精鋭の1人
シオさんがそこから移動して少し時間が経つと
ナナと言われていた人がやって来た。
シオさんと同じメイド服を着ていて
真っ黒の髪の毛に赤い瞳が特徴的だ。
髪の毛の長さはかなり長いのだろう。
後ろで括っている髪の毛がかなり長い。
ポニーテールと言って良いのか分からないくらい長い。
胸の大きさもシオさんと同じほどで
やはり精鋭、戦うメイドさんとなると小さいのか。
「彼女もシオと同じくSランクの冒険者よ。
居合いの達人で、前衛をこなせるわ」
「居合いの達人と言う事は、剣の使い手と言う事でしょうか?」
「剣じゃなく、打刀かしら」
打刀って、確か日本刀とかそこら辺のことを言ってたっけ。
普通に刀と言えば良いだろうけど、打刀の方が何か格好いいかも?
「よろしくお願いします」
「打刀の使い手であり、Sランクなのだから相当よ。
確か剣術は極だったっけ」
「はい」
「そ、それでSランクだったんですか? もっと上じゃ」
「実力はもっと上だったかもしれないけど引き抜いたの」
「冒険者という仕事よりも、イリア様の護衛の方が私には合っていたのです。
相手を倒すよりも、守る。倒すよりも守る方が私は燃えるのです。
恩義ある恩人を、その身を挺し守る。これこそ私の心意気です」
「こんな風に、異常な程に真っ直ぐでね。
逃げるモンスターは逃がす奴だったから評価があまり高くなかったの」
「戦意を失った相手を追うなど、私には不可能でしたので」
な、なる程…こう言うタイプは確かに信頼できるよな。
馬鹿正直に1直線な人物ってのは本当に。
「今回の護衛は私では無いけど、ちゃんとやってくれるわよね?」
「勿論です」
「正直、セイナちゃんにはあまり護衛は要らないけど
マリスちゃんやレベッカちゃんの護衛を優先して」
「セイナ、と言う方は何故護衛の必要が無いのです?」
「強いから」
「なる程です。では、共に護衛を行ないましょう、セイナ殿」
ナナが手を伸ばしたのは俺ではなくレベッカだった。
いやまぁ、うん、大体慣れてる…強いと言われて
まずは子供の方に可能性を見いだす奴はいないだろ。
「あー、えっと、私はセイナじゃなくて…レベッカの方です」
「……む!? では…あ、あちらの」
「向こうは護衛対象じゃないわよ、向こうはシオの担当」
「……む!?」
うん、分かってないな…でも何だかこう言う反応を見るの…楽しい!
困惑している姿を見るというのもまた楽しい物だ!
いやぁ、意外性ってのは良いね! そりゃそうだよ。
俺みたいなちっちゃな餓鬼が強いとか言われても疑うって!
「……も、もしや?」
そして、ようやく俺達2人の方に視線を落とす。
俺がハッキリ見た彼女の表情は、明らかに動揺をしていた。
この表情を見るのは何だか本当に面白い気がする。
「……どちらが?」
「何か凜々しい方」
「……凜々しい…ですが幼子…あ、凜々しい方はこっちの方では!
耳もしっかり立ってますし、目もつり目ですし!」
マリスは耳しっかり立ってるし、目もつり目だからなぁ。
俺の場合は垂れ耳だし…む、今更なのだが
俺の容姿って、どっちかというと妹属性強い?
「残念ハズレ、その隣」
「俺がセイナです」
「な! お、女の子が俺と言ってはなりませんよ!
女子は女子らしく、お淑やかにですね」
まさか正体が分かって、最初の第一声が口調の指摘とはおもわなんだ。
こう、あなたがセイナさんですか!? 的な流れになると思ってた。
「え、えっと、この世界はどっちかと言うと女の方が戦ってますし
別に女の口調が強くても問題無いと思います」
「しかし、子供でその口調では…は! それよりもあなたがセイナ殿ですか?
見た目は完全にただの子供…見た目だけなら、どちらかと言えば頼りないのに!」
「それを本人を前に言いますか普通!? まぁ、確かに自分の姿を思い返してみて
姉というか、どっちかというと引っ込み思案な妹キャラかも? とか思いましたが!」
「お姉ちゃんが妹…想像出来ないよ」
「つっても、双子だし、先にどっちが出て来たか程度の違いしか無いんだろ?
案外、どっちが妹でも問題ないんじゃね?
