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次のハンティング

全く昨日は散々な目に遭った、結構反動大きいな。

あれは確かにそう何度も使いたい技では無いな。

使用後、1時間経過したらやる気が削がれるというのは致命的だ。

でもまぁ、それでも瞬間的攻撃力が馬鹿みたいに上がるし

使い所さえ間違えなければかなり便利の良いスキルと言えるだろう。

とりあえず俺達はその後日、再びギルドへ足を運んだ。

俺の借金は相当ある、こっちの世界で1億ゴールドも稼がないといけない

それは本当に大変だし、あの程度の額ではちょっと間に合わないだろう。

と言う訳で、休む暇なく、再び俺達はギルドの依頼を受ける事にした。

マリスやレベッカには俺の事情で迷惑を掛けるな、ちょっと心苦しい。


「ようこそ、また随分と早い登場で」

「まぁ、色々とありまして、それに出来れば早く経験を積みたいですし」

「なんで?」

「やっぱり大金稼ぎたいからですかね」

「そんなにお金にがめつかったかしら、あなた。

 まぁ良いわ、成長したいと言う事でしょうし」


うん、好意的に受け止めてくれて助かった。

あのままガメツイ扱いだったらちょっとなんか気分的に沈むし。

実際、そこまで俺はがめつくないんだ、ただ今回は事情がある。

そう! 短い間に早く1億ゴールドを稼がねばならぬと言う事情が!


「それじゃあ、今回は依頼額が大きい依頼を用意しましょう」

「本当ですか!?」

「えぇ、そう言うのもあるのよ、処理したい依頼でもあったし

 えっと、これね、あなた達、前にダート村に向ったわよね」

「はい、行きましたね」

「その近くでの依頼なの、最近街道に出てくる魔物が居てね」

「あぁ、熊の」

「まぁ、そうなんだけど…」

「他にも居たんですね、そいつ」

「んー、そうみたいね、依頼が来たのがちょっと前だから

 確かその時はピンクキャットの援護もあって撃破出来たのよね?」

「はい、その通りです」

「じゃあ、今回は力試しかしら、報酬額は2万、結構危険なモンスターだからね」

「それは大きい!」

「ワイルドハントとは少し違って、防御力が高いからね。

 大きな矢で相手の急所を狙えば良いけど、それは不意打ちじゃ無いと難しいの。

 流石に正面から飛んで来た矢なら簡単に撃ち落とせるからね。

 ピンクキャットの援護が不意打ちだったから、その時は倒せたのかも知れないけど

 今回はそうは行かないでしょう、アドバイスとしては

 まず弓術部隊2人を別途に配置、そしてセイナちゃんが

 その熊を誘導して、2人が死角になるように動かす。

 そこに2人のうち、どちらかが攻撃を仕掛ける。

 この際に、毒矢を利用することをお勧めするわ。

 成功すれば、一気に行動が鈍くなり、弱体化するからね。

 成功さえすれば相当有利になる、ただ失敗すると無差別に攻撃を始めるから

 セイナちゃんの負荷が増すわ、確実に成功させるようにして」

「分かりました」

「それじゃあ、お願いね」

「はい、場所は何処です?」

「場所は特定出来てないのよね、こいつランダムに動くから面倒なのよ。

 だから、その探索もあなた達の仕事になるわ、だから報酬額は2万なの」


ほぅほぅ、そう言う場合もあるのか、確かに結構珍しいモンスターみたいだし

見付からない場合というのもあるんだな、それならまぁ、探すだけだ。

その分報酬に上乗せされているというなら、やらない理由もないだろう。


「それじゃあ、行ってきます」

「えぇ、気を付けてね」


俺達はこの依頼を受け、ダート村へ歩き出した。

あのモンスターは街道で出てくるみたいだから警戒しよう。

まぁ、街道に出てくるから速急の対処がしたかったんだろうしな。

そうじゃ無いと、この依頼を最優先で消火させようとはしないはずだし。


「よし、警戒して進むか」

「はい!」

「今度はちゃんと当てるよ!」

「頼りにしてるぞ、でもマリス、気負いしすぎるなよ? 

 お前は冷静になって戦えば絶対に当てられるんだから。

 あまり焦って倒そうとするなよ?」

「う、うん」

「それと、相手に当てればいいわけだから、急所を狙う必要も無い。

 当てる事さえ出来れば、俺達の勝算は一気に跳ね上がる。

 だから、もし遭遇したら倒そうとするな、当てようとしろ、分かったな?」

「うん!」


マリスが千弓を強く握った、今度は役に立つという決意を感じる。

マリスが今まで役に立たなかったことは殆ど無いんだけどな。


「しかし、何か3人でこの道を歩くというのも斬新な気がするな」

「そうですか? 普通だと思いますけど」

「まぁ、これから普通になるだろうしな」

「そうですね」

「しかしこの光景、はたから見たらどんな風に見えるんだろうな。

 子供2人に大人1人、大人と言うにはちょっと若々しい気がするが」

「あはは、そうですね、まだ16ですし」

「うーん、どうなんだろう、姉妹に見えるかな?」

「あぁ、それあり得るな、かなり歳の差がある姉妹だ」


実際、レベッカは姉のように頼り甲斐もあるしな。

なんかこう、安心感がある、大人がいると違うね。

しかしながら、実年齢的には俺の方が年上なのだが。

ほら、転移前は大学生だったから、18は超えてるんだよね。

20歳は行ってなかったけど、この中で1番の年上なのは違いない。

ま、今は7歳児なんだけど、だが実際、こんな性格の7歳児はいるのか?

