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魔法の訓練?

「私も魔法を覚える!」

「……」


うーん、飯を食い終わった後にクロに魔法を教わろうとしたところ

マリスが反応してこっちにやって来た。


「歓迎する!」

「ふしゃーー!」

「……?」


もちろんマリスは魔法に興味があるから魔法を覚えると言ってるわけでは無い。

ふ、俺には分かるのだ。マリスは嫉妬しているのだと!

何か最近はクロに対して結構敵対心を向けているからな。

理由は語るまでも無いのだ。もちろん俺が理由であろう。

何だかんだで最近はクロともそこそこ仲良くしている。

少なくともマリスにはそう見えていたのだろう。

実際は結構喧嘩してるけど、意外とそっちを楽しんでるのは内緒だ。


「マリス、私に威嚇しないで、どうしたの?」

「お、お姉ちゃんと2人っきりになんかさせないんだからね!」

「は! マリス、私がセイナと2人っきりになる事に嫉妬してるの!?」

「し、してないもん!」


そして全く隠せていないこのツンデレ返し。

しかし、ツンデレというのは最初はツンツン後々デレデレが元だと聞く。

マリスは何か最初から内心デレデレだからツンデレでは無いのか?

しかし、今のツンデレというえばキャラクターの二面性を表わす言葉!

ならば! マリスのこの返しもツンデレに分類されるのでは!?

とか思ったが、全く隠せていないし普段からデレデレだし

ツンデレというかデレデレが正しいのだろう。もしくはデレツンだな!


「大丈夫、私はマリスの事も大事にしてるから」


そして、あの返しを受けたクロは完全に勘違いをしている様子だった。

あの台詞を誤認してる。自分が俺と2人きりになる事を嫌がってると思ってる。

だが実際は俺がクロと2人きりになってしまうことに過剰反応しているのだ。

正直どっちでも意味は通りそうだけど。


「何言ってるの? 私はお姉ちゃんが」

「分かってる、照れ隠しでしょ? ふふふ、可愛いなぁ」


うん、これはあれだな、完全に勘違いをそのまま通していくつもりだな。

ある意味ではこれが1番幸せなのかも知れないから黙っておこう。


「それじゃあ、2人に魔法を教えるけど…マリス」

「な、何?」

「魔法の基礎……知ってる?」

「……し、知ってる」

「マリス、目を逸らして言っても説得力の欠片も無いぞ?

 嘘を吐くなら分かりにくく吐けよ」

「う、うぅ…ご、ごめんなさい……し、知らない」

「ん、分かってる。でもどうしよう、基礎が分からないと魔法を教えられない」

「ある程度魔法の種類とか教えてくれよ。魔法の種類が分かるだけで

 連携の幅が広がるだろうし、どんな効果や範囲が対象か知っていれば援護も出来るだろ」

「分かった、じゃあ基本から教えよう。魔法の種類とか効果とか」

「よろしく」


しかしあれだよね、魔法って種類沢山あるから説明無いとしんどいよな。


(やっぱり沢山種類がある場合、説明イベントは必須ですよね)

(そんなにない気がするんだけど? 属性魔法とやらだけなら)

(いえ、世界によって魔法の効果は違うので私の中では種類沢山あるんですよ。

 同じ属性魔法でも区切り方が違ったりしますしね。

 例えば私が作った別世界は魔法の種類を下位、中級、上位、最上位魔法と分けません)

(ふーん)


まぁ、俺には関係の無い情報だから別に聞き流すけどね。

今大事なのはこの世界の魔法の種類だし。


「何々? 魔法の種類を勉強するの? 私もそう言うの興味あるから混ぜてよ」


俺達の会話が聞えたようで、イリアさんが笑顔でやって来た。

俺としてはイリアさんと一緒に教えて貰うのは構わない。

しかしだ、イリアさんの姿を見たクロは明らかに嫌そうな顔をした。


「……イリア、子供に教えて貰うのは恥ずかしいと思う」


そしてすぐに容赦の無い一言をイリアさんにぶっさす。


「い、いや、見た目子供でもあなたは専門家みたいな所あるじゃ無いの…」


クロの言葉に多少動揺しながらも、へこたれずに反論をする。

その反論は確かに正しいが、クロはその言葉を聞いてちょっと言葉につまる。


「後、子供ばかりの場所に大人がいるのは違和感ある」


そして、イリアさんの言葉を聞かなかったことにして続けた。


「さらっと私がこの家に居るのはおかしいみたいに言わないでよ!

 本当メリーちゃん達と比べるとかなり容赦ないわね。辛辣というか。

 もしかして、大人だから? 私が大人だから?」

「そう」


少しだけ動揺して居るイリアさんが少し焦りながらも思っている事をクロに話す。

だが、クロはその問いに対し、表情1つ変えることなくあっさりと答えた。


「そ、そっか…た、確かにこの場所は今子供天国だからね…

 妹が欲しいあなたには楽園で、その中に私が居るのは邪魔なのかしら」


ならばと、あえて自分を邪魔だと言い、クロの反応を見ることにしたのだろう。

こんな事を言われれば普通は否定から入るだろう。

そこからなら良いじゃないと言えばあまり拒絶は出来ないかも知れない。

しかしながら、そもそも容赦ない言葉を飛ばしているクロだ


「ん、邪魔」


イリアさんの目論見を正面から砕く物言いだった。


「オブラートに包んだ言い方をして…ストレートすぎるわ!

 さ、流石の私もちょっと傷付いちゃう。でも私は消えないわ!

