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普通人が行く異世界冒険記  作者: 豆腐斧
第一章 アルトベルク編

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第二十七話 森で出会った少女

ゲランとゴッソが大荷物を背負っている。


「よっダイスケちょっと依頼行ってくるわ」

「今回はどんな依頼なんだ?」

「護衛兼討伐だ。近くの村をいくつか回る依頼でな。一ヶ月くらいかかるかな」

「結構長めなんだなぁ」

「その間にLv10にしとけよ!次会う頃には王都連れてけるようにな」

「頑張れ」

「1か月で2も上げるのキツくねぇ?」

「やりゃいけんだろ。頑張れよ」

「二人も頑張れよ!気を付けてな」


ゲランは笑いながら手を振る。

そのまま二人は宿を出て行った。食堂が少し静かになる。


「さて」


俺も立ち上がる。Lv10まであと二つ。今日も地道に頑張ろう。


◇◇◇



ゲランとゴッソが出発して数日。

俺はいつものように不帰の森へ来ていた。

ゴブリンを倒す。解体する。オークを探す。薬草を採る。


最近はすっかりこの生活が板についてきた。


「よし、今日はちょっと奥まで行ってみるか。Lv9まではもうすぐかな」


そんな感じで歩いていると──


「きゃあああああああ!!」


森に悲鳴が響いた。

急いで声がする方向に向かう。

木々を抜け、茂みを飛び越える。

金色の長い髪。緑色の瞳。茶色の外套。

胸当てを付けた若い女冒険者だった。

アイアンボアに追いかけられ、全力疾走していた。


「た、助けてぇぇぇ!!」


女の子が木の根につまずく。


「きゃっ!」

「危ない!!」


女の子が転ぶ。その瞬間。


ドゴォォォン!!


アイアンボアが止まりきれず、大木へ激突した。


「え?避けた!?」

「ひぃぃぃぃ!」


女の子が起き上がってまた走る。

今度は石につまずいた。その勢いで横へ転がる。


ドゴン!!

アイアンボアが再度木に激突する。

結果だけ見ればめちゃくちゃ回避が上手い。

本人は完全に事故っているだけだが。


「逆に才能あるだろ……っていやいや、助けないと…!こっちだ!」


アイアンボアに接近し剣を振るうが、硬い毛皮に弾かれる。


「あ!ありがとう!ございます!!」

「いいから!落ち着いて逃げて!舌噛むよ!」


勢いよく踏み込む。


「ソーード!!スラッシュゥゥァァ!!」


力みすぎた。足がもつれる。腰が流れる。体勢が崩れた。


ガキィン!!


「しまった!」


ソードスラッシュを失敗した。ただ強く振っただけの一撃。。

肩口に軽く傷をつけただけになってしまった。

アイアンボアが怒り狂っている。


アイアンボアが怒りに任せて突進してくる。

ギリギリで横へ回避。


ドゴォン!!

また木に激突した。


「…なんか、木、ごめんな…」


そんな事を考えている場合じゃない。

アイアンボアがゆっくりこちらを振り向く。


「よーし、落ち着け…落ち着け俺…」


深呼吸。

ガルド先生の言葉を思い出す。

足。

腰。

肩。

腕。

全部繋ぐ。


「落ち着け…」


アイアンボアが振り向き、再び突進してくる。


今度こそ。


タイミングを合わせる

今だ。


「食らえぇぇぇ!!ソーーーーード!!スラッシュァァァァァァァ!!」


ブォォォォォン!!


