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常識くんと愛さん   作者: ニケ
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第四十三話

神埼がクラスメイトから聞いた情報によると、怪我はなかったが家など建物の一部が壊れたらしい。クラスメイトたちが放課後、町を回り片付け作業を手伝うようだ。「緒方、俺、一緒に行きたいんだけど。。」珍しく緒方を遠慮しがちに見た。どうしたのだろう。自分に対してこんな弱気な神埼は珍しい。何かあるなと思いつつ、緒方は神埼に承諾の意を出した。「そっか。。うん。。行こう。。」元気がない。ここで、どうしたのですかと聞いても神埼のことだ。はっきりと教えてはくれない。神埼のことを観察して推測しなければならないなと緒方は思った。片付け作業は大変なことだが、みんなでやると楽しい。昨日の林さんと一緒に片付けたことを思い出す。神埼の元気のなさは、作業ではない。昨日との違いはクラスメイトたちと一緒にやることだ。神埼はクラスメイトたちにひそかに人気がある。繊細さと優しさと、どこか儚いイメージがあるから。恐らく母性本能をくすぐられるのだ。守ってあげたいと思われる。神埼は知らないが、緒方はクラスメイトたちに何度も、守ってあげてね、守ってあげてねと言われ続け、神埼がどこか元気がなかったら、どういうことなんだ!?と妙な圧迫感で圧される。そんなとき緒方はさっと神埼の後ろに隠れながら神埼のことを労るのだが。。「。。お前ってさ。クラスメイトたちに人気があるよな。。さっき、話してたよ。」神埼は言いにくそうに下を向きながらボソボソと話している。頼りがいがあるとか、案外気が利くとか。小さくてよく聞き取れないがそんなことを言っているようだ。しばらくして、神埼は緒方の袖の裾をぎゅっと握ってきた。「緒方。。そばにいてくれる?。。片付け作業。。のとき。。も。」悲しそうに顔が歪んでいく。下を向いた状態で緒方の方を見るから自然と上目遣いになる。ああ!!と緒方は思った。これだからクラスメイトたちに人気があるのだ!!!強気だと思ったら、こんなに弱いところを見せる。それがありのままの神埼だから手に負えない。緒方は抱き締めたい衝動をぐっと押さえた。ここは教室だ。そしてこれから授業が始まる。抱き締めてしまえば何もかも手につかなくなる。緒方はもどかしい思いを抱えながら安心させるように神埼の頭を撫でた。「いつも一緒です。今さらなんですか。」笑いながらさりげなさを装う。我ながら素晴らしいと思った。しかし、「本当か?。。よかった。。約束な!」花のような穏やかな笑顔で今度は手を握ってくる。。か、可愛らしい。。!!震える手で自分の衝動を押さえつつ、緒方は神埼の頭を撫で続けた。翻弄されている。「一番ひどかったのは、西地区だってさ。帰りに寄ろうってことになって。」お昼になり、弁当を二人で食べる。神埼は片付け作業のことで頭がいっぱいのようだ。道具を持っていったほうがいいよな。。食べながら悩んでいる。「神埼くん、今日は外食にしませんか?きっと作業のあとで疲れているでしょう。テイクアウトでもいいですよ。」何が食べたいですか?この頃は毎日何かを作りっぱなしだったからお休みして外食もいいだろう。「うーん。体が温まる食べ物がいいなぁ。肉まんとかおでんとか。」コンビニですか。そんな緒方の言葉に神埼は笑う。久しぶりの外食にわくわくしているのだろう。嬉しそうに神埼は考えている。神埼がこんなに自分の喜びに素直でのびのびと感情を表現している。怒ったり、拗ねたり、笑ったり、驚いたり。やっぱり自分は神埼が大好きなんだなぁ。しみじみと思いながら緒方は神埼の頭を撫でた。

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