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驚愕の報酬

結局魔法の訓練をする事無く1日が経過してしまった。

俺達は次の日にイリアさんから報酬を貰う事になった。

報酬額は…1000万、俺達全員合わせて1000万


「…………あ、その…」

「どうしたの? そんなに固まっちゃって」

「いや! 額! 額がおかしいんですけど!? 0を何個か多く付けて!」

「いやいや、正真正銘よ!」

「……あ」


その報酬額を掲示されてすぐ、目を点にしたマリスは気絶をした。

いや分かってた、マリスがこの値段を見れば気を失うのは分かってた。

と言うか、俺も失ってしまいそうなほどというか。


「どうぞっと」

「そしてその巨万の富を鞄からさらっと出さないで!」

「私のポケットマネー、なんちゃって」


さらっと俺達の目の前に置かれた巨万の富。

あ…あぁ、その場面に居合わせているアリスさんとケミーさんも目が点になっていた。

そうだ、最初に掲示された報酬額とはあまりにも桁が違いすぎる。


当然、メリー、レベッカ、ポーラさんも同じく呆然としている。

いまいち喜んでいないのはクロだけあり、あまりお金には興味が無いのだろう。


「丁度ギルドだし、貯金する? パーティー用の貯金とか?」

「あ、いや…えっと…」

「そう言えばセイナちゃんがお金の管理は完璧なんだっけ?

 購買スキルだったかしら、前にスキル買ってた奴。

 でも、一点に全額って言うのは購入時限定をお勧めするわ。

 上手く分配して保管してたほうが、後からの立て直しも可能よ?

 

 だって、セイナちゃんに全額だと、セイナちゃんが攫われたりしたら資金が無くて

 助けに行こうにも体勢を整えられないだろうしね。


 と言う訳で、ギルドにパーティーとして貯金。

 で、個人貯金をいくらかして、残りはセイナちゃんに預ける形をお勧めするわ。

 何なら、株投資をしてもっと増やすのもありよ? 教えてあげるわよ細かく。

 て言うか、私が資金繰りをしてあげても良い。最高の結果を保証するわ」


そりゃあ、イリアさんに預けて資金を増やして貰った方が確実な手ではある。

とは言え、お金が必要なのは間違いないとい。

しかし、すぐに資金繰りとか考えられるのは流石だ。


「私のお勧めは半分を私に預けて資金繰り。もう半分を貯金という形ね。

 ハッキリ言うけど、私に資金繰りをして貰えるって凄い事よ?

 それはもうね、大商人がスポンサーに居る様な物だし。


 と言うか、スポンサーになってあげても良いわよ?

 あなた達にお金を継続的に投資して、私の宣伝をして貰うとか。


 私としてはセイナちゃん達には養子に

 レベッカちゃん達は私の元で働いて貰いたいんだけど

 それが駄目そうならせめてもの協力をしたいという事よ」


イリアさんがバックに居るって凄まじいことだよな。

だってイリアさんがバックに居れば食いっぱぐれる事は無いわけだし。

それにイリアさんがバックにいると言うことは

同時に王家もバックにいると言うことになる。

イリアさんという後ろ盾が居ると言うだけで、勝ち組ルート確定だろう。


「イリアさんの支援があるのは嬉しいですけど…でも、迷惑は」

「迷惑だと思うなら自分からは言わないわよ? 

 こんな千載一遇のチャンス、逃す手は無いでしょ。

 とか言ってみても、正直これは千載一遇のチャンスでは無いけど。

 私と交流がある地点でどんな場面でも手に入るチャンスだしね」


イリアさんに会いに言ってスポンサーになってくださいと言えば

いつでも受ける、みたいな感じの物言いである。


「そもそもね、私としてはこの話に乗って貰わない方が迷惑なのよ」

「そうなんですか?」

「えぇ、商売人は宣伝が大事だからね。

 これからドンドン勢いを加速させて行くであろう冒険者。

 スポンサーとして引っ付いていれば、商売の幅はドンドン広がる。


 最初に唾を付けた商人って、かなり優位性あるのよね。

 宣伝効果も間違いなく高いし。

 つまりこれは私としても商人としての取引だと言う事よ」

「……じゃあ、俺達がこれ以上の戦果を残せなかったとしても

 文句は言わないでくださいね?」

「言わないわよ、私の目が間違っていたと言うだけであなた達に何かは言わない。

 と言うかそもそもあなた達は既に当たり枠。国の英雄よ?

