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常識くんと愛さん   作者: ニケ
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第二十八話

神埼が寝ている。ゆっくりと寝ている。今日の神埼はとても変だった。自分におかゆをねだるのはいつものことだが、時々うわ言でまだだ、まだだ、と呟く。緒方にはわからない。今度ご飯をねだった時に聞いてみようか。緒方は迷ったがいざ神埼からおかゆをねだられると、そんなことはどうでもよくなる。神埼がいるなら、それでいいか。聞くことを忘れて今度はおかゆに野菜をもう少し刻んでみよう、などと考えている。自分はこうゆうところが鈍感だと言われるのだろう。家族からも周りからもよくからかわれている。彼は自分に厳しすぎる。もっと優しく甘く大切にしてほしい。神埼はどこか今の自分ではなくて、彼ではない他の誰かになろうと努力している。自分では駄目だと言っているようなものだ。「あなたの今の課題は、ありのままの自分を愛することですね。」寝ている神埼に話しかける。神埼がありのままの神埼を受け入れないのなら自分が受け入れる。愛さないのなら自分が愛する。優しくないのなら自分はそれ以上に優しくしよう。思い知らせてやるんだ。彼が自分にとってどれほど大切で愛しいか。ありのままでいてほしいか。神埼は我が儘を言わない。我が儘とは迷惑をかけることではない。相手に自分の感じたこと考えたこと、思ったことを伝えることだ。彼は自分にそういった神埼自身の声を聞かせてくれない。彼はいつも寒そうだ。だから、やっぱり早くこの寒さが温かくなればいいのだ。緒方は考えれば考えるほど、悔しくてふて腐れてしまいそうだった。父が家で大暴れをしたように自分も駄々っ子になってみようか。そうすればこの寒さも温かくなるかもしれない。緒方が一人でぶつぶつ言っていると何やら視線を感じた。神埼が自分を見ている。「いつの間に目覚めたのですか?。。まさか聞いていました?」その言葉に神埼は無邪気に笑った。まるで悪戯っ子のようだ。おもちゃを見つけたかのようにキラキラ目を輝かせている。「もう。。目が覚めたのなら声をかけてください。。。意地悪ですね。」目覚めた神埼の様子をよく観察する。熱は昨日の夜やっと下がったが体は辛いだろう。涙目だった目も昨日よりは元気そうだ。「辛いところは?体はどうです?」額に置いたタオルを手に取り、洗面器に入れた。「大丈夫。。、緒方、学校は?。。今何時?」今まで辛かったのだ。泣き言くらい言えばいいものを。緒方はさっきの悔しさが返ってきて、口を尖らせた。少しは自分に我が儘を言えばいいのだ。「そんなことはどうでもいいです。それより、辛くはないのですか?私はお腹がすきました。神埼くんも何か言ってください。」なぜ怒ったのだろう。神埼は目を丸くしている。「何かしてほしいことはないのですか?あるでしょう?私に。さあ、早く言ってください。」もう少し自分に頼ればいいのに。本当は自分が彼に頼ってほしいのだけど。悔しいから言ってやらない。こんなところを家族は子供だと言うのだろう。わかってはいるが、悔しいものは悔しい。仕方がない。「。。。ぷっ。。あはっ。。あはは!。。ゴホゴホ!」笑いかけた神埼が咳き込む。喉も乾いているのだろう。苦しそうだが、笑いながら咳き込むので、緒方はその姿を拗ねながら横目でちらちら見る。「お腹がすいたよ。緒方。さっきのおかゆも美味しかったけど、なんか、力が出るもの。肉が食べたいな。」晴れやかに笑っている。やった。やっと我が儘を言ってくれた。これからもそうやって自分に言ってほしい。肉ですか。素晴らしい選択です。思ったよりも自分が上機嫌で、これでは笑われてもしょうがないなと緒方は台所へと向かった。

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