第七十八話
生徒会室に入るといつものメンバーがいなかった。卒業式の話し合いは2年生の先輩全員で集まって行われるが、今日は二人しかいない。激しい討論をしていた先輩たちがいなかった。「杉本先輩、宮田先輩。他の方たちはまだなのですか?」放課後になってずいぶん経っている。買い出しに行ったとしても、もう戻ってきていい時間だ。話しかけた緒方と大塚を見て二人はため息をついた。「今日はたぶん。。もう来ないだろうな。情けないけど」呆れたように言って、すまないなと謝っている。杉本はどちらかというと調整役で意見が別れたときに双方の言い分を聞き収めてきた。今回は緒方と大塚同様、激しい討論を冷静になれと諌めていたが相手にされず見守り続けている。「まさか本当に来ないとはな。。」もう一人の先輩、宮田は聞いたことをすべて簡潔に記録することができ、書記としての能力を買われて生徒会に入った。今までのあの討論を見やすく記録している。宮田はノートを見せてくれた。「とりあえず俺達2年が先輩にこれからの決意表明をして生徒会の象徴であるワッペンをもらうって感じ。その決意表明でもめてんだよな」適当に頑張りま~すって言っときゃいいのに。ふっと力を抜きながら宮田は笑っている。それじゃあ意味ないだろ。杉本は釣られて笑って宮田の肩を軽く叩いた。「卒業式で生徒たちの前で言うから引き締まるんだ。俺達の生徒会がどう行動するのかアピールするチャンスなんだぞ。話を聞いてもらえるんだぜ」生徒会に対して、生徒たちが少しずつ認めているとは言え、まだほんの一握りだ。反発こそなくなったが何をしているのか興味を持ってもらえない。イベントを考えても生徒たちはまだまだ受け身で、これまでの伝統に従うだけだった。「それを変えたい。自分たちで自分たちを楽しませて、出来たら地域も楽しませたいってのが俺達の生徒会に入った理由なのに。うまくいかないからってふて腐れてどうすんだか」杉本は上を見ながら息を吐いた。少し疲れているようだ。「いいんじゃね?俺はバッチリわかりやすくノートに記録しとくぜ。生徒会、分裂!思い通りにまとまりませ~んてな」面白そうに笑う宮田を杉本が軽く睨みながら横目で見ていた。その通りだろ?と肩をすくめている。ふとノートを見ていた緒方と大塚に杉本が言った。「そういえばお前らの意見、聞いてなかったな。どう思ってるんだ?卒業式について。今の生徒会について、でもいいぜ」何でも言ってくれよ。杉本と宮田は優しく笑っている。一年なのによく投げ出さないよな。宮田はぼそっと言ってノートを受け取った。鉛筆を持って緒方と大塚を見る。少し考えた後、緒方は言った。「これだけお互いの言い分を譲らないのならいっそ分裂したらいいと思います。相手のためにと口では言って、実際は自分のために行動している。それで卒業式が失敗しても自業自得です。結果を受け入れ形だけの卒業式で終わればいい」緒方の目は冷ややかで鋭く光っている。冷静で鋭利な意見に杉本も宮田も静かに息を飲んだ。大塚はのんびりと聞いている。「歩み寄れないのは先輩方の問題であって3年の先輩方や全校生徒には関係ありません。生徒会のメンバーであるお二人の意見や私たち一年の意見を聞かず感情をこのまま押し通すのは自分勝手です。それを自覚して頂きたい」きっぱりと言い放った。そこに迷いはなく真っ直ぐ杉本を見つめている。しばらくそのままの状態で時間が流れた。静かな沈黙を破ったのは大塚だった。「俺も。今の先輩方は自分のためだけにやってる気がします。話し合いをするのなら前に進みながらやってほしい。相手のためにやるのなら、まず身近なメンバーたちのために意見を最後まで聞いてほしい」話はそれからですよ。にこりと笑った。今日は生徒会のメンバーが揃わないのでお開きとなり、緒方と大塚は挨拶をして神埼と林の待つ教室へと帰っていく。その後ろ姿を見ながら杉本はほっと息を一つ吐いた。「怖かったなぁ。緒方でも怒ることがあるのか。まあ、その通りって感じだったけど。気持ちが込もってたなぁ」緒方と大塚に気圧されて力が入っていたらしい。体が少し固い。宮田はのんびりと杉本を見た。「ありゃ相当怒ってるぞ。俺も同じ気持ちだけど。杉本。俺ら気合い入れないとな!」宮田は勢いよくガッツポーズをしてそのまま杉本の頬めがけて貫いた。杉本の顔が横にずれていく。思わずよろけた杉本を宮田はゲラゲラと豪快に笑った。「気合いってな。。殴ってるだけだろ!!」今度は杉本が宮田めがけて突進していく。宮田は楽しそうにそれを避けていた。隣を歩いている大塚が突然吹き出して笑っている。なぜ笑っているのかわからなくて緒方は眉をひそめた。大塚と視線が合う。「お前、機嫌悪すぎ。神埼を残してきたあげく、先輩たちがいなかったからイラついてるんだろ。わかりやすいなー、相変わらず」その言葉に緒方はムッとしたらしい。眉と眉の間に深い溝がすばやく表れた。「あまり前ですよ。神埼くんはお腹が空いたらみんなで食べようとおやつを作って持ってきているのですよ。そこまで待っていようというこの健気さがあなたにはわかりますか!?なのに、先輩方ときたら。。その神埼くんの優しさを知らないからと言って生徒会を放棄するとは!言語道断です。私はイライラしています」プイッと横を向き、歩く速度を速めた。生徒会がお開きとなった以上早く神埼に会いたいらしい。少し小走りになっている。大塚ははぁ~と大きなため息をついた。「いいじゃないか。今日はみんなでご飯を食べるように朝から決まってたんだよ。先輩たちはそれをお膳立てしてくれたの!見えないところでお前の要望を叶えてくれたんだろうが。明日またお開きになっても四人で集まれるから良しとしろ!」適当に言って緒方を収めたい。怒っている緒方は厄介で人の話を聞かない。こんなときに神埼がいれば一発なのだが、逆に神埼が絡むと緒方は執念深くなる。ちらっと緒方の方を見た。緒方は大塚の方を見ている。「大塚くん、そんなことを言って私を言いくるめるつもりですね。私にはわかっていますよ。あなたが面倒だなぁと思っていることは!!」キッと睨みながらさらに歩く速度を上げた。ああ、神埼。。早くこいつと会ってくれ。そして思う存分抱き締め合ってくれ。大塚は遠い目をしながら天井を見上げる。小走りが全速力になった緒方の後ろを大塚は走って追いかけた。
皆様、こんにちは(*^^*)いかがお過ごしでしょうか?
辛ラーメンを皆様はご存じでしょうか?辛くて美味しいですよ。キムチがお好きな方にはとてもお薦めのラーメンです。豚骨はうまかっちゃんが好きですが、この頃は生麺対決と麺が熱いですね!ラーメン好きの私はウキウキです!
ではでは、皆様これからも素敵な時間をお過ごしくださいね(*^^*)




