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村への帰省

次の日、俺達はすぐに国から出発した。

その帰り道は国へ向ったときよりも平和な物だった。

モンスターが活発化していた原因は解決したわけでは無かったが

メリー達の合流、更には対リバーススキュラ用に揃えた武器とスキル。

これだけの状態だ、道中に出てくるモンスターなんて敵じゃなかった。

夜営も全く問題は無かったし、見張りも複数居る状態だから危険性は皆無だしな。

そんなこんなで、まるで問題も起きないまま俺達は無事に戻ることが出来た。


「懐かしいわね…この村」

「変ってない…」

「ここが皆の故郷…家が沢山あるね」

「あまり長い間離れていたわけじゃ無いのに、凄く久し振りな気がするよ」

「俺もそう思う」


いやぁ、国に居た間は問題が異常な程に降り注いできたからな。

そのせいだろう、村へ戻ってくるのが本当に久し振りに感じた。

いやまぁ、何ヶ月かは向こうに滞在してたわけだし久し振りなのは間違いないがね。


「……お父さんに挨拶してこないと」

「私も家族に挨拶してくるわ」

「私達はギルドに行って、アリスさんに挨拶しに行こうよ」

「そうだな」

「じゃあ、私はセイナちゃん達に付いていこうかしら」


俺達に両親は居ないのだから、最初に挨拶するとすれば

俺達を娘の様に可愛がってくれていたアリスさんにだろう。


「アリスさん、こんにちは」

「よかった! 大丈夫だったのね!」

「安心した!」


俺達がギルドに入ると同時に、アリスさんとケミーさんが俺達の顔を見て

安堵の表情と同時に焦りの表情を浮かべて駆け寄ってきた。


「モンスターが王都に襲撃してきたとか、人型のモンスターだとか

 リバーススキュラが攻めてきたとか聞いたから本当ヒヤヒヤしたんだから!

 何処かに隠れて身を潜めてたりとかしてたの?」

「あっと…そっちの報告は届いてないんですね」

「ん? どっちの報告?」

「私達が…いや、お姉ちゃんがそれを全部倒しちゃったって報告」

「……へ?」


あ、アリスさんが今まで見たことが無いような間の抜けた表情を…

開いた口が塞がらないという、こんな状態…なるんだ。


「……あれ? これは私、どういう風に反応すれば良いの?

 褒めれば良いの? ケミー、ちょっと教えてくれない?

 褒めるべき? それともおかしいだろってツッコむべき?」

「あのアリスさん、そこで私に振りますか?

 いや、私もそう言うのちょっと分からないんですけど…」

「いやいや、うん。セイナちゃんが強いのは私よく分かってたつもりなんだけど

 正直ね、国に出向いた数ヶ月の間でケルベロス相手に負傷してた子が

 リバーススキュラを撃退したとか信じられないんだけど?」


そう言えば、ケルベロスに腕をもがれそうになったなぁ

あの時と比べると、大分強くなった気がするぜ。

武器とかスキルって多少整うだけでここまで違うんだなぁ


「ケルベロスって危険度いくらでしたっけ?」

「確かB位? 分類的にはCだけど実際の脅威度はBだった筈よ」

「あはは、冒険者を初めてほぼ経ってない状態でBランクを撃退出来るんですし

 案外、数ヶ月もあればSSランクを撃退出来ても不思議は」

「そうね…とか言えると思う!? おかしいでしょ流石に!」

「すみません!」


ひそひそと話しているつもりなのかも知れないけど思いっきり聞えている。

あまりにも動揺した結果、ちょっと声が大きめになっているのかも知れない。


「や、やっぱりおかしな事だったのかな…?」

「そりゃぁおかしいでしょうね、6歳でしょ?

 6歳の子供がSSランク撃退とか異常事態だし」

「待って待って、いや本当にこれはどうすれば良いの?

 私、ケミー達も結構な実力者だと汲んでいたはず。

 そのケミー達は何年も掛けて結構上に行ったらしいじゃ無いの。

 それが何? セイナちゃん達は数ヶ月でSSランク撃退とかおかしいわ!」

「落ち着いてくださいアリスさん! そもそも1ヶ月で6歳の子供が

 ケルベロスをぶちのめしてる地点で結構異常だから大丈夫です!」

「大丈夫なわけ無いわよ! あれはほら、まだ言い訳あるわよ!