 これ以上の戦果を残さなかったとしても宣伝効果は間違いない。

 あなた達が何もしなくても、大いに私を宣伝できるの」

「……冒険者にスポンサー…」


俺達の話を聞いていたアリスさんが不思議そうな表情を浮かべていた。


「もしかして、冒険者にスポンサーって」

「……前例が無いわ」


冒険者にスポンサーが付いたと言う例は今まで無かったと言う事か。

じゃあ、イリアさんはさらっと今までにないことをしようとしている。

失敗するか成功するかも分からない、前例の無い手段。

それをすぐに発想し、躊躇いなく行動に移すというのか。


「お金持ちの余裕って奴よ。金がある奴が新しい事をしないとね。

 失敗しても致命傷にはならない。金があるのに新しい事に挑戦しないとか

 金を無駄に持ってるだけよね。私は常にチャレンジャーでありたいの」

「……流石イリアさん」


今までにないことに積極的に挑戦していくというスタイルか。

流石だよ、流石イリアさんだ。


「……」


その話を聞いて、俺はレベッカ達に視線を向けてみた。

俺の意図が分かったのだろう。全員、小さく頷いた。


「……分かりましたイリアさん。その挑戦、俺達もお手伝いします」

「ありがとね、ふふ、あなた達には助けて貰ってばかりね。

 ひとまずスポンサーになるから、これねこれ、ステッカー」


鞄からあまり大きくないステッカーを人数分取り出した。


「これを貼ってて、目立つ所に付けなくても良いけど、出来れば付けて欲しいわ。

 でも、見た目がダサくなったら可哀想だし、そうならない場所に付けても構わない。

 その場合でもお金は普通に払うわ。で、これはギルドバッチに付けてね」


小さめのステッカー…ギルドバッチに付けて何か支障はあるのだろうか?

何かこのバッチで撃破したモンスターとかを識別するとか言ってたけど。

まぁ良いか、何も無さそうな場所に付けておこう。


「よし、これで完了ね。凄く簡単」

「これで宣伝になるのか微妙ですね」

「多分なるわよ、ならなかったら別の方法を考えるけど」

「確信は無いんですね」

「もちろん、最初の1歩は試行錯誤の毎日なんだから。

 私はその過程が好きなの。結構1発で事足りちゃうことがあるけど」


さらっと1発で最善の手を見付けてると言っているな。

本当、流石の1言だよ。


「とりあえずこれで新しい試みを始められるわね。

 あぁ、そうだそうだ、ギルドの規定上問題は無いだろうけど

 所属ギルドによっては色々あるらしいし、一応聞くけどこれ大丈夫?」


俺達にステッカーを貼った後にイリアさんはアリスさん達に大丈夫かを聞く。

正直、駄目なら既に止めに入っているだろうしあまり意味の無い行動だろう。


「あ、はい問題はありません。問題があればそもそも止めますよ」

「そう、ありがとうね。じゃあ、この流れであなた達ともお話しをしようかしら」

「お話し…ですか?」

「えぇ、この村に支援をしたいの」

「……え?」


さ、さらっと村にも支援をしようと…確かに今この村を仕切ってるのはアリスさんだ。

前までは俺達の両親だったみたいだが、今はアリスさんだしな。


「私の恩人が住む村。出来ればこの村にも支援をしていきたい。

 で、ここに私の拠点を作っておきたいのよ。

 そうすれば、ここら辺の小さな村に安定して支援も出来るわ。

 村も発展するでしょうし、この村にとってもあまり悪い話じゃ無い筈」

「…確かに、村が発展するのは喜ばしいことです。

 しかしそれは私の一存では判断できません。

 私達は村民達の意思を尊重しております」


やっぱりそういう風に方針を決定してたんだな。

元々この村の住民では無いって言うのもあるんだろうけど。


「じゃあ私が直接話をしてくるわ、誠意が伝わるように」

「時間が掛ると思いますよ?」

「えぇ、分かってるわ。交渉は時間が掛るのが当然だもの。

 さて、今日から忙しくなるわね。色々と考えないと。

 あ、そうだお金の件はどうする?」

「えっと…どうする?」

「セイナが決めて、ほぼリーダーなんだから」

「いやでも相談しないと、と言うか俺はいつの間にリーダーになったんだ?」

「私達のリーダーはメリーだった。で、セイナ達はセイナがリーダー。

 で、メリーがお前を尊敬してる。そうなればリーダーはセイナになる。

 副リーダーがメリー、こんな感じだと思ってた」

「…そ、そうなのか、俺はこのチームのリーダーになってたつもりは無いが

 まぁいいや、それなら俺が決めようかな。じゃあ、イリアさんの提案通り

 半分はイリアさんにお預けします。残りの200万はパーティーの貯金。

 残り300万はメンバーと相談して、個人がどれだけ持つかを考えます。

 一応聞くけど、これで良い? 何か意見があれば聞くけど」

「セイナさんの考えに従います」

「私もよ」

「まぁ良いよ、お金はあまり興味無いし」

「私も問題無いかな」

「……」

「はい、1人から返事は無いけど、とりあえずこれで通すか」


そりゃあマリスは気絶したままだからね、反応無いのは当たり前なんだよな。

とりあえずこの方針で決めて、後は個人の所持額を相談して決めるか。


「じゃあ、個人所持額はマリスが目覚めた後に相談しようか」

「分かった」


このメンバーがあまりお金に対して執着してないようで安心したぜ。

これが執着してるような奴らだったら、かなり苦労しただろうなぁ。

色々な不運には遭遇したが、仲間運はかなり恵まれているようで安心したよ。

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