表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
普通人が行く異世界冒険記  作者: 豆腐斧
第一章 アルトベルク編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
34/48

第三十四話 風の契約

町についた俺とリリアは冒険者ギルドの受付へ向かっていた。

革袋の中では、先ほど回収したジャイアント・ビーの素材が小気味よく音を立てている。


「今回は全部無事ですね。」


リリアが嬉しそうに笑う。


「ああ。焦がさなくて済んだからな。」


針も大顎も綺麗なまま。

前回とは大違いだ。


◇◇◇


「お疲れ様でした!」


受付では、いつものようにミーナが笑顔で迎えてくれた。


「今日はジャイアント・ビーが多いですね!」


机の上へ素材を並べる。

針。大顎。魔石。

綺麗に揃った素材を見て、ミーナは感心したように頷いた。


「前回は魔石だけでしたもんね。」

「今回はちゃんと狩れました。」

「すごいです!」


リリアも少し誇らしそうだ。

査定が始まる。

ジャイアント・ビーの素材だけではない。

途中で討伐したゴブリン。オーク。薬草類。

ミーナは一つ一つ確認し、計算盤を弾いていく。


「お待たせしました。」


紙から顔を上げる。


「本日の買取金額ですが──」


少し間を置いて、


「銀貨五十四枚と銅貨六枚になります!」

「おぉ!」

「やりました!」


思わず声が出た。

昨日と同じくらい稼げている。

リリアも嬉しそうに両手を握る。


「これで……。」


革袋を開く。銀貨を数える。


「昨日と合わせると百枚超えたな。」

「わぁ……。」


リリアが目を丸くした。


「私、こんな短期間でこんなに稼いだ事ないです」

「俺もだ…パーティってすごいな…」


二人で顔を見合わせて笑う。


◇◇◇


ギルドを出る。


「明日はどうします?」


リリアが尋ねた。

俺は少し考えてから答える。


「狩りは休みにしよう。」

「お休みですか?」

「たまには町をゆっくり見て回るのも悪くない。」


リリアはぱっと笑顔になった。


「賛成です!」


◇◇◇


翌朝、最初に向かったのは、魔術師ギルドだった。

扉を開ける。店内には相変わらず静かな空気が流れている。


「いらっしゃいませ。お久しぶりですね。」


ギルドの受付嬢が笑顔を向ける。


「今回も魔法の契約でしょうか?」

「えぇ、風魔法も覚えようかと。」


店主が少しだけ眉を上げる。


「前回は水でしたね。全属性行われるのですか?」

「火と水がいけたので風もいけるんじゃないかなと」

「一番難易度の高い火と水の2属性をクリアされてるので大いに可能性はありますね。

少ないながらも全属性使われる方もいらっしゃいます。」

「そう言ってもらえるとやる気でます。風って何となくカッコイイ感じもしますし。」


俺は少し笑って答えた。


「…まぁ否定はしません。では金貨1枚か銀貨100枚をお願いします。

お連れ様は契約が終わるまでこちらでお待ちください。」


お金を払い、契約室へ案内される。

前回と同じ窓のない部屋だ。緑の魔法陣が光っている。


「では風の契約を行います。」


魔法陣が淡く光り始めた。

足元から淡い緑色の光が立ち昇る。


風が吹く。

優しい風が身体を包み込み、そのまま胸の奥へ吸い込まれていくような感覚。

しばらくして光が消えた。


「終わりました。ステータスの確認をお願いします。」

「はい!」


【ステータス】

名前:ヤスモトダイスケ

レベル:9

加護:均衡成長

スキル:万能適正、武器扱い Lv2、採取 Lv2、解体 Lv2、火魔法 Lv3、水魔法 Lv2、風魔法 Lv1、気配察知 Lv1


筋力:34

敏捷:34

体力:34

魔力:34

精神:34

運:34


魔法:リトルファイア、ファイア、ファイアボール、ウォーター、ウォーターカーテン、ウインド

技:ソードスラッシュ


「風魔法の契約成功です!」

「おめでとうございます。しかし3属性ですか。素晴らしい才能です。」

「ありがとうございます!」



◇◇◇


店の外へ出る。リリアが期待した顔で聞いてきた。


「早速試します?」

「もちろん。」


俺は右手を前へ出した。


「ウインド。」


ふわっ。優しい風が吹く。

リリアの前髪が揺れる。俺の髪も少しだけ揺れた。

服の裾が軽くはためく。


…………。


終わり。


「……。」

「……。」


俺とリリアは顔を見合わせた。


「以上?」

「以上……ですね。」


もう一度。


「ウインド。」


ビュゥ……


少し強めの扇風機の強くらいの風。


「……。」

「……。」


リリアが首を傾げる。


「これ、どう使うんでしょう?」

「俺が聞きたい。」


思わず笑ってしまった。

火は攻撃。

水は飲める。

でも風。


「涼しそうですね!」


