回収されたフラグ
この世界はゲームを元にしているためか
フラグという概念が存在しているみたいだ。
昨日、散々フラグを建てていたアイルが帰ってこない。
流石に1日中何処かで迷うと言う事は考えられないからな。
「……アイル」
「今日、出発予定だけど…流石に放っておけないわよね」
「あのアイルって、サキュバスだっけ? 別に放置で良いと私は思うけど」
「まぁ、そんなに交流があるわけじゃ無いし、放置でも良いかな」
「冗談を言うにしても、もう少しふざけていってくださいよ。
本気で言ってるように聞えますよ?」
「ま、マジで?」
実はツッコミを待っていての一言だったんだがなぁ。
こんな風に言ったら、何かアイルが出て来たりするかもと思っていたが
残念ながら、そこは現実的な様で出て来たりはしないか。
(まぁ、攫われたんでしょうね)
(また久々に喋ったな)
(私の声が聞きたければ、もっと私が知恵を貸せるような状況を作ってくださいよ。
ただまぁ、今回はここだと思って言いましたけどね…喋ってなかったんで)
何か情報があるから出て来たわけでは無く、喋りたいから出て来たのか。
まぁ、流石のルアもこの情報は分からないと言うことだろう。
基本、初期設定しか把握してないみたいだし、後の自然と変化した要素は分かってないと。
「…さて、どうしましょうかね、私は探したいけど」
「俺も出来れば探したいです」
「私も探したい!」
「マリスがそう言うなら、俺は絶対に探すぞ」
「セイナの判断はマリスの判断に大きく左右されるんだね」
「そりゃそうだろ、マリス第一だ」
マリスが早く帰りたいというなら…まぁ、そっちを選ぶかな。
「なら、捜索をすると言うことで良いわね。
出発はいくらでも延期できるし問題は無いわ。
それよりも目下の問題を解決するべきね」
「なら、私も知り合いを集めて捜索をします」
「ありがとう、頼むよ。しかし同盟を組んで最初の仕事が
俺達の知り合いの捜索ってのは、何か申し訳ないな」
「いえ、これから私達の方が迷惑を掛けると思うので問題ありませんよ」
「分かった、じゃぁお前らの方で問題あったら言ってくれよ。助けは惜しまないから」
「ありがとうございます」
「ふふ、嬉しそうねメリー」
「ま、まぁ…」
「それじゃ、ちゃんと見つけ出しましょう」
「私も少数を動かして捜索をするわね。
大多数を動かすと気取られるかもしれないからね」
「分かりました」
イリアさんは大商人。血眼になってアイルを探しているとバレてしまえば
それは弱みを見せてしまうのと大差ないと言えよう。
だから出来る限りは表沙汰にならないように動きたい。
なら少数で捜索をしよう、と言う事かな。
商人というのは、何ともも大変な物だ。
「さて、まずは候補を絞ろう」
このクソ広い王都をむやみやたらに探索となると苦労するからな。
だからまずは候補を絞り、そこを集中して捜索だ。
昨日のアイルの言葉から考えて、アイルは仕事場を探していた。
仕事場というのは、そりゃあ、エッチい意味の仕事だろう。
まずは情報収集と言っていたから、その候補を回っていたと考えられる。
その候補というのは恐らく貴族連中なのだろう。
とは言え、貴族とそう簡単に接触できるはずがないから難しいかな。
「うーん…多分、路地裏とかで…でもな」
「昨日、最後にあの子と会話をしたのって誰?」
「多分俺だと思います」
「なら、昨日の会話、覚えてる限りで良いから教えて」
「分かりました」
俺はイリアさんと全員に昨日の会話を告げた。
マリスに悪影響を及ぼさないように、放送禁止用語などはオブラートに包んで告げる。
それでも、一応は何を言っていたのかは分かって貰えたようだ。
「なる程ね…なら、裏取引とかに巻き込まれたのかもね」
「やっぱりそう思います?」
「えぇ、サキュバスは需要があるからね。
と言うか、コレクターってのは大体何処にでもいるから
数が少ない種族は狙われるわ。サキュバスは数が少ないし
