姉の為に
何とかお姉ちゃんのお陰であの熊は突破できたけど
だ、大丈夫かな、お姉ちゃん…お姉ちゃんが強いのは知ってるけど
それでも…あの熊は凄そうだったし…うぅ、し、心配だよ…
で、でも、今は急いでケミーさん達に話さないと!
お姉ちゃんを助けようとしても、私じゃ…
「はぁ、はぁ」
「ケミーさん! ケミーさん!」
うぅ、む、村ってここだよね、付いたけどケミーさんもレベッカさんも居ない。
何処に居るの!? い、急いで探さないのお姉ちゃんが!
ど、どうしよう…と、とにかく探さないと!
「何処に居るの!? レベッカさん、ケミーさん…うぅ」
うぅ、し、知らない人が私の方を見てる…お、大きな声が出せない。
うぅ、こ、恐いよ…お姉ちゃん…うぅ!
皆が私を見てる、変な物を見てるような目で、私を見てる。
お姉ちゃん…お姉ちゃん…寂しいよ、恐いよ…で、でも
でも、頑張って探さないと、勇気を出して探さないと!
お、お姉ちゃんが…私がしっかりしないとお姉ちゃんが!
「れ、レベッカ…さ、さん…は」
「ん?」
「な、何でもありません!」
「え?」
は、話し掛けられない…恐いよ…でも、聞くのが1番早いし。
だけど…うぅ……だけど、勇気が…勇気が出せない。
急がないと駄目なのに、急がないとお姉ちゃんが…
こ、怖がってたら駄目、お、お姉ちゃんの為に勇気を出すの!
ず、ずっとお姉ちゃんに頼ってたら駄目なの、ひ、1人でも出来るもん!
ひ、1人で何とかしないと、お、お姉ちゃんはもっと大変なんだもん!
「す、すみ、すみません…」
「どうしたの?」
「そ、その…れ、レベッカ…って、人…し、知りませんか?」
「レベッカ? いえ、知らないわ…どんな人?」
「あ、え、えっと…わ、私みたいに耳が生えてて…」
「耳が生えた人ね、見たことがあるなら分かるのかも知れないけど
ごめんなさい、私は見てないわ」
「あ、はい、あ、ありがとうございました」
「いえいえ、力になれないでごめんなさいね」
うぅ、だ、駄目だった…勇気を出して話し掛けたのに…
お、お姉ちゃんだったら、もっと上手くすぐに探すのに。
お姉ちゃんだったらどうするんだろう…うぅ、か、考えて。
お姉ちゃんがする事はいつも正しいんだから、お姉ちゃんの真似をすれば
きっと、私も上手く出来る!
お姉ちゃんは…お姉ちゃんなら…うぅ、分からない、分からないよ!
話を聞くしか無い…私はそれしか出来ないもん!
「あの、すみません」
……何度か話を聞いたけど、レベッカさんとケミーさんの場所は分からなかった。
うぅ…ど、どうしよう…もう結構時間が経っちゃった!
お、お姉ちゃん…お姉ちゃんが…うぅ、う!
「う…ヒック…お姉ちゃん…ご、ごめ、ごめん、ごめんなさい…ごめんなさい…
わ、私が…私じゃあ…うぅ……」
「……マリスさん?」
「え?」
涙のせいで霞んで見えないけど…少しだけ見えた。
レベッカさんだ!
「れ、レベッカさん! さ、探したんです!」
「もしかして、お姉さんとはぐれちゃったんですか?
それなら、ケミーさんにも協力して貰って探しますよ。
何処ではぐれたか教えてください」
「ち、違います! お、お姉ちゃんが! お姉ちゃんが危なくて!」
「え!? わ、分かりました、緊急事態ですね!
付いてきてください、私達の宿はこっちです!」
レベッカさんに案内して貰って、その宿って場所に連れてきて貰った。
そして、レベッカさんは急いでケミーさんを呼ぶと言って
部屋から出ていった…うぅ、は、早くしないと…もう凄く時間が掛ってる!
1時間は…お姉ちゃん…お姉ちゃん! どうか無事で…お願い、神様…!