手応えが違う。一瞬遅れてアイアンボアの体が真っ二つになった。

そのまま地面へ崩れ落ちる。


ドサッ。


森が静かになった。


「ふぅ……」


ようやく息を吐く。助かった…すると後ろから


「す、すごい……。」


振り返る。

ボロボロの少女が驚きながらこちらを見ていた。


「ありがとうございました!」


勢いよく頭を下げる。


「無事そうでよかった…怪我とかしてない?」


俺も剣を鞘へ納める。

思ったより緊張していたらしい。

手が少し震えていた。少女もその場へへたり込む。


「はぁ……はぁ……」


かなり息が上がっている。

そういえば、めちゃくちゃ走っていたもんな。


「水、飲む?」

「え?」


俺は肩のバッグから木のコップを取り出した。


「ウォーター」


コップへ透明な水が満ちていく。少女の目が丸くなる。


「えっ!?魔法ですか!?」

「うん」

「すごい…!」


コップを受け取り、一気に飲み干す。


「美味しいです!」

「普通の水だけどな」

「井戸水より全然飲みやすいです!」


どうやら気に入ったらしい。


「助かりました。本当にありがとうございます。」

「いや、間に合ってよかったよ」


少し落ち着いたところで聞いてみる。


「それにしても、なんであんな所にいたんだ?」

「あ……」


少女は苦笑いした。


「薬草を採りに来たんです。でも……ちょっと夢中になってたら道が分からなくなっちゃって……」


迷子だった。


「気付いたら知らない場所で…そしたらアイアンボアがいて……

最初は倒そうと思ったんです!一応攻撃もしたんですよ?」


腰に下げた武器を見せる。

鉄球の付いた武器。フレイルだった。


「でも全然効かなくて…逃げるしかなくて……」

「そういう事か。」


納得した。俺でも普通の攻撃が通らないアイアンボアに女の子の力ではさすがに厳しい。




ぐぅぅぅ……

少女のお腹が鳴る。


「……」


顔が真っ赤になった。


「す、すみません……」


タイミングが完璧すぎる。


ぐぅ……


今度は俺のお腹が鳴った。


「……」

「……」


少しだけ沈黙。

少女が吹き出した。


「あはは!」


俺も笑ってしまう。


「焼くか。」

「え?」


俺はアイアンボアへ歩いていく。


「せっかく倒したし。」


◇◇◇


解体はあっという間だった。

切るべき場所が見える。線に沿って刃を入れるだけ。

少女が感心したように声を上げる。


「早いですね!」

「慣れだよ慣れ」


スキルのことはなんとなく伏せてしまった。

血抜きを済ませ肉を切り分ける。

そのまま森の入口近くまで移動した。


「この辺なら安全かな。」


枯れ枝を集める。

指先へ魔力を集める。


「ファイア。」


ボッ。


焚き火へ火が灯る。

少女がまた目を丸くした。


「火も使えるんですか!?」

「一応ね。こっちのが得意かも」


串へ刺した肉を焼く。


ジュウウゥ……


脂が落ちる。香ばしい匂いが広がった。


「いい匂い……」


少女のお腹がまた鳴った。チラりと見ると耳まで赤くなっている。


「はい。」


焼けた肉を渡す。


「いただきます!」


一口。


「お、美味しいーー!!」


思わず立ち上がる勢いだった。


「こんな美味しいお肉初めて食べました!アイアンボアってこんなに美味しいんですね!」

「俺も初めて食べた!かなり旨いな!」


二人で笑う。

焚き火を囲みながら肉を食べる。

さっきまで命懸けだったとは思えないくらい穏やかな時間だった。


◇◇◇


食事も終わり、一息つく。


「そういえば、まだ名前聞いてなかった。」

「あっ!」


少女が慌てて姿勢を正した。


「私はリリアです!二十歳です!」

「俺はダイスケ、二十八歳だよ」

「冒険者ランクはFです!」

「あ、俺と一緒だ。俺もF!」

「Fなのにすごい強いんですね…すごい…」

「以前に友人に手伝ってもらって狩った事があってさ。なんとかなるかなーって」

「私も狩れるようになれたらなぁ…あ、レベルは6です!薬草採取が得意で、将来は薬師になりたいと思ってます!」


元気な子だ。


「俺はレベルは8。剣に関してはギルドの剣術講習で教えてもらったんだ。」

「私も武器の講習受けようかなぁ…」

「結構実践寄りでためになるから受講をおすすめしとくよ」

「そうなんですね…頑張ります!」


リリアは満面の笑みで頷いた。


「今日は本当にありがとうございました。私一人だったら絶対死んでました。」

「たまたま通りかかっただけだよ。」

「それでもです!」


リリアは少しだけ真面目な顔になった。


「お礼、ちゃんとしたいです。」

「別にいいよ。」

「ダメです!命の恩人なんですから!」


そう言われると少し照れる。


「今度、一緒に薬草採取しませんか?私、薬草を見つけるの得意なんです!

ダイスケさんは強いしきっとすごく効率いいですよ!」


少し考える。


薬草採取。

オーク討伐。

確かに悪くない。


「じゃあ今度時間が合えば。」

「本当ですか!」


リリアが嬉しそうに笑う。

その笑顔を見て思う。

明るくてよく喋って少し天然で放っておけない子だ。

おまけに可愛い。


「じゃあとりあえず町まで一緒に帰るか。」

「はい!」


俺たちは並んで歩き出した。

森の中には夕日が差し込み始めていた。

リリア

年齢:20歳

種族:人間

職業:冒険者

身長:159cm

体重:

髪:長めの金髪

瞳:エメラルドグリーン

利き手:右

装備:フレイル・バックラー・革の胸当て・マント

趣味:薬草採取・薬学の勉強

好きなこと:野原でぼーっとする

性格:明るくよく喋る。少しドジで天然な部分がある。

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