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常識くんと愛さん   作者: ニケ
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第七話

「神埼くん、ちょっといいかしら?」今日も花のような笑顔で神埼を呼ぶ。こんなときの彼女からは逃れられない。今日はどんな土産物があるのだろうか。「昨日、友達が来てとてもいいものをくれたの。これ、神埼くんにぴったりだと思って。」何でしょうか。。口には出さないが表情で訴えてみる。。きっと無駄だろうが。「開けてからのお楽しみ。緒方くんによろしくね。」まただ。またウインクだ!これは絶対何かある!神埼は身の危険を感じた。これは、もうこの場で開けて危険だと判断したら、貰っておいて申し訳ないがどこかに隠しておこう。心臓に悪い。心に深く誓って神埼はそっとその包み袋を開ける。今回は前のピンク色の袋と比べて大きい。触ってみると、布のような手触りだ。「何が入っているんだ?食べ物ではないみたいだし。」ガサガサと音がして、開けてみるとそこには。。可愛らしいフリルのついたセーラー服だ。「な!!」こんなセーラー服は見たことがない。だいだいセーラー服は、もっとシンプルでフリルなど付いていない。なのに、これはどうだ。面白いくらいに可愛らしい。可憐で動かすたびにフリルが軽やかにふわふわ揺れている。マニアには堪らないだろう。これをどう受け止めればいいのだろうか。というより、これをどこかに隠しておいても危険だ。はたまた捨てても清水に悪い。せっかく清水が自分に渡してくれたのだ。品物が何であろうとありがたく頂きたい。物が何であろうと。「。。。。」清水は社会人になって緒方と自分との関係を認めてくれた最初の人だった。頻繁にくる緒方を変な目で見なかったし、むしろ当たり前のように自分たちを恋人だと尊重してくれた。なので、神埼はここの病棟がなんだかんだと居心地がよく、一日中ここに籠るときもある。そんなときは、清水や他の看護婦たちもそっと見守っていてくれる。これは、自分への清水なりの気遣いで、清水が土産物や贈り物をするときは大抵、神埼の顔は曇っているらしい。しかし、その品物が毎回とんでもないものなので、嬉しいが度肝を抜かれる。女性というものは、皆こんなに強いものなのだろうか。「これ、絶対、俺の趣味だって思われる。どうしよう。。」贈り物をしまって、ため息をついた。同性の恋人を持って、変な目で見られることは覚悟していた。学生の頃から散々悩んできたことだし、頭のなかで様々な偏見をシュミレーションしては、落ち込んだり怯えたり。それでも、緒方といるとずっとそばにいたいと思うので、なんとか対処法を見つけ出してきた。頭のなかだけでもそれだ。現実はきっと厳しい。それでも。こうやって女性である清水や他の看護婦たちに認められて、見守られているのは、なんとも言えない穏やかさを神埼の中にもたらしてくれた。ありがとうございます。心のなかでいつも思っている。照れくさくて口にはしない。思ったよりも女性というものは、認めてくれる存在も多い。いや、女性だけとは限らないのかもしれない。緒方と同じ病棟の医者が自分たちを認めてくれているらしい。会ったことはないが、緒方がぼそっと話していた。なぜか緒方は、その医者と会わせてはくれないが。「もっと、肩身の狭い思いをするのもだと思ったのに。案外、みんな気にしないのかも。」実際はそうなのかもしれない。本当にやりたいことや愛しいと思う人を紹介するとき、偏見や否定されることを恐れて縮こまるが、認めてくれる人もいる。それは、数が少なく目立たないかもしれないけど。こんなにも優しい。「大切にしたいなぁ。。。このコスプレはちょっと。。怖いけど。」清水から貰ったセーラー服を見つめた。いったい、どこで手に入れたんだろう。清水は何を期待しているのだろうか。緒方には、絶対見せられない。

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