ちょっとした秘密
あの後、2人は色々と話をした結果
この件はひとまず受入れる事にしたらしい。
最終的に俺達を褒めてくれてあの長いお話しは終わった。
ひとまず俺達も国であったことを全部アリスさん達に伝え
お互いに情報の整理を完了することが出来た。
「はぁ、Sランクになっちゃった訳ね。この成長性は予想外すぎたわ。
どうやら私、先見の明があまり無いみたいね。
Sランク相当にはなれると思ってたけど何年もかかると思ってたし」
「落ち込むことは無いと思うわよ? ほら、この子の成長性は異常だから」
「そうですね…それに申し訳ありませんイリア様、この子達がお世話になって」
「あらあら、私はむしろお世話された方だと思ってるわよ?
子供にお世話されるって、何だか恥ずかしい気もするけど」
イリアさんはああ言うが、イリアさんが居なければ確実にあんな戦果は残せていない。
女王に接触することが出来なければ内部の人型モンスターをあぶり出すことは出来ず
イリアさんの援護が無ければ、リバーススキュラから出て来た冒険者達にやられていた。
そもそも彼女が居なければ国の中である程度の地位を確保することも不可能で
資金面でも路頭に迷っていた可能性だってあった訳だからな。
「いえ、イリアさんが居なければ、俺達は間違いなく壊滅でした」
「あなた達が居なければ、そもそも国が滅んでるんだけどね」
そして俺は、俺が何を言おうともイリアさんが俺達を褒めると言う事は分かってた。
自分の事を得意げには言わないけど、俺達の事は凄く褒めてくれるからな。
「しかし、しばらくこの村に滞在されると言う事ですが…
そのー…非常に申し上げにくいのですが、この村に宿泊施設などは無く。
しばらく滞在となれば…ぎ、ギルドの小さな部屋しか開いて無くて…ですね」
「あら、そうなの?」
「ま、誠に申し訳ありません! は、発展途上の村でして!
冒険者などもまず来ないので、宿屋を起す住民もおらず!」
「まぁ、泊まる場所はある程度目を付けてるから大丈夫よ」
「さ、左様ですか! では、その場に最大のおもてなしをする様に私から!」
「いや必要無いわよ、そこの住民がこの場にいるから」
「へ?」
「ね? セイナちゃん、マリスちゃん♪」
「……はへ? ま、まさか俺達の家に?」
「その通り」
「えぇ! ちょ、ちょっとお姉ちゃん! 私家の片付けしてくる!」
「わ、分かったマリス! と言うかベット買わないと!」
「ご両親に伝えるの?」
「いや、俺達の家は両親居ないんで」
「そう言えばそんな話をレベッカがしてたわね」
「て言うか! 俺達の家はかなり小さいですよ!?
この村の中では大きい方ですけど、イリアさんの家と比べたらとてもとても」
「知ってるわよ、私の言えと比べれば大体が小さい家だし」
自分の家がクソデカい自覚はちゃんとあるんだ。
それは凄くありがたいけど。
「……ジー」
「ん? 何だよクロ、ジッと見て」
「私も泊まる場所が無い」
「そうか、じゃあメリーかポーラさんの家に泊めて貰うが良い」
「ポーラとメリーの家には両親が居る」
「…そ、そうだな、でも相談すれば大丈夫なんじゃ無いかなー」
「家族の団欒を邪魔したくない」
「じゃあ、ギルドに泊めて貰うが良い、宿泊施設あるみたいだし」
「私は1人が苦手なの」
「大丈夫、アリスさん達が居るから」
「あのおばさん達も家が」
「……」
「お、お姉さん達も家がある筈」
言い直した…アリスさんから放たれる無言の威圧で言い直した。
いやぁ、あれは確かに恐ろしい…邪気みたいなのが見えた気がする。
そこら辺、気にして無さそうなのにやっぱり気にしてるんだな。
「後恐い…」
「何処が恐いのかしら?」
「な、何でもありません!」
クロが敬語を使ったか、やはりアリスさんの威圧は凄まじいな。
「うぅ……師匠位恐い…」
「師匠?」
「私に魔法を教えてくれた人。確かマギウスとか言う名前の師匠」
「……マギウスって」
「知ってるの?」
俺を除いたこの場にいるメンバーが驚愕の表情を浮かべた。
何? 有名人なの? 俺は全く知らないんだけど。
「え? 凄い人なんですか?」
「そ、そりゃぁね…マギウスって言ったらこの筋じゃ有名人よ、ね、ケミー」
「は、はい…知らない人は居ないほどに」
「有名人ってレベルか分からないレベルよね」
「どんな人なんですか?」
「大賢者よ。一般の人間でも知ってるほどの最高レベルの魔法使い。
ギルドのランクであればSSSランクは確定の大賢者」
「何それ凄い!」
「師匠は魔法使いの能力が極大だったし、魔法もほぼ全部扱えた。
オールマジックとオールドマジックって言うスキルが使えたらしい」
(なる程、存在は考えてましたがやっぱり実在してましたか)
(何? やっぱり凄いの?)
(はい、オールマジックは現存する全魔法を扱えるスキル。
オールドマジックは失われた古い魔法を扱えるスキルですね。
まさに全ての魔法を扱える、完璧なスキルです。
このスキルに似たオールスキルとオールドスキルも存在します。
こっちは魔法では無く、戦闘系のスキル。そうですね鳳撃などの
武具を使用したスキルが全て扱えるスキルですね。
因みにお値段は5000万ゴールドです)
(高過ぎる!)
