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常識くんと愛さん   作者: ニケ
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第四十一話

今日はいつもよりも早く目が覚めてしまった。きっと学校では一昨日の嵐の話で持ちきりになるだろう。緒方は朝御飯のために冷蔵庫を開けると納豆を取り出した。神埼は納豆があまり好きではない様子で、いつもゆっくりと食べている。苦手なものを自分に知られるのを嫌がるから、緒方は見て見ないふりをしていた。この納豆を半分卵に入れて、玉子焼きを作ろう。少し納豆の味が収まる。朝御飯を作りながら緒方は、一昨日の嵐の凄さを思い出していた。神埼がぐっすりと眠っていて、その寝顔を見て温かな優しい気持ちで溢れていたのだが、部屋の外から聞こえる激しい音。静かになったと思ったら急に激しく打ち付ける。どこか異様な、感じたことのない感覚を緒方は感じていた。せっかくゆっくりと寝ているのだから、神埼が起きてしまわないように祈る。彼はしたいようにすることに慣れていないし、本当は苦手なのにそれを克服しようと無理をする。克服しようとすることは素晴らしいことだが、神埼の場合、自分を押し込めて無理をしてまで自分を変えようとする。そして、苦手なものを持ってはいけない、と自分に言い聞かせているかのように、嫌だなと感じた自分を毛嫌いしている。こんな否定的な思いを感じている自分はダメで、罰せられなければならないとさえ思っているようだった。そうではないだろうと緒方は思う。苦手なものを苦手だと思ったらそれでいいし、自分のあるがまま感じたものをそのまま受け入れてから、克服することは素晴らしいが、自己否定から入った神埼のやり方は緒方には到底受け入れがたい。神埼はまず自分の感情をジャッジする。いいか悪いか判断し、責めたり誉めたりする。なぜそこまで自分を厳しく見つめ、感情を区別するのだろうか。あるがまま、感じたままでいいではないか。たとえ誰かを嫌っていても、誰かに嫌われていても一向にそれで構わない。嫌だなと感じても、好きだなと感じてもいいのだ。あるがままでいいのだ。「神埼くんは、自分が思い描いているような、完璧な型にはまった人物になりたいのでしょうか。、。私は我が儘な神埼くんがいいです。。。」納豆を入れた玉子焼きが完成した。ほかほかで湯気がたっている。半分に切ってみると少し納豆が出てきた。「納豆だって、このねばねばがいいと言う方もいらっしゃいますし、苦手な方もいらっしゃいます。でも、納豆が納豆でなくなったら。それもすべて無くなってしまう。」神埼が自分を認めないのはとてももったいないなと思う。神埼が納豆であるならば、自分はこのねばねばが大好きなので、おおいにねばねばして頂きたいが。「納豆が自分のねばねばを嫌いで隠そうとしているみたいですね。。」寂しい。。。神埼が神埼でなくなってしまう。「やはり、残りのこの納豆は、よりねばねばを出して、美味しく頂きましよう。」緒方は納豆を見て優しく微笑んだ。神埼と向かい合って朝御飯を食べる。神埼は一昨日の嵐のことをとても気にしていた。ひきりに心配していて、そわそわしていた。早く学校に行きたいようだ。「。、?お前、納豆好きなの?そんなねばねば出して。」いつもと違うこのねばねばに気づいたのだろうか。緒方は嬉しくなり、そうだと答えた。「へー。。。お前、やけに嬉しそうだな。。」よほど美味しそうに食べていたのだろう。神埼が納豆を見て、俺もねばねば出して食べてみようかな。。と呟いている。そうなのだ。強くて子供っぽくて我が儘な神埼が好きだ。目の前で自分が美味しそうに食べていたら、それを食べたくなって奪っていくような。「緒方。。その納豆、一口、ねばねばくれ。」ほら、きた。緒方は心のなかでほくそ笑む。そんな神埼が大好きなのだ。「。。もう、しかたがないですね。。私はこの納豆の玉子焼きを頂きますよ。」緒方からもらった納豆を食べている。びっくりしたように、美味しい!?なんで!?と叫んでいる。だし醤油を少し甘めにしてかけておいた。だし醤油がねばねばに絡んでなお美味しい。結局そのままその納豆をすべて食べるだろうなぁと思いながら、納豆の玉子焼きを食べていた。神埼は一口、と言ったことを忘れている。微笑ましい。「学校ではどうだったのでしょうか。行ったら聞いてみましょう。」その言葉に神埼は頷く。朝御飯を終えて、準備をし学校へと二人で向かった。

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