むしろ、本来は俺が妹キャラだった可能性が」
「お姉ちゃんはお姉ちゃんだよ、私の自慢のお姉ちゃん」
「それを面と向って言われると、凄く恥ずかしいが嬉しいよ」
自慢の姉か…ふふふ、良いね! 褒められるってのは!
まぁ、中身男だから、どっちかというと自慢のお兄ちゃんの方が萌えるけど。
しかし! どっちだとしてもマリスは可愛いから萌えるけど。
「し、失礼しました。私、何とも失礼な物言いを…
確かにあの言い方は酷かったです。謹んでお詫び申し上げます」
「いや、頭を下げることはありませんよ。割と間違えられますんで」
「見た目はかなり弱そうだからね、セイナちゃん」
「う…否定はしません」
「さて、一応は能力を話してお互いの実力を測った方が良いと思うわ」
「そうですね、えっと。俺は格闘(特大)持ちなんで、前衛が出来ますよ」
「と、特大! その容姿で!?」
「あ…はい、け、剣術は中程度です。
一応、大体の武芸は鍛えたんで、ちょっとは出来ますよ。
銃と弓も中程度なんで、後衛も出来ます」
「オールラウンダーですね。私は剣術程度しか突出した物がありません」
「私は弓術が中程度で…弱いんですけどもっと強くなります!」
「私も弓術は大程度、あまり強くはありませんが精一杯サポートします」
「よろしくお願いします! しかし、これだけの手練れ…ギルドランクもかなり」
「最低ランクです」
「……は!?」
やっぱり驚くよね、予想は出来ていたんだけど予想通りだった。
まぁ、このランクはアリスさんの心遣いだから、別に構わないが。
一応、Aランクの紹介状はあるが、これを出すのはまだ先だな。
「……ふむ、しかしイリア様の護衛をこなしたと聞きましたが。
ギルドはイリア様の護衛にGランクを? それは流石に…」
そして、その話を聞いて最初に感じたのは主への扱いというのが流石だな。
忠臣って感じ。何より主を最初に考えるという感じか。
「私が自分でお願いしたのよ。恩人だからね。
ランクが低いってのは驚いたけど、別にランクはどうでも良い。
私は実力よりも信頼が出来るかどうかで相手を判断するのよ。
商人として、まずは信頼が大事なのは当然よ」
「なる程、イリア様が直々に、ならば十分な実力があったのですね」
「さて、話が異常な程に脱線したわね。
早くしないとアイルが大変よ。
指示の概要はシオから聞いた?」
「はい、彼女達の護衛と、攫われたというアイル殿の救出ですね」
「えぇ、ある程度の位置は予想したけど確定じゃない。
何処を探すかが定まっただけで、ここにいると決ったわけではないの。
だから、ひとまずは予想箇所の捜索。居ない場合は別の可能性を当って。
アイルはもはや私の友人。必ず救出するように」
「はい! お任せください」
アイルの探索…ナナさんが一緒に探ってくれるというのなら
かなり心強い。とにかく今は急いでアイルが居るかも知れないと言う
場所を探すぞ。アイルを見つけ出して救出しないと。
絶対にエチエチな目に遭ってるに違いない!
そもそもサキュバスとか、そう言う目に遭うか遭わされるかの存在だし!
とにかく急ごう! 卑猥な妄想をしてしまうけど
その妄想が現実の物になっていたら大変だからな。
妄想は、出来るだけ実現しない方が良いのも事実だ。
妄想が妄想のままである方が、最も夢を見られるのだから。
今回は夢だとか、そこら辺の話ではないんだけどな。
仲間の危機を放置というのは後味が悪すぎるんでね。
「それと、大事な事なんだけど」
「は、はい」
「もし、奴隷商に侵入して先客が居た場合、全部潰しても構わないわ」
「え? 何でそんな事を言う必要が?」
「あぁ、躊躇うかなと思ってね。多分、貴族連中が居てもおかしくないから。
だから伝えたの。潰しちゃっても私が何とかするから安心して」
「は、はぁ…わ、分かりました…でも良いんですか?
貴族達を倒したとすれば、かなりの騒動になりますし
俺達が目の敵にされる可能性だって十分」
「大丈夫よ、その時はちゃんと私が手を打つから」
「…わ、分かりました」
うーん、何か恐いけどイリアさんを信じるしかないだろうな。