 私の知的好奇心は1度火が点いたらそうそう消えないわ!」


取引が得意なイリアさんではあるが、こう言う相手は苦手にして居るようだ。

しかし、相手が意見を曲げないタイプだと分かれば下手な手などは使わず

自分も意見を曲げず正面から言うことでクロを制圧しようとしている。


「……じゃあ、勝手に聞いてって」

「質問も飛ばすわよ!」


流石のクロも諦めたようで、イリアさんがこの勉強会に参加することを了承した。

それからすぐにクロによる魔法の軽い講座が始まる。


「……おほん、じゃあまずは炎魔法。武器に属性の概念は無いけど魔法にはある。

 炎魔法は広範囲に影響を与える魔法が多い。範囲魔法だから便利だけど

 範囲系になるのは中級から、下位は基本単体特化」

「ファイヤーも単体相手にしか効果無かったしな」

「基本的に下位魔法は属性別に特殊な何かがあることは無い。

 所詮下位、中級から特殊になっていく」


各属性魔法は下位では特殊な力が発揮できず、全て単純な物なのか。

まぁ、各属性の入り口でしか無いからな、すぐに特異性が出ても困るか。

とは言え、多少は特異性が出るのだろう。そうしないと練習にならないしな。


「次は氷属性の魔法。氷属性は相手の動きを制限することに特化してる。

 大事なのは制限だと言う事、動きにくくするのはもちろんだけど

 動けなくする、逆に動かすとか色々とあるの。


 当然、寒さによる継続的なダメージはあるから妨害兼攻撃の魔法。

 ただ効果範囲は結構広いから、下手に使うと仲間にも影響がある。

 連携が大事な魔法と言えるけど、連携しても効果はたかが知れてるから

 あまり日の目を見ることは無いかも知れない。


 でも、最上位魔法であるパーフェクトフリーズ

 これは即死の魔法だから使う日はあるかも?

 弱点として、ちょっと広範囲過ぎるから使い勝手は悪いけど」


完全氷結だからな、そりゃあ喰らえばほぼ即死だろうよ。


「次は木属性魔法。これは異常状態とかの影響が出やすい。

 相手を束縛したり、鱗粉をまき散らす植物を召喚して行動不能にしたり

 毒を喰らわせたりしての戦いが主な感じ」

「恐いな…」

「こいつは下位魔法の中でも特異性が大きい。リーフバインド」

「ん? うおわぁ!」


不意に足下から出て来た植物の蔦が俺の両腕を拘束してきた。


「これが木属性魔法、基本的に対象の動きを制限するのが得意」

「いや、分かったけどわざわざ拘束しないで欲しいなぁ」


まぁ、ちょっと力を込めれば簡単に引きちぎれたけど。


「さらっと拘束を破れるんだから問題無い」

「しかし拘束の力はあまり無いんだな、俺でも簡単に解けたし」

「リーフバインドは集中したり、魔力を込めたりすれば強固になる。

 今回は集中もしてないし魔力も込めてないから大した力は無い」

「ふーん」

「質問、最大まで溜めたらどうなるの?」

「セイナでも抜け出すのは困難だと思う」

「拘束の仕方とか自在なわけ?」

「自在だと思うけど試したことは無い」

「ふーん、自在ならいざと言う時にロープ代わりに出来そうね」

「出来るけど、勿体ない使い方だと思う」

「魔力を使うのに結ぶだけだと確かにね」

「弓の弦が壊れた場合、代わりにはなるの?」

「なると思う」

「じゃあ、何かあったらそうしてみようかな」

「間違いなく弓の性能は落ちるけど応急処置程度って感じかな」


弦も含めて弓だからな、弦が切れればそりゃ性能は落ちるか。


「次は光属性。回復、攻撃、補助が出来る属性って感じ。

 でも、下位魔法はライトの代わりになるだけ。

 中級魔法からは攻撃魔法と回復魔法が使えるようになる。


 光属性は凄く強力だけど魔力量が多いし適性も必要だし覚えるのも難しい。

 だから、お勧めはしないけど強力なのは間違いない。


 多分セイナのホーリーショックだったっけ、あれも分類的には光属性だと思う。

 私はあの魔法を師匠からも聞いたことは無かったけど。

 ポイントショックも分類的には光りかも? 特殊な魔法に分類されるけど」

「なる程、結構強烈なのか」

「ん、次は闇属性。これは身体を犠牲にしての魔法が多い。

 魔力消費も激しくて体力の消耗も激しいのが闇属性魔法。

 身体に纏い自身の身体能力を上昇させたりも出来る。

 でも、使いすぎると飲まれる」

「飲まれたらどうなるの?」

「影の自分が現われるの。負けたら影に飲み込まれる」


マジか、飲み込まれたらどうなるんだ? 死ぬのか?


(影の中で影の自分に身体を操られ、身体をもてあそばれ続けます)

(なんでそう言う設定にしたんだ?)

(飲まれて死ぬだけじゃ芸が無いでしょ?)

(より酷くなってる)


こう言う裏情報を知れるのはありがたいな…闇属性魔法は絶対に使わん。


「でも、勝てば問題が無い。だから一部の闇属性魔法の使い手は影を倒し続けるからと

 闇属性魔法をガンガン使ってるらしい。相当な実力が無いと飲まれるけどね」

「諸刃の剣だな」

「ひとまずこんな所、後、水とか風とかある。水は行動制限と攻撃。

 風は行動制限と攻撃と補助が主な感じ。使い勝手が良いのはこれ位?」

「後は使いにくいのか?」

「ん、その通り」

「じゃあ、お昼にしよう。もう良い時間だし!」

「そうね、一段落したしね」

「分かった」


ひとまず各属性の特徴は分かったから今度から立ち回る時の参考にしよう。

……あれ? そう言えば俺の魔法の訓練は? …いや良いか別に。

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