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常識くんと愛さん   作者: ニケ
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第四十八話

緒方がふとんで寝ている。起きてくる気配はない。緒方は時々こうやってゆっくりとのんびりと眠り続けることがある。ふとんのなかにまぎれこむようにうずくまって。ちょうど猫が心地よい場所を見つけて穏やかに眠るように。寝息もイビキもかかないから、そっと顔を近づけてみるが、起きない。頬をつついても、鼻をつまんでも、起きない。ただただ眠る。眠り続ける緒方を見ながら、風邪をひいて寝込んだとき、自分もこうだったのかなと神埼は思った。あのときは体も心もゆっくりとしていて、穏やかな何か空気みたいなものに包まれていた。守られているようなそんな安心感があった。緒方も今そうなのだろうか。目の前でぐっすり眠っている緒方を見つめた。口元がかすかに笑っている。いい夢を見ているようだ。緒方を見るのも飽きて、神埼はテレビのある居間へとやってきた。今日のご飯はどうしようか。昨日は緒方から素敵なレストランに連れていってもらった。とても美味しくて、何よりレストラン自体が優しく野菜が大好きなんだなぁという想いが伝わってきた。レストランの人たちと話していないのに伝わってくるから不思議だ。それに待っている人たちが辛くないようにちょっとした野菜のお菓子も配っていた。。ん?お菓子?神埼はあ!っと思い付いた。そうだ、もうすぐバレンタインがやってくる。緒方が寝ている今が練習のチャンスかもしれない。チョコレートケーキを二人で作ってもいいが、日頃のお礼もかねてこっそり渡してみたい。神埼はちらっと寝ている緒方の方を見つめた。緒方は一度眠り込んだら夕方までは起きない。チョコレートケーキの作り方と、美味しそうなチョコレートの作り方を探しにいこう。神埼は外に出る準備をして出掛けた。朝日が眩しい。目に入ってくる景色が光でキラキラとしている。久しぶりに一人で出掛けている気がして、神埼は不思議とわくわくした。緒方やクラスメイトと出掛けるのもいいけれど、こうやって一人で出掛けるのもいい。何かを発見できる気がする。神埼はスーパーへの道をのんびりと歩いた。もうチョコレートの材料を買っていたほうがいいかもしれない。緒方にばれる前に。スーパーに着いた神埼はお菓子の材料が揃っているコーナーにやってきた。バレンタインが近いからだろう。たくさん揃えてある。緒方は甘いものが好きだ。それとアーモンドなどナッツも好きだ。あれこれと想像しながら材料を選んでいく。もし、使わなかったらチョコレートケーキに使えばいい。緒方のことを思い浮かべながら神埼はココアを手に取り、アーモンドを手に取り、首を傾げながら選んでいく。やっと納得できる材料が集まった。あれから、商品をかごに入れたり戻したりを繰り返しレジで清算してもらった。携帯を見るともう2時だ。そういえばお腹がすいている。全く気がつかなかった。「。。。緒方のせいだ。」緒方のことを考えたばっかりに。神埼は一人呟きながら嬉しくなって笑った。誰かのためにこんなに悩んで選んであっという間に時間が過ぎて。また帰ってそいつのことを考えている。それがこんなにも嬉しいことだったなんて。帰って寝ている緒方に何て言おうか。お前のせいでご飯食べ損ねたとか。チョコレートの材料って結構あるんだなとか。そう言ったら緒方にチョコレートのことがバレるから言えないとか。スーパーからの帰り道、お腹がすいているのにとても軽い。楽しくてわくわくして、温かい。帰ったら緒方の鼻をつまんでやる。早く緒方に会いたくなった。家への帰り道を神埼は足を少し早めて歩いていく。夕方までには時間があるから、チョコレートの簡単な練習をしよう。そして美味しそうで作れそうなレシピも探すんだ。また早足になった神埼を冬の少し冷たい風が優しく包んでいる。少しだけ傾いた太陽がキラキラと煌めいていた。

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