第七十七話
こたつの上には買い物の時に買ってきたポテチがある。神埼はポテチをつまみながら考えていた。林のこの素晴らしい絵をどう大切にしようか。自分を癒して元気にしてくれるスケッチブックに描かれた絵。緒方に見せると、凄いです!キラキラ光っています!そもそも林くんはこの絵をどこに隠していたのでしょうか。。パラパラとスケッチブックを開きながら緒方の顔が驚いたり感動したり、どこの風景だろうと思い浮かべたりしている姿を見て、この絵に心を動かされたのは自分だけではなかったのだなと神埼は嬉しくなった。コンクールなどに応募するのは違う気がする。もっと気軽に人が好きなときにこの絵を見て、ゆっくりできるようにしたい。神埼はどうすればいいか悩んでいた。「何も思いつかないな。。大切にしたいのに」神埼はまたスケッチブックを開いて一枚ずつ絵を見る。何度も見ているのに飽きないし元気が湧いてくる。このイキイキとした印象は林が出会った風景に感動してそのまま表現したのだろう。何も言わなくても伝わってくる。ふと一枚の絵をめくると裏にあの切り絵の夜空が表れた。ものすごいスピードであっという間にできた絵だ。「夜か。。綺麗な夜空だなぁ。この風景、俺も一緒に見てたのにこんなに表現できないよ。凄いなぁ」ぼんやりと夜空の切り絵を見ながらそっとなぞった。のりでしっかりと固定された小さな黒の紙がたくさん連なって大きな絵になっている。星と月がゆったりと表現されていた。切り絵を見ながら神埼は昔自分が一人だった時、よく夜空を見上げていたなとふと思い出した。夜眠れない時間や学校が休みの日、体を動かすのが面倒で布団の上から窓の外を見ていた。怠くても顔だけは動かせたのでそれが今思えば唯一の気晴らしになっていた気がする。見えるのは同じ窓からの同じ風景だったが、不思議と飽きなかった。夜、静かになった外を見てその上にある夜空をよく見ていた。なぜかとても楽しかった。もし、そんな自分にこの絵を届けるなら。外の風景とは別に、あの時自分は携帯で絵を見ていた気がする。学校から帰る前、図書館に寄ってインターネットで風景を検索した。その画像のなかで好きな絵を写真に撮って暗闇のなか好きなときに見て楽しんでいた。時々部屋の窓の風景を見つめて。そうだ!「インターネットに載せよう。今なら無料で登録してブログができるし。ブログにこの絵の写真を載せればいいんだ!」来たい人がいつでも来ることができて、好きなだけのんびりできる場所。ブログなら気軽に始められるだろう。神埼はわくわくした。「俺はあの時動けなくて、同じ風景ばかり見ていた。インターネットからの画像にどれだけ励まされたか。きっとこの絵を見て楽しいと思ってくれる人がいる。たった一人でも元気になってくれたらすごく嬉しいな」お前たち、それでいいかな?神埼はスケッチブックを開きながら聞いてみた。絵のなかの風景は光に溢れていてキラキラしている。この絵の魅力をそのまま伝えるように写真を撮らないとなぁと神埼は思う。「お風呂上がりましたよ。神埼くんもどうぞ」こたつで座っている神埼に緒方が後ろからスケッチブックを覗いている。やはり、素晴らしいですねぇ。のんびりと呟いた。「しかし、林くんとは中学一年の頃からよく話していたのですよ。なのに今まで全く知らなかったとは。。。少し。。いや、かなり寂しいです」こたつに入りながらぶつぶつと言っている。頂きますね。ポテチを一つつまむと口のなかに放り込み、モグモグと口を動かし口を尖らせた。拗ねた表情が面白くて神埼はこっそり心のなかで笑った。ブログに載せようと思うんだ。緒方に伝えると、それは素敵な考えですね!といきなり手を握ってきた。神埼くんは純粋ですから。私は神埼くんにメロメロです。いつもの緒方に戻ったようだ。神埼は笑いながら、はいはいと受け流している。「卒業式が終わるまで慌ただしいですが、春休みに入れば時間がゆっくりあります。その時にブログを作りましょう。私も手伝いたいです」真面目な顔で神埼に言うのだが、握った手は離さない。口元がピクピクしていて、無理をしているのがよくわかる。緒方、いい加減この手を離せ。神埼は捕らわれていないもう片方の手で緒方の頬を思いっきりつねった。
皆様、こんにちは(*^^*)いかがお過ごしでしょうか?
韓国ドラマを見ております。なかなか台詞とか展開とか面白くて現実にありそうでとても勉強になります。ドラマチックー!
ではでは、皆様これからも素敵な時間をお過ごしくださいね(*^^*)




