第七十一話
学校からの帰り道、生徒会ではいよいよ本格的な卒業式の準備が始まるらしい。明日から緒方も手伝うのでもっと遅くなるそうだ。「神埼くんと離れたくないのですが、今以上に待たせるのも忍びないです。。。」緒方は神埼が切なくなるほどしょんぼりとしてしまった。大袈裟だなぁ。。と思うのだが緒方がとても真剣で真面目に考えているので、なんとも言えなくなる。よしよしと緒方の頭を撫でた。ふと緒方が神埼を見つめてくる。「この頃はジャンプをしないのですね。神埼くんに見上げながら頭を撫でてもらうのもとても嬉しいです。」さっきまで眉を下げて落ち込んでいたのににんまり笑っている。切り換え早いな。神埼は可笑しくなって笑った。ジャンプするの、疲れたんだよ。お前、大きいからな。背の高さがすべてじゃないんだぞ、神埼は口を尖らせながら言った。背の高さは未だに悔しいが緒方は高いからしょうがないじゃないか。放課後のことだが、今以上に遅くなっても構わない。どうせ家には誰もいないのだし、晩御飯も遅くなるとわかっているなら作って持っていってもいい。おかずやご飯は保存が心配だが、パンや野菜は真空パックに入れておけば大丈夫だろう。味に飽きたらより長持ちするような保存方法を調べてみようか。神埼はあれこれと考えていた。「待たせることも心配なのですが、一人で帰らせるのはもっと嫌です。。。神埼くん、よかったら生徒会に行きませんか?準備を手伝わせるのはとても心苦しいのですが。。。」緒方の眉がハの字を描いた。口をタコのようにすれば、ひょっとこのようだ。惜しいな。。もう少しでそっくりなのに、神埼は思った。「卒業式の準備かー。いいよ。やるやる。で、どんなことするの?」緒方のひょっとこも面白いが、ここで一人で帰ることを選ぶと緒方は悲しむだろう。ずっと気にして自分のことを心配するのではないか。緒方にそんな想いはさせたくない。神埼は軽く返事をした。よかった!!!ありがとうございます!!!しょげたひょっとこは一瞬にして興奮している猿になる。その変わり様が見事なまでにスムーズで早い。すっと神埼の手を取り小躍りで軽やかなステップを踏んでいる。めちゃくちゃなのにリズミカルだ。「嬉しいです~!これでほっとしました。生徒会には大塚くんも林くんも呼ばれているのです。あの二人は大丈夫ですから。私たちのことは全く気にしません!」いや、気にしないのは緒方。。お前だけだと思うぞ。。。明日が楽しみですね~。ああ、綺麗な夜空です。。星の瞬きが。。緒方は空を見上げながらうっとりと景色を堪能している。よほど気にしてたんだなぁと神埼は緒方を見上げた。緒方と手を繋いでいる右手からふんわりとした温もりが伝わってくる。顔が見えるか見えないかの暗闇を自動車が通り、ライトで照らしていく。「緒方、そんなに卒業式の準備が楽しみなのか。送る側って結構切ないんだぞ。」明日からより一緒にいることができる。想像した以上に心が踊っていて照れ臭い。緒方に軽口をたたいてみた。緒方は笑う。「切ないですが、悦ばしいことですからね。旅立ちです。送る側として精一杯素敵な卒業式にするのですよ。」うん、と神埼は返事をする。緒方と一緒にするならば、何でもいいんだけど。そんな想いを緒方には知られたくない。できればそっと胸の内に秘めておきたい。明日のお弁当と晩御飯、何がいいかな?照れ臭くて、嬉しくて。神埼は話題をさりげなく替えた。アパートに着くと、もうすっかり暗くなっていて電気をつけないと全く見えない。玄関のそばにあるスイッチを入れて居間へと進み、こたつに入れば帰ってきたなぁと実感した。緒方は台所へと行って冷蔵庫を開けて中身を確認している。「神埼くん、今日の晩御飯、パスタはいかがでしょうか?トマトもありますしミートソース味でオムレツのように卵で包んでみようかと。」玉葱とピーマン、トマトを取り出しながら聞いてきた。うん。いいんじゃないかな、あ!!緒方!!手を洗え!!俺も洗わなきゃ!!入っていたこたつから慌ただしく出て、洗面所の方へと向かいながら緒方を急かした。そうでしたね。手洗いは大切でした。緒方は神埼のあとをのんびりと付いていく。今日はサラダも作りましょうかねぇ。ぼんやりと呟きながら手を洗う。二人で洗っていると洗面所は狭い。緒方にちょっかいを出していると泡がもくもくと出来てしまった。「シャボン玉が出来そうですね!ほら、神埼くん!指の穴をふーっと吹いてみてください!」緒方が神埼にやってみせている。緒方の手からシャボン玉が膨れて手に残った。そのシャボン玉を神埼はつつく。もう!やめてくださいよ~!神埼くんも作ればいいのです。泡まみれになりながらくったく笑う緒方に神埼は嬉しくなる。学校では緒方は大人びていて何となくだが、隙がない。見えない薄い膜が緒方を取り囲んでいるような気がする。二人の時には感じないが、どちらかと言えばこの子供のような緒方が神埼は好きだった。何かを考えているとその見えない膜は厚くなる。生徒会から帰ってくる緒方の膜はいつもより厚い。あまり根詰めるなよ。緒方のシャボン玉に自分のシャボン玉をくっつけながら神埼は心の中で願った。
皆様、こんにちは(*^^*)いかがお過ごしでしょうか?小説を書くことも幸せなのですが、こうして皆様に送ることが楽しみで書いているのもあるなぁと思っております。えへへ!
さてさて、この常識くんと愛さんなのですが、。。申し訳ないのですが、ずっと続きます!私が死ぬまで~。というのも、日常にある愛をずっと書いていきたいのです。。
こち亀さんのような感じです。憧れなのです。。なので、気長によかったらお付き合いくださいね(*^^*)もうすぐ春ですねぇ。ぽかぽか陽気が楽しみです。
ではでは、素敵な時間をお過ごしくださいませ(*^^*)