マジかよ…そんな凄まじいスキルが存在したのか。
しかも値段から考えて、絶対に超ヤバいスキルじゃん。
5000万って事は、2つ買えば借金返済できるし。
しかしだ、それだけ高額なスキルを2回買わないと駄目とかマジやばい。
「どんな感じなの? 私もそう言うの聞いたこと無くて」
「オールマジックは現存する全部の魔法を使えるスキル。
オールドマジックは失われた魔法を使えるスキル…って教えてくれた」
「な! 冗談でしょ!? そんなインチキスキルがあるの!?」
「ある、師匠がインチキだった」
「その言い方だと…お前の師匠が大賢者とか言っても実は嘘みたいな」
「本当、師匠凄く強かったし、私に色々な魔法を教えてくれたの。
でも師匠はもう凄く歳だったから、死んじゃったの」
「そうなのか…」
「でも、短い間に色々と鍛えて貰ったから私も魔法なら自信ある。
属性魔法は全部使える。特殊な魔法は覚えてないのがあるけど少しは教えて貰った」
「全部使えるの!?」
「使える。全属性の下位魔法、中級魔法、上位魔法、最上位魔法も使える。
まずは基本の属性魔法を全て覚えた後に特殊魔法を覚える方が良いって教えてくれた。
でも、魔力量が少なくて私はまだ上位魔法までしか扱えない」
「その歳で上位魔法が使えるって凄いと思うの」
「上位魔法も使えても2回までしか使えない。師匠は何十回も使えるのに」
「そ、それはあなたのお師匠様が凄まじく強いだけであって…」
「私、もっと強くなるの、師匠みたいに強くなってしわしわになって死ぬ」
「しわしわになって死ぬって…」
確かにどうせならそこまで生きて死んでみたいなとは思う。
しかも死ぬまで身体に大した不健康とかは無かったみたいだしな。
死ぬまでクロに魔法を教えていたというなら相当元気だったんだろう。
多分、不意に老衰で死んだとか、そんな理由だろう。
「そして、師匠から貰った魔導書を使って戦う」
「何処に隠してたんだ? そんな物」
「伸縮自在なのこの本と杖」
さ、流石は大賢者が扱っていたという道具だな。
「な! マギウスの杖と魔導書!?」
「メリー達にも見せてない私の秘蔵の道具。特別に見せたから私を家に泊めて」
「え? 俺達の家で過ごしたいから話したの?」
「一応、その内話すつもりだったから。だから泊めて」
ま、まぁ別に泊めるのは良いんだけど。
「……え、えげつない物が出て来たわね…本物だったらいくらになる?」
「わ、私にもちょっと分かりかねます」
「そうね、私が買い取る立場なら1つ5000万ゴールド。
いや、安すぎるか。1億ゴールドかしらね」
「ふぁ!?」
「流石師匠」
「私が持つ今の全財産を叩いても買えないわねぇ」
イリアさんの貯金は確か8000万ゴールド…3年後には3億とか予想してたけど。
「そ、そんなに凄いんですか!?」
「えぇ、歴史的な発見に等しいわ。杖も魔導書もね。
50年以上前に唐突に姿を消した大賢者。
国を作りあげた5人の英雄、その1人である大賢者マギウス。
その大賢者が晩年愛用していた杖と魔導書が発見とか歴史的発見過ぎるわ」
「おぉ、師匠は英雄だったのか」
「例の…マジですか」
「国宝級というか完全に国宝よね、間違いなく」
「でも、50年以上前? 師匠もっと老けてた」
「正確な時間は分かってないからね。知ってる人間とかほぼ居ないし」
国が出来る前なら確かに分からない世代が多くても不思議無いか。
「情報源は国王の祖先が話していた情報だけだしね。
5人で、確か2人は前衛、1人は弓兵、1人は魔法使い、1人は銃士だっけ。
国王の祖先が前衛で、もう1人はワーウルフだったとも言ってたわね。
で、そのワーウルフが凄く速く動けたそうな」
「なる程、そのワーウルフもワービーストが使えたんですね」
「そうみたいね」
じゃあ、英雄も使ってたほどに強力なスキルなのか、流石主人公。
「で、魔法使いが師匠。うん、やっぱり師匠凄かったんだ」
「で、その才能を継承している弟子…武具も持ってるし」
「師匠がくれたの、ワシはもう使う必要が無いからって。
でも、私には扱えなかったから、今までは自分の魔導書で戦ってた」
「自分で魔導書を作ってるって凄いと思うわ」
「師匠に教えて貰ったの」
「さ、流石伝説の英雄…」
はぁ…凄い奴が仲間に居たんだな、メリーのパーティー。
それが今じゃ、俺達に協力的な立場なんだからかなり戦力になる。
「だからセイナ、私に喧嘩を売らない方が良い、私凄く強いの」
「何を馬鹿な事を、お前の師匠が強かろうとおめぇはおらには勝てねぇ」
「…なら戦う? 上位魔法をぶっ放してあげる」
「馬鹿が、あんな隙だらけの攻撃、この至近距離じゃ無駄だぜ!」
「…え? あの2人は仲が悪いの?」
「仲は悪くないと思うけどね、何か楽しそうだし」
ま、こいつの師匠が誰であれ、扱いは今まで通りだ。
こいつが変るわけじゃ無いんだからな。