リリアは満面の笑み。


「その使い方でいいのか?」

「いいと思います!」

「…暑かったら言ってくれ……」



◇◇◇



歩きながら俺は小さく笑う。

火。水。そして風。

三つの属性が使えるようになった。


一つ一つはまだ弱い。

でも、着実に増えている。


「次は土だな。」

「本当に全部覚えるんですか?」

「せっかくならね。試してみないと。」


俺がそう言うと、

リリアは楽しそうに笑った。


「ダイスケさんらしいです。」


俺も笑う。全部覚えた先に、どんな魔法が待っているのか。

今から少し楽しみだった。


◇◇◇


「そういえば。」


しばらく歩いたところで、リリアが少し遠慮がちに口を開いた。


「あの……。」

「ん?」

「もし、このあとお時間があれば……買いたい物があるんです。」


俺は頷いた。


「もちろん。せっかくの休みだし付き合うよ。」


リリアの表情がぱっと明るくなる。


「ありがとうございます!」


そう言って向かった先は、見慣れた武器屋だった。

武器屋の扉を開ける。カラン、と鈴が鳴った。


「いらっしゃい」


聞き慣れた声が店内に響く。


「ダイスケじゃないか。」


カウンターの向こうでリズが笑っていた。


「また世話になるよ。」

「今日はどうしたんだ?投げナイフでも追加か?」

「あぁ、そういや昨日数本無くしたし追加で何本かもらおうかな。

で、今日は俺じゃなくてリリアが欲しいのがあるんだって。」


リズがリリアを見る。


「採取道具を見たいんです。」

「採取道具?」

「はい。今までは手で薬草を採ってたので……。」

「薬草を採るには採取用ナイフを使うのが一般的だね。」

「やっぱりそうですよね……。」

「ちょっと待ってな。」


リズは店の奥へ消えていった。

しばらくして戻ってくる。

手には一本の小さなナイフ。

革の鞘に収まった細身の刃だった。


「採取用ナイフだ。」


リリアが受け取る。鞘から抜くと、刃渡り十センチほど。

先端は細く、刃も薄い。


「軽い……。根を傷付けず切れるようになってる。」


リズは笑いながら説明した。


「無理に引っ張ると薬草も傷むからな。」

「なるほど……。」


リリアは何度も握り直している。手にぴったり馴染むらしい。


「あと、それなら。」


今度は棚から革製のショルダーバッグを取り出した。

深い茶色の革で作られている。

中には小さな仕切りがいくつも付いていた。


「採取バッグだ。」

「かわいい……。」


リリアがぽつりと呟く。

その一言で、リズも俺も思わず笑ってしまった。


「可愛いだけじゃないよ。」


リズはバッグを開く。


「薬草を種類ごとに分けられるし瓶も入る。傷みやすい薬草も潰れにくい。」

「すごい……。」


リリアの目が完全に輝いていた。


「いくらですか?」

「採取ナイフが銀貨二枚。バッグが銀貨五枚。合わせて七枚だね。」


リリアは財布を取り出す。


「買います!」


迷いはなかった。銀貨を七枚並べる。


「毎度。」


リズは笑って受け取った。

リリアは新しいバッグを肩へ掛ける。

採取ナイフを腰へ差す。

嬉しそうに何度も触っていた。


「似合ってるじゃないか。」

「えへへ……。」


リリアの笑顔を見たリズも満足そうに頷いた。


「その装備ならきっと薬草ももっと採りやすくなるよ。」

「ありがとうございます!大事に使います!」


深々と頭を下げるリリア。


「使ったら痛んでいくからいつでも研ぎにおいで。」


リズは腕を組んで笑う。


「はい!」


リリアが元気よく返事をする。

俺も投げナイフの支払いを済ませ、リズの店を後にした。

店を出たあともリリアは何度もバッグを撫でている。


「そんなに嬉しい?」

「はい!採取セット、ずっと欲しかったんです。」


その声には隠しきれない喜びが滲んでいる。

俺は思わず笑った。


「よかったな。」

「はい!」


大きく頷いたリリアは、少し歩いたところでふと思い出したように口を開く。


「あっ、もう一つだけ寄ってもいいですか?」

「もちろん。」

「本屋さんです。」

「本?」

「薬学の本が欲しくて。」


その一言に、俺は少し興味を持った。


「なるほど薬学の本か。」

「はい。ちょっとお値段するんですがたくさん稼げたので!」


リリアは嬉しそうに頷く。

そう言って歩き出すリリアの足取りは、さっきまで以上に軽かった。

【ステータス】

名前:ヤスモトダイスケ

レベル:9

加護:均衡成長

スキル:万能適正、武器扱い Lv2、採取 Lv2、解体 Lv2、火魔法 Lv3、水魔法 Lv2、風魔法 Lv1、気配察知 Lv1


筋力:34

敏捷:34

体力:34

魔力:34

精神:34

運:34


魔法:リトルファイア、ファイア、ファイアボール、ウォーター、ウォーターカーテン、ウインド

技:ソードスラッシュ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