表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
普通人が行く異世界冒険記  作者: 豆腐斧
第一章 アルトベルク編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
28/48

第二十八話 初めてのパーティ

翌朝、いつものように宿を出て冒険者ギルドへ向かって歩いていると、後ろから聞き覚えのある元気な声が飛んできた。


「おはようございます!」


振り返ると、金色の髪を揺らしながらリリアが小走りで近付いてくる。


「おはよう。」

「昨日はありがとうございました!」


立ち止まると、リリアはぺこりと頭を下げた。


「いや、ケガもなく無事でよかったよ。」

「はい!」


顔を上げたリリアはとても明るい表情をしていた。


「ダイスケさんが助けてくれなかったら、私どうなってたか分かりません。」

「たまたま近くにいただけだよ。」

「それでも助けてくれたじゃないですか。」


照れくさくなって頭を掻く。

大したことをしたつもりはない。

困っている人がいたから助けただけだ。


「ちゃんとお礼が言いたかったんです。」

「律儀なんだな。」

「えへへ。」


少し照れたように笑ったリリアは、一度深呼吸をすると真剣な表情になった。


「あの……。」

「ん?」

「もしよかったら。」


少しだけ視線を泳がせる。

そして意を決したように俺を見つめた。


「私とパーティを組んでもらえませんか?」


予想もしていなかった言葉だった。


「俺と?」

「はい!」


即答だった。


「昨日一緒にいて思ったんです。」

「うん。」

「ダイスケさんなら安心して背中を任せられるなって。」


そう言われると少し照れる。


「でも俺、まだ駆け出しだよ?」

「私もです!」


リリアは胸を張った。


「だから一緒に強くなりたいんです!」


真っ直ぐな瞳だった。少しだけ考える。

一人で行動する気楽さもある。

でも、昨日の出来事で仲間がいる安心感も少しだけ分かった。


「俺で良ければ。」


その一言を聞いた瞬間。


「本当ですか!」


ぱあっと花が咲いたような笑顔になる。


「ありがとうございます!」


勢いよく頭を下げるリリアを見て、思わず笑みがこぼれた。


「じゃあ、まずはギルドだな。」

「はい!」


二人で並んでギルドの扉を開けた。



◇◇◇


「いらっしゃいませ……あっ!」


受付にいたミーナが嬉しそうな声を上げる。


「リリアさん!」

「こんにちは!」

「今日はどうされたんですか?」

「パーティ登録をお願いします!」

「まぁ!」


ミーナは俺とリリアを交互に見た。


「ダイスケさんと組まれるんですね。」

「はい!」

「お二人なら、とてもバランスが良さそうですね。」

「そうですか?」

「はい。きっと素敵なパーティになりますよ。」


その言葉だけで少し嬉しくなった。


「それでは、登録を行いますのでパーティ名をお願いします。」


パーティ名…考えてなかった。


「じゃあ……。」


軽い気持ちで口を開く。


「フォレストダッシュで。」

「なんですかそれ!」


リリアが即座に叫んだ。

頬を膨らませて抗議してくる。


「勝手に決めないでください!」

「森を駆け回る感じでいいかなと思ったんだけど。」


ミーナは肩を震わせながら笑いを堪えている。


「ふふっ……まだ決まってないんですね。」

「はい…」


リリアは俺の方を見た。


「もっとこう……素敵なのがあるじゃないですか!」

「例えば?」

「えっと……。」


リリアが固まる。


「……。」

「……。」

「思い付いてませんでした。」

「一緒じゃん。」

「一緒でした……。」


