな…」

「ね? ちょっと嗅いだだけで動けなくなったでしょ?」

「そ、それが、ど、どうしたんですかぁ…うぅ…」

「問題じゃないの、マタタビ1つでワーウルフが抵抗できないまま誘拐されるわ」

「ん?」

「不意打ちでマタタビ嗅がされて、抵抗できない状態で誘拐とか洒落にならないわね。

 このままだとワーウルフが安心して過せないわよ。

 誘拐犯がこの方法に気付いたら悲惨なことになるわね」

「た、確かに…ん、んぁ」


あ、でも嗅がされて少ししたら元に戻るのか。

とは言え、あの状態で更に嗅がされたりすれば抵抗できないまま泥酔状態かな。

で、マリス達みたいに動けない状態になると。これは確かにヤバい。


「いやぁ、ただの知的好奇心だったけど、なる程これは発見ね」

「何か良い方法があるんですか?」

「いえ、発見しただけでどう対処するかはあまり分からないわ。

 でも、ワーウルフの身の安全を確保して貰わないと不味そうね」

(その内、誘拐されてチョメチョメされるんでしょうね、晴夜さん)

(洒落にならないから止めてください)

(まぁ、私が居れば問題は無いのですがね。

 一撃で酔いを覚ましてあげますよ)

(凄く頼りになるな…)


あの電撃を喰らわせて無理矢理意識を覚醒させる方法なんだろうけどな。

ちょっと恐ろしいが、最悪の事態を考えればマシな方か。


「うぅ…お姉ちゃぁん」

「お、マリス起き」

「お姉ちゃん大好きぃ!」

「はひゃ!」


な、なな、な! マリスが起き上がると同時に俺に抱きついてきただとぉ!


「お、おぉおぉおおお!」

「酔ってるわね、泥酔状態になったら酔ったままなのか」

「我が愛しの妹よ! ふふ、ついに俺の愛に気付いてくれたか!」

「…あれ? セイナちゃんもまだ酔いが残ってるの?」

「…マリスはぁ…わたしゃないぃ」

「ぬぉ! マリスは渡さないと良いながら俺に抱きつくか普通!」


今度は背後からクロが抱きついてきた、何このハーレム。


「マリスはぁ……」

「ふ、誤解してるのかも知れないが、俺はマリスでは無くセイナの方だ

 残念だったなクロ! マリスは俺の妹なのだ! 渡さんぞ!」

「ならぁ、まずはセイナを…落とすぅ…」

「はっはっは! 思考回路がごっちゃになったか! 馬鹿め!

 俺はマリス一筋! 貴様程度に落とされるほどヤワでは無いのだ!」

「しょ、 将を射んと欲すればぁ! 先ず馬を射よぉぉ!」

「お前、実はそこまで酔ってないな? 酔っ払った頭で出てくる言葉かよそれ」

「うにゃぁぅ」


いや、酔ってるな…焦点が合ってないし、酔った状態でその言葉が出るとは末恐ろしい。

しかしこれはどうすれば良いのだろうか? マリスに抱きつかれてクロに抱きつかれて。

これでは動けぬ! いや、動く必要性はほぼ無いがな!


「う、うぅ……あ、頭がクラクラぁ……」

「レベッカも起きたのか」

「だ、駄目じゃないセイナぁ…風邪引くよぅ…」

「悪いレベッカ、それ俺じゃねーわ、ポーラだわ」

「んー? 何だか大きくなって…あぅ、成長期ぃ?」

「レベッカ話を聞いて、それ俺じゃ無いから、ポーラだから」

「お胸も…ちょっと大きくぅ…」

「違う! そっちはメリー! と言うか胸を触ろうとするなよ! 

 そもそも、お前は俺の胸を触ったこと無いのに大きいとか分かるのかよ!」

「分かるでしょ、見た目で。まぁ、メリーちゃんも大きいとは言えないけど

 少なくとも子供のセイナちゃんよりはあるでしょうし」

「イリアさん、そんな冷静な解説は良いんであいつを止めて!

 色々と触りそうだから! 無自覚の内に凄いことしそうだから!」

「あなたは大丈夫なの? その子達に襲われてるけど」

「これは襲われてるんじゃ無いんですよ、クロは襲ってきてるけど

 マリスは違うのです! これは姉妹の愛を示す抱擁で!」

「妹の事になると…本当変な発言が多くなるわよね」

「むぅ…」

「ひゃひゃぅわ! 唇をこっちに向けないでくれマリス!

 駄目だ! 俺達は姉妹なんだ! そう言うのは越えてはいけない!」

「好きな人同士はぁ、キスをするって…」

「確かにその通りだ、だが姉妹の好きとは違う!

 キスって言うのはそもそも異性同士でやる物だからね?

 そりゃあ、一部の家庭であれば挨拶代わりのキッスを家族でするかも知れないが

 ディープな方はしない! ほっぺに唇を当てる程度だ!」

「じゃあ、ちゅぅ~」

「むふぁぁああ!」


お、おぉおぉおぉ! ま、マリスの唇が俺のほっぺにぃ!


「あ、あば、あばばばぁ!」

「お、襲われてるわけでは無いけど幸せすぎて精神崩壊しそうな状態ね」

「こ、これはヤバい! 何がヤバいか正確には言えないけどとにかくヤバい!

 死ぬぞ! このままでは心臓が張り裂けて死ぬぅ!」

「……だ、大丈夫そうね、私はこっちを何とかしましょ」

「わ、わらひも」

「むぉ! 首元にキスとは! クロ! 戻ってこーい!

 お前はそう言うキャラじゃ無いだろ!?

 お前は持っとこう、つんけんしてるキャラだろ?

 メリーと若干被ってる感じの!」


もう何だか滅茶苦茶な状態になってしまってる!

やばい! 誰か止めて欲しい! 止めてくれぇ!


「む、むむ、こうなればぁ…チャームでぇ」

「待った! 魔法は止めて! チャームとかヤバそうな単語ストップ!」


もうクロが最終手段を使おうとしてますけど!? 

と言うか! クロってどんだけ魔法のレパートリーがあるんだよぉ!


「ふんふふーん、情報収集も良い感じだし、帰れる場所があるって良いわねぇ」

「あ! アイル!」

「ん? え…何この状況…え? あれ? どうなってるの?

 セイナがマリスに抱きつかれてるのはまだ分かるけど、なんでクロも抱きついてるの?

 え? しかも何でイリアがレベッカ抑えてるの? 何この状況」

「ヘルプ! 俺とイリアさん以外酔っ払って収拾付かないんだ!

 レベッカの方は大丈夫だけど俺の方がヤバい! クロのチャーム喰らう!」

「へぇ、その子チャーム使えるのね。とは言えチャームは魅了とはちょっと違うのよ。

 こう、対象を性的興奮状態にする魔法って感じだしね。

 要は強制的に発情状態にする魔法だから、覚えていてもサキュバス以外は

 デメリットが大きい魔法なのよね~」

「解説は良いから止めてぇ! 俺までそんな暴走したら収拾付かなくなるから!」

「それは確かにね、吸血鬼をタイマンで倒せる子が暴走とか恐怖でしか無いわ。

 じゃあ、仕方ないわね。スリープ」

「む、むぅ…」

「あ、ありが……あ、あれ? 何か俺まで眠たく…」

「ごめーん、スリープって広範囲魔法だからゆっくり眠ってね♡」

「うぅ…それをさ、先にぃ……」


あ、あぅ…もう無理……い、意識がぁ……

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