 あなた達が居たとか、そんな言い訳が!」

「リバーススキュラ撃退もほら、人が沢山居た可能性が…」

「私が聞いた報告だと、挑んだパーティーの殆ど壊滅したらしいわよ?

 最後に依頼を受けたパーティーが辛うじて撃退したとか聞いたし!

 その最後に依頼を受けたパーティーがさっきの話が本当ならセイナちゃん達よ!?

 しかも、マリスちゃんがそんな嘘を吐くとは思えないからほぼ確定なんだけど!?」

「じゃ、じゃあ…ほ、褒めるべきでは?」

「確かに褒めるべきかも知れないけど! ちょっとね、成長性がおかしすぎて!」

「き、きっと女神様の加護とかがあるんですよ何か!」


あ、凄く良いところ付いてる、確かに女神様が居るからね。

加護? 加護なのかな? 加護というか呪いという気がするけど。


(加護です)

(呪いじゃね?)

(加護です)

(は、はい)


加護…加護? ま、まぁ加護なんだろう。

でも、女神様の加護があると言うのならここまで不幸体質では無い筈。

もしこれで加護だというのであれば、凄く力の弱い加護なんだろう。

てか加護というか、完全に監視されてる形だし。

あた、ちょっと痺れた……すみません女神様!


「な、なる程加護ね…通りであんなに酷い目に遭っても助かって…あれ?

 加護があるなら、そもそもあんな災難には遭わないんじゃ無いの?」

「……じゃあ、呪い的な!」

「なる程……通りであそこまで不幸体質」

「ぷふ!」


やっぱり呪いじゃないか! アリスさん達にまで言われてやんの!


「えで!」

「どうしたのお姉ちゃん?」

「いや、ちょっと古傷が痛んだ、大丈夫落ち着いたから」

「無理しないでね?」

「う、うん」


俺に八つ当たりをしないで欲しいんだがなぁ。

しかし、こうなると主人公ってやっぱり神の加護がある訳じゃなくて

どっちかというと神の呪いに掛っていると言えるのかもしれぬ。


(呪いではありません、試練と言ってください)

(試練って…)

(達成すれば恩恵はあるのですよ。女の子にモテますし

 成長性がおかしいことになりますし、出世もしますんで。

 そもそも死なないので加護の方が近いのですよ、主人公補正は)

(いやでもさ、場合によっては時間がループしたりするじゃん。

 成長しない状態で何年も繰り返す事になったりするじゃん

 やっぱ呪いだろ)

(加護です。おまけに周りの人がちょっとお馬鹿になる特典付きです。

 事件に毎度巻き込まれるのにこいつが原因なんじゃね? 

 とか思われなくなりますからね、良い加護でしょ?

 

 更に周りが少し弱体化する補正も付けますよ?

 敵だった奴がクソ強かったのに味方になったらクソ弱くなる的な。

 そもそも、周りが主人公の引き立て役にしかならない場合もあるくらいに)

(喋れなくなるのもあるじゃん、呪いだろあれ)

(無口になるだけです。それにそう言う場合、最後の土壇場で喋ります。

 しかし周りは全く動揺や反応をしないので日常生活では喋れますよ。

 お仕事中は無口になっちゃう真面目な主人公と言うだけなのです)


とても真面目な感じじゃ無いのに真面目に私語を慎む場合があるのか。

しかしその場合、仲間は滅茶苦茶喋るしイベント中とかそう言う

勤務関係ない場面でも全く喋れないのは何故だろう?


(まぁ、そう言う作品は大体キャラメイク自分でしますからね

 ほら、主人公イコール自分なので勝手に喋られると萎えるのですよ)

(最後にメメタなオチにしやがった!)

「……うーん、何か考えても考えても意味分からないわね」

「購買スキルでしたっけ? あれですよ多分」

「そう言えばあったわね…でも、スキルが買えるだけでしょ?