二人して苦笑する。

それからしばらく、色々な名前を出してみる。


フォレストラン。

グリーンリーフ。

ウッドスピリット。

どれもしっくりこない。


「難しいなぁ。」


俺が呟くと、リリアも腕を組みながら唸った。


「森って私達に色んな物をくれますよね。」

「薬草とか魔物とか。」

「はい。」

「森の恵み、って感じかな。」


その言葉を口にした瞬間ふと思い付いた。


「フォレストブレス。」

「え?」

「森の恵みって意味を込めて。」


数秒の沈黙。


「それです!」


リリアが満面の笑みになった。


「すごく素敵です!」


ミーナも優しく頷く。


「フォレストブレスですね。」


さらさらと羽ペンが書類の上を走る。最後に判子が押された。


「本日よりパーティ『フォレストブレス』を登録いたします。」


これで俺達は正式なパーティになった。



◇◇◇


ギルドでオーク討伐依頼を受け、町を出る。

昨日よりも天気が良く、森へ差し込む木漏れ日が心地いい。


「なんだか緊張しますね。」


リリアが少し笑う。


「初めてのパーティだから?」

「はい。」

「俺も。」


そう答えると、お互い少し笑ってしまった。



森へ入って三十分ほど。気配察知に反応があった。


「止まって。」


小声で言うと、リリアもすぐに立ち止まる。木陰から覗く。

一体のオークが木の実を拾っていた。


「一体ですね。」

「ああ。」


俺は小さく頷く。


「俺が足を狙って動きを止める。」

「はい。」

「倒れたら頼む。」


リリアは背中のフレイルを構えた。


「任せてください。」


二人で静かに距離を詰める。オークはまだ気付いていない。



射程に入った。地面を蹴る。


「グォッ!」


気付いたオークが振り向く。

その瞬間俺は剣を横へ薙いだ。


ザシュッ!


狙い通り、右脚を切り裂く。


「グガァッ!」


体勢を崩したオークが片膝をつく。


「今だ!」

「はい!!」


リリアが勢いよく踏み込んだ。

大きく振り回されたフレイルが唸りを上げる。

鉄球が一直線にオークの顔面へ叩き込まれた。


ゴッッ!!


鈍く、それでいて嫌な音が森に響く。

オークの頭が大きく仰け反り、そのまま地面へ倒れ伏した。


「……うわ。」


思わず声が漏れる。


「絶対痛い……。」

「え?」

「いや、痛そうだなぁ…って。」


思わず苦笑いする。斬るのとはまた違う。

あれは見ていて痛そうだった。

リリアも少し照れくさそうに笑った。


「フレイルってそういう武器ですから。」


俺は倒れたオークを見下ろしながら、小さく頷く。


「頼もしいな。」


その一言に、リリアは少しだけ嬉しそうにはにかんだ。


倒れたオークが完全に動かなくなったのを確認し、俺はゆっくりと剣を鞘へ納めた。


「やりましたね!」


リリアが嬉しそうに笑う。


「打ち合わせ通りにいきましたね。」

「うん。思った以上に上手くいった。」


あれだけ綺麗に連携できるとは思わなかった。

初めて組んだとは思えないくらいだ。


「この調子なら、もう少し狩れそうだな。」

「はい!」



◇◇◇


その後も森を歩き、オークを見つける度に同じような連携で仕留めていく。

俺が脚を狙い、動きを止める。

リリアがフレイルで止めを刺す。

途中、一体だけ予想以上に踏み込みが速いオークがいた。


「グオオォッ!」


横薙ぎに振るわれた棍棒をガントレットで受け流す。

その勢いで腕を少しかすめた。


「っ!」


浅い傷。痛みはあるが問題ない。


「ダイスケさん!」

「大丈夫!」


すぐに体勢を立て直し、足を斬り払う。

バランスを崩したオークへ、リリアのフレイルが唸りを上げた。


ゴッ!!