早々居ない気がするな、こんな性格の7歳児がいたら

どんな修羅場を潜ってきたんだよって思う。

7歳で修羅場潜りすぎだろ、って感じだな、ま、そんなの居るわけないけど。


「はぁ、にしてもやっぱり街道は歩きやすくて良いな。

 森は本当に歩きにくいし見通しも悪いしで最悪だった」

「ただ街道は人の足跡が多いので足跡の追跡が難しいです。

 それに今回の相手は街道で戦う事になるでしょうし

 出来れば早急に排除しないと、時間を掛けると一般の方が来るかも知れません」

「それはあり得るかな、でも、街道の割にここら辺は人少ないが」

「辺境の地ですからね、5年前に開拓されたばかりの地です」

「5年って…長いような、そうでも無いような…」


意外と微妙な時間だよな、5年って…長いのか短いのか。

まぁ、感覚的には長いんだろうな、小学生で例えれば

小学1年生が最高学年になった感じだし、長いか。


「でも、これ以上の開拓は今の所されて無いんですよ」

「そうなんだ」

「はい、少なくともこっち側の開拓はね。

 殆どが別方向を開拓してるみたいですし」

「よく知ってるな」

「アリスさんから聞きました、書類の整理を手伝ってる間に」


そう言えば手伝って貰ってるって言ってたっけ、その時の話か。

じゃあ、ここはどっちかと言えば最前線なわけだ。


「覚えてるか分かりませんが、5年前の私達って狩猟民族だったんですよ?」

「そうなんだ、覚えてないな」

「5年前ですし」

「…昔の話は良いよ、それより熊を探そう」

「……は、はい」


マリスの雰囲気が変った…何でだ?


(その時に、あなた達の両親が命を落としたからですね)

(ぎ、疑問を読まれたのか?)

(いえ、このタイミングに疑問を抱くだろうと予想してです。

 読んだわけでは無く、予想で、的中したみたいですね)

(…まぁ、その通りだな)


そうか、だから露骨に話を逸らしたのか、その時のことを知っていた

レベッカも、すぐにマリスの意図を把握して話を止めたと。

何も知らないというのは、こう言うときに困る。

感情的になれない、それはどうしようも無く辛い事だ。


「えっと、それで足跡とかあった?」

「いえ、足跡は未だ確認できてませんね…あ、いえ、前言撤回です」


周囲を見渡していたレベッカの目に何かが止まったみたいだった。

レベッカはすぐにそこへ走り、俺達も付いていった。


「…これですね、この足跡です」

「森の方へ移動してるな…こりゃ面倒だが好都合か」

「えぇ、森の中での戦いであれば、被害が出ることも少ないでしょう」

「うん、頑張る」

「と言うかここら辺、森多くない?」


街道を歩いている間だ、周囲の殆どは森で覆われていた。

平原だったのは恐らく俺達が過ごしていた村付近だけだ。

そこは整地されているが、少し奥へ行けば森がある。

そんで、街道を歩いてる間も、ずっと左右は森。

森を切り開いて街道を作ったという感じなのか?


「はい、ここは未開の地ですからね、開拓も殆ど進んでません。

 なので、森の中は未知のエリアとなっています。

 とは言え、私達の狩り場だったので、庭みたいな物ですが」

「へぇ、最奥には何があるんだ?」

「…行ったことありませんね」

「なんで?」

「危険だからです、狩りをするときにあまりにも離れすぎると

 道も分からなくなるので、狩りの範囲は定められていました。

 それ以上の進行は駄目だと言う線も森の中の何カ所に引いています。

 なので、それ以上進むことは私達には出来なかったんです」

「なる程ね、森の奥地は不明か」

「やっぱり2歳だったから覚えてないんですね」

「まぁ…狩りを教えて貰う前だし」

「そうだね、少しコツを話して貰った記憶はあるけど」


そ、そうなんだ…流石狩猟民族、2歳児に狩りのコツを話すのか。

とは言え、話すだけで実戦はしてなかったみたいだけど。


「でも、お姉ちゃんは全く聞いてなかったよね、弓術の練習も

 何一つしなかったし、ずっとその身1つでって感じだったし」

「そ、そりゃな! やっぱり遠距離攻撃よりも接近だろ!」

「あはは、流石お姉ちゃん」


知らなかった…そんな性格だったのかこっちの世界の俺!

いやまぁ、実世界の俺でも絶対そんな感じだったと思うけど。

練習とか面倒だ、実戦やらせろ! とか、そんな感じだったはず。

そりゃぁ、実戦やる方が確実に成長出来るしやる気も出るからなぁ。


「流石という感じですね、しかしこの場では私の狩りの知恵が役立ちます。

 そうですね、足跡の形状から、少し荒れているのが分かります。

 下手に接近するのは危険だと予想できますね」

「そこまで分かるのか」

「はい、自信ありますよ! それじゃあ、行きましょう、足跡を辿って」

「分かった」


俺達はレベッカの後を、ワイルドハント捜索時と同じ様に周囲を警戒しながら進んだ。

今回の相手はワイルドハントみたいに頭がよくなければ良いけどな。

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