 スキルが買えた程度で立ち回りとかも変るの?」

「セイナちゃんはケルベロス戦の時とかでも異常な程に頭のキレが良かったですし

 元々かなり才能があったんですよ、その才能豊かな子が購買スキルで

 スキルをドンドン買ったから、この短期間で強くなったんですよ多分!」

「なる程ね、報告が無いユニークスキルだし、天井分からないからあり得るのかしら」

「そうです、そう言う事にしましょう。セイナちゃんの性格が

 もっと小さい時から異常な程に大人びてたり、口調が妙に男の子っぽかったり

 何か転生して記憶そのまま見たいな、そんなファンタジー的な要素なの? とか

 そう言うの疑問に思ってたら頭おかしくなるから考えすぎないようにしましょう」

「そう言えば小さいときから妙に大人びてたわね、

 喋れる様になるのもかなり早かったらしいし

 頭も異常な程に良かったとか、よく分からない文字を書いてたとか。

 後は蝶々がいつの間にか付いてたとか言ってたような…」


む? 俺はそんなに小さい頃から今みたいな性格だったのか。

ルアが俺そっくりにこのセイナという少女を作った後に

その少女に俺の魂をぶち込んだとか何とか言ってた気がするけど


そこまで俺そっくりというか、俺が転生しちゃった感じにしてたの?

なら、わざわざ似た人物作って叩き込むより転生させた方が早くない?


そもそも、俺をこの身体に叩き込む前から蝶々に擬態して監視してたの?

必要なのか? それは俺じゃ無いんだから、監視の必要は無いんじゃ?


「何か面白いわねあの2人」

「普段は頼りになるお姉さんなんですよ? ちょっと動揺してるだけで」

「動揺して居る時が最も人間性が出てくる場面よ。

 危機的状況での選択こそ、真の人間性が出るような物よ」

「それは確かに聞きますけど、この場面は違うと思います」


…しかし、こう言う疑問を抱いた場合、すぐにルアが話し掛けてくると言うのに

何か話し掛けてこない。聞えてい無いのか? 全部の心を読めるわけじゃ無いらしいが

意外と万能じゃ無いんだよな、ルアって。


(…き、聞えてますよ)

(だよなぁ、なんでそんなにバツが悪そうなんだ?)

(……いえ、な、何でも…)


絶対何かかくしてますけど!? 確実に隠してるよ!?

今までこんな風な態度を取ったこと無いのに!


(何隠してるんだよ)

(なーんにも隠してませんよ?)

(……絶対嘘だ!)

(……わ、分かりましたよ言いますよ、言えば良いんでしょ?

 私のスリーサイズはB99.9、W55.5、H88.8です)

(そんなの聞いてねーし何処の女泥棒だ! そもそも姿を自在に変えれる女神に

 定まったスリーサイズとかねーだろ!)

(何ですか、乙女の秘密を教えて貰ったのにまだ何か知りたい事でも?)

(大ありだよ! そもそもそんなの聞いてねーよ! 知りたいのは俺の事!)

(全く、別に無いでしょ? あなたの事はあなたが1番知ってる筈ですしね。

 別に実際は転移じゃ無くて転生だという事を知らされても

 あなたの何かが変わるわけじゃ無いでしょ?)

(確かにそうだ、俺がどっちでも俺が今の俺である事は変らない

 だがな! さらっと真実告げてスルーされると思うなよルア!)

(チ、反応したか)

(舌打ちするなぁ! それなら最初から転移じゃ無くて転生と伝えろ!)


さらっと告げられた真実だけど、案外驚かなかった俺が居る。


(ほら、転生だと元の世界に戻れる可能性絶望的だって気付くでしょ?

 ならまだ転移の方が良いかなって思ったんですよねぇ)

(……え!? 何!? 絶望的なの!? 俺戻れねーの!?)

(だって転生ですし、元世界にあなたの身体もうありませんし)

(何だと!? 借金返済しろとか言っておきながらさっくり殺すなよ!)

(戻りたいのですか?)

(俺のスマホをよこせ! 我が嫁達が泣いて居るのだ!)

(……諦めてください)

(なんで!? 俺にソシャゲーをやらせてください!)

(うるさいですねぇ、こっちのリアルパーティーに課金すれば良いじゃ無いですか。

 ほら、可愛い妹居ますよ? ゴスロリ幼女とか居ますよ?

 彼女達に課金し放題です、私を介すればいくらでもね!)

(ガチャとか無いじゃん)

(追加しますよ? 爆弾を沢山詰めますけど)

(なら良いです…)


さらっと告げられた衝撃の真実…こんなの告げられるとか予想できねぇよマジで。

だがまぁ、確かに転生だろうと転移だろうと、変らないんだろうけどな…あはは。

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