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常識くんと愛さん   作者: ニケ
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第十ニ話

神埼を夕飯に誘わなくてはならない。そうでないと、自分は家へと怖くて帰れない。昨日の晩御飯の後、運悪く母にも気づかれた。そんなに自分はわかりやすく浮かれていたのだろうか。確かに神埼と一緒に帰って、彼が笑ってくれたことは嬉しい。嬉しいがそんなに表情に出ていたなんて。「もう!愛は意地悪ね!連れてきてって言ってるじゃない!その子連れてきてくれなかったら、勇くんと二人で、愛の部屋をずっと覗き見るから。ドアなんてずっと開けっ放しにするから。」なんの嫌がらせだ。「ああ、よかった。もうすぐ開かれる研究発表会で論文を提出しなければならなかったのです。今回の論文のテーマは、青少年の心身発達の現状、でいきましょう。ありがとう。愛。助かりました。」勇気はにこにこと笑っている。冗談ではない。元気ならともかく、勇気は冗談は言わない。口に出したら、必ず実行する。「ちょ、ちょっと待ってください!!そんな横暴な!」「どっちが横暴よ!どうして連れてきてくれないの?訳がわからないわ。」訳がわからないのはこっちだ!緒方は頭を抱えた。この二人にはどうしても敵わない。そもそも、家族が嬉しそうに微笑んだのだ。そっとしておいてくれればいいものを。なぜそう構いたがるのか。秘かに温めていたものを二人に見られてしまったような。気恥ずかしいような。だからこそ、緒方はそっとしてほしかった。しかし、この二人は言い出したら聞かない。こうなっては、神埼を呼んでくるしかないのだが、果して、来てくれるだろうか。ただでさえ、彼は人見知りが激しそうだし、自分だってやっと昨日話せて、笑ってくれたのだ。家族に会わせるなどハードルが高すぎる。「。。彼は、繊細なんです。もう少し待ってくれませんか?。。聞いてみますので。」緒方は、勇気と母に神埼のことを話した。彼がずっと一人でいたのこと。昨日、やっと一緒に帰れたこと。何かを抱えて、辛そうだったこと。二人は黙って聞いている。「うーん。母さん、やはり愛は大人になってしまったようです。私は研究テーマをこのまま続行します。」そうこなくっちゃね。母も頷いている。。。。何を聞いていたんだろう。この二人は。。!「そこまで聞いておいて、もう少し待ってくれないのですか!?なぜ、そう面白がるのです!?」面白がってなんかいないわ!知りたいだけよ!。。。それが面白がると言うのだ!!「じゃ、そういうことで。連れてきてね。」母は、小躍りしながら階段を下りていく。勇気は艶やかに笑い自分の部屋へと帰っていった。。。大変なことになってしまった。神埼に話してはみるが、なるだけ彼を家族に会わせたくない。もう少し、もう少しだけ。彼との時間を楽しみたい。それが緒方の本音だった。

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