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常識くんと愛さん   作者: ニケ
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第二十五話

この空間がどこだかわからない。帰れなくなるかもしれない。でも、ここに来てよかった。この子に出会えてよかった。神埼は握った手を今度は両手で包み込んだ。「。。?」子供は不思議な顔をしている。どうしてそんなにしてくれるの?とでも言っているようだ。神埼は心に広がっていく愛しさをこの子に伝えたいと強く思った。「俺は、お前のこと、すごく好きだよ。すごく、愛しいよ。」子供は驚いて目を丸くしている。どうして?と呟き呆然としている子供に神埼は言った。胸が苦しい。でも、さっき感じた嫌な苦しみじゃない。温かくて、優しくてじわじわと愛しいものが湧いてくる。そんな苦しみだ。「大好きだ。」子供は、未だびっくりしている。やがて、神埼の頬をそっと撫でた。その時、初めて神埼は自分が泣いていることに気づいた。「大好き。大好きだよ。お前が愛しいよ。誰がなんと言おうと、誰もがお前を見捨てても、俺は絶対そばにいるよ。」泣いていた。泣きたくて泣くんじゃない。想いがあふれて、止まらなくなるんだ。ずっと言いたかった。ずっと会いたかった。なぜこんなにも自分が泣いているのかわからない。それでもかまわない。この子に伝えたい。この子に伝えたいんだ。伝えたかったんだ。神埼は泣きじゃくった。子供に何度も何度も愛しい、大好きと伝えながら。涙が溢れて止まらない。やがて、嘔吐となり言葉が言葉にならない。それでもいい。どんなでもいい。この子がこんなにも愛しいんだ。「俺は、お前のこと、すごく好きだよ。すごく、愛しいよ。」子供は驚いて目を丸くしている。どうして?と呟き呆然としている子供に神埼は言った。胸が苦しい。でも、さっき感じた嫌な苦しみじゃない。温かくて、優しくてじわじわと愛しいものが湧いてくる。そんな苦しみだ。「大好きだ。」子供は、未だびっくりしている。やがて、神埼の頬をそっと撫でた。その時、初めて神埼は自分が泣いていることに気づいた。心の奥でずっと感情を遠慮して、ずっと怖くて閉まっていた。本当の想いをぶつけることが怖くて、逃げて、どこか誤魔化していた。でも、今この心のすべてを懸けて叫ぶ。何があっても、どんなでも、自分はこの子が愛しい。愛しいんだ。泣き叫ぶ神埼を、子供は始め驚いて見ていたが、やがて優しく見つめていた。ゆっくりと手を神埼の頭に置く。優しく、優しく撫でた。よしよし。にこにこと笑っている。「ありがとう。」笑顔で穏やかに見つめる子供の姿が涙で霞んでよく見えない。なのに、そんな子供の姿を見た瞬間、また神埼のなかでなにかが弾けた。心の奥の苦しみが溢れて、涙になって溶けていく。優しく、優しく溶けていく。何度も何度も神埼は子供に愛してる、と言った。愛してる。一人にしてごめん。諦めてごめん。辛い思いをさせてごめん。愛してると伝えたかった。その次にいつの間にか神埼は謝っていた。ごめん。ごめん。一人にしてごめん。閉じ込めてごめん。ちゃんと見てやれなくてごめん。泣きじゃくる神埼の頭を子供がしっかりと抱き締める。大丈夫。大丈夫。その腕のなかは強くて、優しい。子供の胸に抱かれながら、神埼はまた堰を切ったように泣きじゃくった。どれくらい泣いただろう。嘔吐が収まっていく。激しく荒い呼吸が少しずつ穏やかになる。やがて、静かに神埼は目を閉じた。ゆっくりと呼吸をする。力が抜けていく。腕を解き、子供はゆっくりと神埼の肩を掴んで神埼の目をしっかりと見た。「いい人を好きになったね。これからは、その人に本当の想いをぶつけるんだよ。大丈夫だから。」もう一度、子供は神埼の頭を優しく撫でた。「大好き。」次の瞬間、神埼の視界がとても明るいものに包まれた。子供が輝いている。灰色で薄暗かった空間が、淡い黄色の優しい色になり、子供の周りは柔らかなピンク色に包まれていた。涙が溢れて流れていく。「大好き!!」子供は屈託笑いながら神埼に抱きついた。

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