第百五話
遺伝子の特別番組が終わり緒方と大塚は満足そうに机に向かっている。カレーをほおばりながら、凄いなぁと言い合っていた。「倫理観の討論が起こりそうですが、何かを追究して人の役に立つように力を尽くされていて素晴らしいですね。謎がゆっくりと解かれていく。わくわくしてしまいます」そうだな!大塚が嬉しそうに笑っている。遺伝子ってどうやって調べるの?神埼の素朴な質問に緒方と大塚は楽しそうに説明していた。なんにせよ好きなものや夢中になれるものがあることは良いことだ。イキイキと話す二人の説明を神埼は興味深そうに聞いていた。「まさに奇跡ですよね。当たり前だと思われているものが、実はとてつもない確率で存在しているのですよ。膨大な遺伝子の集合体です」肉体の神秘です。大塚もうんうんと大きく頷いている。林はカレーを食べながら、へぇと気の抜けた返事をしている。生きてりゃいいじゃねーか。ぼそっと呟いた林に、そこが凄いんだって!!と大塚は力説している。ふと見ればカレーの無くなるペースが早い。あんなに大盛りだったのにもうあと一口だ。その一口を緒方はゆっくりと口に運んでいく。「上手いなぁ。。おかわりあるか?お!緒方も食べ終わってる。。こいつの分もあるかな」大塚が皿を持ちながら立ち上がっている。緒方の皿も受け取って台所へ歩いていった。これでもかというほど大量の野菜を入れて煮込んだが、きっと今日で無くなるだろう。神埼はこっそり笑った。「明日はお魚でも食べたいですねぇ。。お魚屋さんに行ってみましょうか」朝御飯に焼き魚。グリルは春休み前に掃除をして綺麗になっている。掃除をしながら緒方が焼き魚を食べたそうにしていたなと神埼は思い出していた。ふと考えていた林が、そういえばと呟く。「近くの川で魚、捕れるぜ。石を積んで浅瀬に追い込んでさ。食費が足りなくて、捕って食べてるよ」なんですと!?緒方の目が光る。それはどこですか!?と林に詰め寄っている。笑いながら林は、近くだよと言ってカレーをほおばっている。緒方の目が真剣で、これはきっと明日捕りに行くんだろうなぁと神埼は思った。「今ならヤマメとか捕れるんじゃないかな。塩焼きにしても美味しいし、串に刺して焚き火で焼いて食べてもいいし」焚き火!?緒方の目がさらに輝いていく。これはもう明日の昼はその川で焼き魚を食べることになるだろう。川で魚を捕るなんてやったことがない。キャンプに行くようで神埼もわくわくしてきた。林に詰め寄る。「明日は晴れるんだよね。その川に行っていいかな!?昼御飯は魚!串に刺して焼くなんてすごく楽しそう!!」緒方と神埼にキラキラとした目で見られ林はやや体を後ろに引いた。魚を捕る時はお金がないときの最終手段で、二人のようなわくわくするものではなかった。そんなに楽しいものなのだろうか。「そ、そうか。。じゃあ、行くか。明日な。釣りで捕ってもいいんだけど、浅瀬に追い込んだ方が手っ取り早いし。手頃な大きさの魚が捕れるんだ」林の話に二人の目はさらに輝きを増す。まぁまぁとなだめながら明日の約束をする。大塚がおかわりのカレーを持って台所から居間にやってきた。明日川で魚を捕り、焚き火で焼くのだと神埼が伝えている。おー!と大塚は大きな声を上げた。「いいな!焚き火かー。明日は気温も上がって温かいって予報で言ってたし、雨上がりで川の量が増えてるかもだけど昼頃には落ち着くだろ。キャンプ気分だな!」カレーを緒方に渡しながら楽しそうに笑っている。そんなに楽しいことなのだろうか。魚を捕るときは一人でやっていることが多かったので楽しいものではなかった。とにかく家で待っている母親に魚と、山に入って山菜を採ってくることだけを考えていた。お金がないことが恥ずかしくてあまり良い思い出ではない。「結構いるぜ、魚。いつも月末に捕ってたから。今の魚は比較的肉厚だった気がするなぁ」川の同じ所で捕ると魚も警戒して逃げるから、場所をその都度変えるんだよ。林の話に三人はへえー!と声を上げながら聞いている。良い思い出ではないが、この友人たちがこんなに喜んでくれるなら川で魚を捕っていてよかったなと思う。不思議なものだ。「明日、朝御飯はそこそこに昼の焼き魚に備えてお腹少し空かせていこう。おにぎりとかも食べたいなぁ」明日が楽しみだ。今日の夜にご飯を多めに炊いておこう。早起きをしておにぎりの具を作ってもいい。神埼はわくわくしながらカレーを口に運ぶ。自分が経験していないことを自然にやっていたり、わからないものを教えてくれたり。誰かと一緒にいるっていいなと神埼は思った。「焚き火と言えば、焼き芋か?時期じゃないなぁ。。ついでだから野菜も一緒に焼きたいよな」バーベキューの焚き火バージョンですね。緒方も何か別のものを焼こうと考えているようだ。神埼はご飯を焼いてみたいなと考えていた。「きりたんぽみたいにさ。串にご飯を細長くくっつけて醤油をつけながら焼いていくの。美味しそう」とてもいいですね!緒方と大塚は神埼を見ながらしきりに食べたいと言っている。魚以外に焼いたことがなかった林は、なるほどなぁとしみじみ頷いていた。「マシュマロ!焼いてみたいです。チーズも焼いてみたいです!」それ一つのロマンだよなー!大塚が楽しそうに緒方の肩を軽く叩いた。コンビニなら朝から開いてるだろ?川に行く前にスーパーで買っていくか?予定がどんどん決まっていく。明日が待ち遠しい。何を焼くかという焚き火の話題で四人はいつまでも話し合っていた。
皆様、おはようございます(*^^*)いかがお過ごしでしょうか?
幸せなほのぼのとはいったいどんなものかなぁとこの頃は四六時中考えております。。道はまだまだ続くのだー!
ではでは、皆様これからも素敵な時間をお過ごしくださいね(*^^*)




