表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
普通人が行く異世界冒険記  作者: 豆腐斧
第一章 アルトベルク編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
9/48

第九話 初めての武器と初めての戦闘

翌朝。

俺はゲランとゴッソに連れられて武器屋へ向かっていた。


「武器屋なんて何を買えばいいのか全然分からないんだけど」

「初心者なんだから分からなくて当たり前だ」


ゲランが言う。


「とりあえず最初はナイフだな」

「剣じゃないのか?」

「無理だ」


即答だった。

少し悲しい。


「お前、剣振ったことあるか?」

「ないなぁ」

「だろうな」

「ない」


ゴッソまで頷いた。

味方がいない。


◇◇◇


やがて目的の店へ到着する。

看板には大きく鉄槌の絵が描かれていた。

店内へ入る。

途端に鉄の匂いが鼻をくすぐった。

壁には剣。

槍。

斧。

盾。

様々な武器が並んでいる。


ちょっとテンションが上がった。

そしてカウンターの奥から声がした。


「いらっしゃい」


俺は思わず固まった。

背が高い。

170cm後半はありそうだ。

引き締まった身体。

長い銀髪。

鋭い目つき。

そして美人だった。


かなり美人だった。


「おう、リズ」


ゲランがやけに明るい声を出した。

俺は横を見る。

デレデレしていた。

分かりやすいくらいデレデレしていた。


「……なるほど」

「何がだ」

「いや別に」


なぜこの店を勧めたのか理解した。

完全に理解した。


◇◇◇


「初心者用の武器か」


リズは俺を見て言った。


「そうだ。冒険者登録したばかりだ」


ゲランが答える。

リズは少し考えた後、壁から一本のナイフを外した。

刃渡り20cmほど。

分厚い刃。

どちらかと言えば肉切り包丁に近い。


「これだな」


俺は受け取る。

ずっしり重い。

だが不思議と安心感があった。


「魔物の解体にも使える」

「いくらですか?」

「銀貨5枚だね」


俺は少しだけ顔をしかめた。

高い。

だが必要経費だ。

銀貨を支払う。


これで俺の所持金は銀貨12枚ほどになった。

少し心細い。


「ちゃんと手入れしろよ」


リズが言う。


「切れなくなったら持ってこい」

「分かった」

「無料じゃないぞ」

「ですよね」


美人だが商売人だった。


◇◇◇


武器屋を出た後。

ゲランがニヤニヤしていた。


「良かっただろ?」

「武器は良かった」

「そうじゃねぇよ」

「そういう話じゃないだろ」


ゲランは残念そうな顔をした。

ゴッソが呟く。


「いつものことだ」

「だろうな…」


◇◇◇


そのまま町の外へ向かう。

せっかく武器を買ったのだ。

試してみたくなる。

初心者向けの魔物がいる場所へ案内してもらった。

草原の一角。

背の高い草の間に、何かがいた。


「いたぞ」


ゲランが指差す。

俺は目を凝らす。

キノコだった。

どう見てもキノコだった。

高さ40cmほど。

手足が生えている。

歩いている。

キノコなのに。


「マイコニドだ」

「キノコだなぁ…」

「キノコだ」


ゴッソも同意した。


「初心者向けの魔物で傘の部分が薬になる」


ゲランは説明を続ける。


「胞子に毒があるが、この辺の個体は弱い」

「弱い?」

「ちょっと気分が悪くなる程度だ」

「十分嫌だな」

「だから初心者向けなんだ」


基準がおかしい気がする。


◇◇◇


「行ってこい」


ゲランに背中を押された。

俺はナイフを握る。

手汗がひどい。

人生初の戦闘だった。

マイコニドはこちらに気付く。

そして。


ぽふっ。

胞子を飛ばした。


「うわっ!」


慌てて避ける。

地味だ。

想像していた戦闘よりかなり地味だった。

だが危険なのは分かる。

俺は距離を詰める。

ナイフを振る。

外れる。

マイコニドが逃げる。

追いかける。

転ぶ。

立ち上がる。

また逃げられる。


「頑張れー」


ゲランの声が聞こえる。

腹が立った。


◇◇◇


5分後。


「はぁっ!」


ようやくナイフが命中した。

マイコニドが倒れる。

動かない。

どうやら勝ったらしい。

俺はその場に座り込んだ。

疲れた。

たった40cmのキノコ相手に全力だった。


【マイコニドを討伐しました】


文字が浮かぶ。


その直後。


何も起こらない。


「ん?」


俺は自分のステータスを確認した。


レベル1。


変化なし。


「上がらないのか」

「当たり前だ」


ゲランが笑う。


「そんな簡単に上がらねぇよ」


俺も少し考える。

確かにそうだ。

ゲームでもスライム1匹でレベルアップした記憶はない。

妙に納得してしまった。


◇◇◇


その後も狩りは続いた。

マイコニドをもう2匹。

角ネズミを1匹。

草むらにいた牙モグラを1匹。


どれも弱い魔物だった。

攻撃なんかはしてこない。

逃げるだけで普通の動物みたいだ。

だが俺にとっては十分な強敵だった。

ナイフを振る。

避ける。

転ぶ。

追いかける。

振る。

当たる。

倒れる。

その繰り返し。


気付けば太陽は傾き始めていた。


息は上がり、腕は重い。

だが不思議と嫌な疲れではなかった。


「どうだ?」


帰り道。

ゲランが聞いてきた。

俺は少し考える。

そして答えた。


「思ったより大変だった」

「だろうな」

「でも」


腰のナイフを見る。

初めて自分で買った武器。

初めて倒した魔物。

少しだけだが前に進んだ気がする。


「ちょっと楽しかった」


その言葉にゲランが笑った。

ゴッソも小さく頷く。

異世界に来てから9日目。

俺はようやく冒険者らしい一歩を踏み出したのだった。

リズ

年齢:27歳

種族:人間

性別:女

身長:178cm

体重:秘密

髪:銀髪

瞳:蒼

体格:引き締まった長身

趣味:鍛冶、武器の手入れ

好きなもの:真面目な客

嫌いなもの:値切る客

特徴:目付きが鋭い、美人、強い


ゲランがデレる

本人は気付いてる

でも相手にしていない

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