狙われたとしても不思議はないのよね。
当然、ワーウルフも稀少だから狙われかねないけど」
「ワーウルフが住んでる村から来た身からして見れば稀少には思えませんがね」
「王都ではかなり稀少なのよ」
まぁ、街を見てもそんなにワーウルフは居なかったからな。
でも、数人は姿を見たし、稀少価値で言えば恐らくサキュバス方が上だろう。
そんなサキュバスが3匹もいたあの村は相当だったんだなって思うぜ。
まぁ、王都にも裏にサキュバスがいたとしても不思議ないが。
「だから恐らく調査の間に捕まったという可能性が高いわね。
サキュバスはそこそこ強いけど、圧倒的ではない。
とは言え、あの子を捕まえるレベルってなると中々に強いでしょうね」
「サキュバスを仮に危険度で表わすとしたらどれ位ですか?」
「私の予想では危険度はC位かしら、戦闘が得意というわけではないし」
「そんなに強くはないんですね」
吸血鬼にあそこまでぶるってたし、S以下なのは間違いないだろうが
まさかC位とはね。とは言え、これはあくまでイリアさんの予想でしか無いが。
サキュバスは危険でもないから、危険度はそもそも存在しないからな。
「所詮予想だけどね。獰猛性がないから逃げる事に特化してると思えるしね。
実力などを考えての危険度では無く、ただの脅威としての危険度で言えばG以下ね」
最低ランク以下、そもそも危険の要素が全く無いモンスターだからな。
人間との共存を目指している種族なんだし、危険ではないだろう。
「だから簡単に捕まる…裏取引が行なわれている場所には目星は付けてるけど
その中の何処に捕まっているかまでは不明ね」
「ある程度は目星を付けてるんだ…」
「えぇ、客の動きを読むのにも大事だからね。
ちょっと待っててね、シオ」
「はい、ここに」
シオさんは既にイリアさんが何を言うか分かっていたようで
手元には地図があった。流石はメイドさん…凄腕だな。
「ありがと、あら、もうマークも付けてくれてるのね」
「はい、話の流れから考えてこうなると予想していました」
「ありがとう。嬉しいわ」
イリアさんが俺達の前に地図を開いてくれる。
マークがついてある場所は3箇所。
2箇所は左右の城壁付近にマークが書いてあった。
イリアさんの屋敷がこの公園みたいな場所で、この丸が書いてある場所は
この屋敷から南側か。
で、地図の真ん中にもマークが書いてある…結構堂々としてるな。
「左右2箇所は昼間に、真ん中は夜に開かれているわ。
左右2箇所は主に道具などを取引してるわ。
真ん中は人身売買を行なってる可能性が高いわね」
「じゃあ、もしアイルが攫われたと仮定すれば」
「えぇ、恐らくはここね。シオ、開催までの時間は分かる?」
「今までの周期から考えて、恐らく1ヶ月後かと思います」
「確信はないけど、1ヶ月ね、ありがとう」
「そんなに待てません」
「えぇ、そもそも1ヶ月後は完全にタイムアップの段階よね。
仮に裏取引で商品にされて居るとすれば、当然調教の過程があるはず。
恐らくは今、何処かで調教を食らっていると思われるわ」
「そんな!」
「問題はその調教の場だけど、私の予想だとここかだと思うわ」
イリアさんが指した場所は、左の城壁付近に印されていたマークだった。
「でもここは」
「私の予想では、この裏で調教を行なっていると思う。
こっちを選んだけど、これは私が左側にいるからであって
当然、右側にも可能性はあるわ」
「なら、手分けをしましょうか。私達3人は左側を。
セイナさん達は右側をお願いします」
「分かった、俺達はこっちだな。向こうは頼むぞ?」
「はい、お任せください」
「あなた達2チームに、私の精鋭を1人ずつ付けるわ
セイナちゃん達にはナナを、メリーちゃん達にはシオを」
「ありがとうございます」
「シオ、ナナへ伝達お願い」
「分かりました」
よし、何処を探すかは決った…アイル、無事でいてくれよ。