「……。」


やっぱり痛そうだ。オークを見て顔をしかめる。




◇◇◇


その日の討伐数は五体。

十分な成果だった。

最後のオークを倒した瞬間。


【レベルが上昇しました】


「おっ。レベル上がった!」


俺だけじゃない。


「私もです!」


リリアも嬉しそうに声を上げた。

二人でステータスを確認する。


【ステータス】

名前:ヤスモトダイスケ

レベル:9

加護:均衡成長

スキル:万能適正、武器扱い Lv3、採取 Lv2、解体 Lv2、火魔法 Lv3、水魔法 Lv2、気配察知 Lv1

筋力:34

敏捷:34

体力:34

魔力:34

精神:34

運:34


魔法:リトルファイア、ファイア、ファイアボール、ウォーター、ウォーターカーテン

技:ソードスラッシュ


均衡成長、本当に便利だ。


更に続く


【武器扱いLv4になりました】【採取Lv3になりました】【解体Lv4になりました】


スキルの説明も確認してみる。


【武器扱いLv4】

武器が身体に馴染み、重量を軽減して感じられる。


【採取Lv3】

採取対象を思い浮かべることで、おおよその方向を感じ取れる。


【解体Lv4】

解体すべき位置をより正確に把握でき、素材品質が向上する。


「……。」

「どうしました?」

「いろいろスキル上がったんだけど全部地味。」


思わず本音が漏れた。

リリアがくすっと笑う。


「ダイスケさんらしいじゃないですか。」

「褒められてる気がしない。」

「褒めてますよ?」

「そうかなぁ。」


首を傾げながら剣を抜いてみる。

軽く振る。


「……あれ?」


もう一度振る。


「軽い。」


昨日までと同じ剣なのに、ほんの少しだけ重さが消えたような感覚がある。

ほんの僅か。だけど確かに違う。

試しに連続で振ってみる。風を切る音が少しだけ速くなっていた。


「武器扱いですか?」

「多分。」

「いいじゃないですか。」

「地味だけどね。」

「地味ですけど、戦いでは大きいですよ。」


それは確かにそうだ。

一振りが速くなるだけでも、生き残れる可能性は上がる。



◇◇◇


「そうだ。」


ヒール草を持ち帰ろうと思い、頭の中で草の姿を思い浮かべる。すると…


「あっちかな。」


自然と視線が向く。


「え?」


リリアが俺を見る。


「どうしたんです?」

「なんとなくあっちにありそう。」


視線が向いた先の茂みを探す。


「あった。」


木陰にヒール草が群生していた。

リリアが嬉しそうに笑う。


「採取Lv3になったんですね。」

「分かるの?」

「私も採取Lv3ですから。」


なるほど。


「最初、不思議ですよね。」

「うん。」


まるで誰かが『こっちだ』と教えてくれているような感覚だった。



◇◇◇


オークの解体も始める。ナイフを入れた瞬間。


「……。」


見える。今までよりも、どこへ刃を入れるべきかが自然と分かる。

迷いがない。皮を傷付けず。筋を断ち。魔石も綺麗に取り出せた。


「すごい……。」


リリアが目を丸くする。


「魔石も皮もほとんど傷がありません。」

「そうなの?」

「はい。」


素材を手に取りながら何度も頷く。


「解体Lv4ですね。」

「それも分かるの?」

「薬草学を持ってると素材を見る機会が多いので。」


なるほど。


「ここまで綺麗に解体できる人、そんなにいませんよ。」

「地味だけど嬉しいな。」

「全然地味じゃないですよ。」


素材は綺麗なほど高く売れる。冒険者にはありがたい能力だ。



◇◇◇


「そういえば。」


リリアが俺の腕を見る。


「さっきの傷、そのままでした。」

「あぁ、このくらいなら。」

「駄目です。」


ぴしゃりと言われた。

近くへしゃがみ込み、薬草を数種類摘み始める。


「それ、ヒール草?」

「そうです。」


葉を石の上へ乗せ、小石でもう一つの石を使って丁寧にすり潰す。

そこへ水魔法で少量の水を加えるように言われ、ウォーターを使う。

緑色の軟膏が出来上がった。


「少ししみますよ。」


傷口へ塗られる。


「っ……。」


確かに少しだけしみる。でもすぐに温かさへ変わった。

見る見るうちに傷口が塞がっていく。


「すご……。」

「薬草学Lv4です。」


少し得意げな笑顔。


「ポーションほどじゃないですけど、このくらいなら治せます。」

「便利すぎる。」

「えへへ。」


照れくさそうに笑うリリア。頼もしい仲間だ。



◇◇◇


帰り道。

夕日が森を赤く染めていた。

今日だけでたくさんの経験を積めた。

初めてのパーティ。初めての連携。そして、お互いの成長。


「今日は楽しかったです。」


リリアが笑う。


「ああ。」


俺も自然と笑っていた。

一人で歩く冒険も悪くない。

でも、隣に仲間がいるのも、案外いいものだ。


「明日もよろしくお願いします!」

「こちらこそ。」


こうして俺たちパーティ『フォレストブレス』の最初の一日は、無事に幕を閉じた。

名前:ヤスモトダイスケ

レベル:9

加護:均衡成長

スキル:万能適正、武器扱い Lv4、採取 Lv3、解体 Lv4、火魔法 Lv3、水魔法 Lv2、気配察知 Lv1

筋力:34

敏捷:34

体力:34

魔力:34

精神:34

運:34


魔法:リトルファイア、ファイア、ファイアボール、ウォーター、ウォーターカーテン

技:ソードスラッシュ



名前:リリア

レベル:7

スキル:採取 Lv3、解体 Lv4、鈍器術 Lv1

筋力:18

敏捷:40

体力:22

魔力:28

精神:50

運:49

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