「聞いたわ! どう言うこと!?」
「け、ケミーさん! え、えっと!」
私は走ってきたケミーさんにお姉ちゃんの事を話した。
ケミーさんは少し表情に焦りを見せ始めた。
「……参ったわね、まさかそいつと遭遇するなんて…
ちぃ! あの子は不幸体質なの!? あぁもう!」
「ど、どう言うことですか!? 熊じゃ無いんですか!?」
「説明は後よ、でも、答えから言うと…熊じゃ無い、そいつはモンスター」
「え!?」
「…殺されるという事は無いでしょうけど…どっちにしても酷い目には遭う。
中々に厄介だし、そう簡単に撃退出来る相手でも無い、くぅ!
よりにもよって、遭遇確率が低いそいつに遭遇するなんて…」
「お、お姉ちゃんを!」
「分かってるわ! 急ぎましょう、レベッカ!」
「はい!」
「私も!」
「…そうね、急ぎましょう」
「はい!」
私は2人と一緒に、急いでお姉ちゃんと別れた場所へ移動した。
走るのは苦手だけど、必死に走って何とかお姉ちゃんとはぐれた場所に来た。
……そこには、お姉ちゃんの姿は無かった。
その代わり、頭に大きな矢が刺さっている、熊が倒れてる。
「こ、この熊…です」
「間違いなく、例のモンスターだけど…何でもう死んでるの?
あ…爪に血が…そして、出血の後…そこまで多くはないわね。
多分、ここにセイナちゃんが居たと思うけど…」
「お姉ちゃんは何処に!? お姉ちゃんは!」
「足跡が複数……少し消えかかってるわね、恐らく1時間ほど前の物ね。
足跡の大きさから女であると予想できる、そして20は過ぎてるわ。
そして、ここにある小さな足跡は…恐らくセイナちゃんの物。
でも、この足跡以外にセイナちゃんの足跡は見えない。
多分、抱き上げられたのでしょう…」
「じゃあ…! お姉ちゃんは!?」
「……最悪、掴まったわね、ピンクキャットに」
「そんな!? 何で!? お、お姉ちゃんなら捕まるなんて事!」
「予想できるのは、あの熊、ベアードブースとの戦いでの負傷。
怪我をしていたから戦う事が出来なかったという可能性。
でも、あまり重傷では無いみたいだから、可能性は低いか。
もう1つは…私達の正体がバレないようにあえて捕まったか。
多分、マリスちゃんの姿もピンクキャットは確認したはずだしね。
そして、この熊の傷は後頭部のこの矢以外に負傷は無いから
恐らく、セイナちゃんはこいつに攻撃を入れていない。
逃げる事を優先したと考えるべきかしら。
その状態で発見され、ピンクキャットはあまり自分を警戒していないと判断。
実力が分かっていないと予想し、後々の事を考えてあえて捕まった。
良い判断と言えるのかしらね…そうだとすれば、私達が合流していても
あまり違和感は無い…知り合いだと思われない可能性もある。
恐らく、姉が攫われたからその妹を私達ギルドのメンバーが保護している。
そう考えるでしょう…そして恐らく、ピンクキャットはマリスちゃんも狙うわ」
「え!?」
「狙いやすいし、ほぼ確実にこの場から離れない。
私達が居るからあまり狙いにくいでしょうけど…きっと狙ってくるわ。
囮作戦が無難かもだけど、流石に危険か…しばらくは捜査を続行かしらね」
「お、お姉ちゃんの為なら、私は囮になっても!」
「あなたまで攫われたら、最終手段が無くなるの。
それに、わざとらし過ぎると確実に警戒されるわ。
今までの調査で分かったことは、ピンクキャットの襲撃は夜間が多いと言うこと。
まさか白昼堂々とくるとは…いや、熊が出て来たからその隙を突いてなのかしら。
それとも…熊に襲われてるセイナちゃんを助けるため? その成り行きで攫った?
どっちにせよ、夜間に罠を張るしか無いわね」
「でも…お姉ちゃんが…」
「早く助け出したいのは私達も同じだけど、我慢して…」
私のせいだ…私がもっと早くケミーさん達を見付けていれば
そうすれば、お、お姉ちゃんが攫われるなんて事無かったのに。
私のせいで…お姉ちゃん…ごめんなさい、ごめんなさい…!
「泣かないで…必ず助けるわ…本当、私としたことが情けない」
お姉ちゃん…お願い…無事で…無事でいて…
インフルエンザになってしまいましたが
こちらはストックがある為、いつも通りの更新を行ないます。
回復すれば、活動報告にて報告したいと思います。




