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常識くんと愛さん   作者: ニケ
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第四十二話

神埼と一緒に学校への道を歩いて行く。光が眩しくて暖かい。昨日もいい天気だったが、今日も負けず劣らずいい天気になりそうだ。隣の神埼を見ると、天気よりもやはり学校のことが気になるらしい。「みんな無事だったかな。怖くなかったかな。」こんなところが神埼が繊細だと言われる所以だろう。本人は気づいていないがあらゆるものに対して深い思いやりがある。それは神埼が元々持って生まれたもので、緒方にとってもそれは宝物だ。心配していて少し緊張している神埼の頭を優しく撫でた。学校に着くと神埼は緒方を置いてさっさとみんなのところへと行ってしまった。いつもなら、楽しそうに話しているクラスメイトたちに遠慮して、遠くからそっと見守るだけなのに。いつの間にか加わっている。微笑えましい。神埼くんは可愛いですねぇ。。一人ぼんやりとしていたのだろう。隣にきた人物の姿に気づかなかった。「緒方。これ、やるよ。」すっと目の前に出されたものを見て、緒方は絶句した。こ、これは!!ずっと探していたが手に入らなかった雑誌ではないか!!緒方は素早く手に取るとその雑誌を両手で抱き締めた。隣の人物は林だった。「昨日は。。ありがとうな。じーちゃんすげえ喜んでた。」林は緒方を見て笑って言った。これ、お礼な。その笑顔はどこか大人びている。「じーちゃんさ。あれですっげえ頑固で愛想なくて、疑い深いんだぜ。人の助けなんか絶対借りないんだ。それもしょうがないって思ってたから。」緒方の前の席に座る。それはちょうど林の席だ。彼はいつも弁当を食べていた。「俺の母ちゃん、障害者だろ。昔から障害者生ませたってすげえ嫌な思いしたんだろうなって。時々、酒飲んだときに喚き散らしてたからさ。」遠い目をしながら言う。それで身内からも人からも距離が遠くなって、誰とも話さなくなったんだよ。緒方を見上げて、にっと笑う。「でも、昨日な。大丈夫かなってじーちゃん家行ったらさ。めちゃくちゃ笑ってんの。何があったんだって言ったら、お前、身長差、こんくらいの二人組のカップル知ってるかって言われて。」話聞いているうちに、お前らだろ、クラスメイトだよって伝えたら、広大!いいクラスメイト持ったな!ってがしがし頭撫でられた。こんな風にな。林は嬉しそうに笑った。彼のこんな笑顔は初めてかもしれない。いつも、大人びていて冷静だったから。「あの時さ、昔の優しかったじーちゃん思い出して、俺、嬉しかったんだ。お前らにお礼したくなってさ。それ。」必要だろ?と緒方に笑った。必要です!必要です!と緒方は頭を縦に何度も振る。バレンタイン必勝デート特集!緒方がひそかにあらゆる本屋やコンビニに走り探したが、見つからなかった。これはもうダメだと諦めていたところだ。「それ、買うときに変な目で見られたけど。お前らのためって思ったら全然気にならなかったぜ。」不思議だよな。と林はまた嬉しそうに笑った。今度、母ちゃんの介護、ヘルパーさんたちに頼ろっかなってじーちゃんと話してるんだよ。神埼が戻ってきた。さっとさっきの林からのプレゼントを鞄へと隠す。そんな緒方には気がつかなかったのだろう。神埼がクラスメイトたちからの話を緒方に一生懸命伝えようとしていた。林を見ると、緒方にしかわからない顔でにやりと笑う。林くん、ありがとうございます。緒方は鞄のなかの雑誌をぎゅっと握りしめながら心踊らせる。これで神埼を喜ばせることができる。林に目配せをしながら、神埼の話に耳を傾けた。

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