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普通人が行く異世界冒険記  作者: 豆腐斧
第一章 アルトベルク編

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第二十四話 次の目標

新しいブーツを買ったその晩、俺はいつものように宿の食堂でエールを飲んでいた。

向かいにはゲラン。隣にはゴッソ。最近はこの席が定位置になりつつある。


エールを一口飲む。


「なぁゲラン、王都ってどんな所なんだ?」


ゲランが少し驚いた顔をした。


「急だな」

「ちょっと気になって」


異世界に来て二ヶ月近く。この町にも慣れてきた。もちろん嫌いじゃない。

でも、少しくらい別の場所も見てみたい。

そんな気持ちが芽生えていた。


ゲランは少し考えた。


「人が多いな。めちゃくちゃ多い。多すぎるくらいだ。」

「そんなにか」

「通りも人でごった返してるし移動するだけで疲れるぞ」


都会が苦手らしい。


「だが女は綺麗だな。みんなオシャレだしなんでかセクシーな子が多いぜ」


ゲランが真顔で言う。


「飯も美味いところが多いな。店が多いからマズイところはすぐ潰れるんだろうな」

「説得力あるな」

「市場も大きいぜ?武器も防具もこの町とじゃ比べ物にならねぇ」

「ほう…」

「酒も美味い。種類も多いし飲み屋もたくさんあるな」


だんだんゲランの趣味が見えてきた。

隣でゴッソが頷く。


「飯は美味い」


どうやらそこは同意らしい。


「冒険者も多いのか?」

「多いぜ。これも多すぎるくらいだ。ギルド本部もあるしな」


それはちょっと興味がある。

俺の知っている冒険者ギルドはここだけだ。

本部なんて少し見てみたい。


「じゃあ依頼も多いのか?」


するとゲランが首を振った。


「討伐依頼は少ない」

「え?」


意外だった。


「騎士団が安全のために周辺の魔物を掃除してるからな」


なるほど。

王都周辺は安全らしい。


「採取とか護衛とか運搬が多いな」

「へぇ」


思っていたのと少し違う。

もっと魔物だらけかと思っていた。


その時。

ゴッソが口を開いた。


「今は無理だろう」

「ん?」

「王都に行くには、な。」


短い。

だが意味は分かった。


「やっぱり危ない?」


ゴッソが頷く。


「道中」

「遠いしな。途中に出る魔物もオーガクラスが普通だ」

「どれくらい強ければ行ける?」


二人が顔を見合わせる。


「「最低でもLv10」」


声が揃った。


「そんなもんか」

「そんなもんだ」


ゲランが笑う。


「そうだな。ダイスケのLvが10超えたら連れてってやるよ」

「マジで?」

「ああ」


それは魅力的だった。

王都。ギルド本部。美味い飯。綺麗な女性。

最後のはともかく。

少し行ってみたい。


「じゃあ次の目標はLv10だな」


そう呟くとゲランが笑った。


「コツコツ頑張れよ」


ゴッソも頷く。


「頑張れ」


◇◇◇


翌日、俺は不帰の森へ来ていた。

今ではオークが出る辺りまでは普通に来られる。

少し前なら考えられなかった。


「さて」


剣を抜く。

まずはゴブリンだ。Lv10になるには経験を積まなければならない。

地道にコツコツと。俺らしいやり方で。


◇◇◇


ゴブリンを見つける。

近付く。首を狙う。斬る。終わり。

以前なら命懸けだった相手だったが今では落ち着いて対処できる。

もちろん油断はしない。ゴブリンのナイフだって当たれば危険なんだ。


だが、確実に強くなっていた。

解体も同じだ。最初は吐きそうだった。

今も気持ち悪くない訳ではない。だが慣れた。

人間とは恐ろしい生き物である。


魔石を取り、埋める。そしてまた歩く。

日が傾き始めたらオークを探して狩る。

解体し、血抜きした肉を持って帰って納品する。


そんな日々が続いた。


◇◇◇


三日経った。

気付けばゴブリン討伐は作業になっていた。

森へ行く。狩る。解体する。一日の締めにオークを狩る。帰る。

繰り返し。繰り返し。

自分で決めたノルマを達成するまで続ける。

会社員時代のクセがこんな所で活きるとは思わなかった。


四日目の最後の締め。オークが吠え、突っ込んでくる。

俺は避ける。剣を振る。脇腹。腕。首。

連続で傷を付ける。オークが体勢を崩す。

首へ剣を叩き込む。ドサリとオークが倒れる。


「よし」


【レベルが上昇しました】


「おお!」


思わず声が出た。レベルアップだ。

いつものように急いでステータスを開く。


【ステータス】

名前:ヤスモトダイスケ

レベル:8

加護:均衡成長

スキル:万能適正、武器扱い Lv2、採取 Lv2、解体 Lv2、火魔法 Lv3、水魔法 Lv1、気配察知 Lv1

筋力:31

敏捷:31

体力:31

魔力:31

精神:31

運:31

魔法:リトルファイア、ファイア、ファイアボール、ウォーター



更に続く

【解体Lv3になりました】【武器扱いLv3になりました】【水魔法Lv2になりました】


【解体Lv3】

解体時、切るべき箇所が薄い線となって見える。


【武器扱いLv3】

命中補正+10

敵の急所が大まかに分かる。


【水魔法Lv2】

ウォーターカーテンを習得。

小規模な火属性魔法を防ぐ。

物理攻撃は防げない。


「おお……」


どれも地味だ。地味だが凄く便利そうだった。

俺は少しだけ笑う。Lv10まであと2。

遠いような近いような。

でも王都には行ってみたい。

そのためにも、もう少し頑張ろう。そう思った。


とりあえずはオークの解体だ、とオークを見たその瞬間だった。

視界に薄い線が見えた。


「ん?」


肉の境目。筋。関節。切るべき場所。

そこだけが妙に分かりやすい。

試しに線に沿って刃を入れる。驚くほど綺麗に切れた。


早い。そして楽だ。


「なんだこれ」


解体を続ける。終わる。いつもよりかなり早かった。


「解体のLv3すげぇな…いつもの半分くらいの時間しかかかってないんじゃ…?」



◇◇◇


帰る道中、ゴブリンに出くわした。せっかくだし新魔法、試してみるか。


「ウォーターカーテン!」


俺とゴブリンの間に薄い水の膜が現れる。

しかしゴブリンのボロナイフ一振りでカーテンは切り裂かれた。

物理攻撃は防げないどころか触れるだけで消えるみたいだ。

バックステップでゴブリンと距離を取り、剣を構えた。


「ん?」


なんだろう、首。心臓。脇腹。

自然と視線が向く。ここを狙えば倒せる。そんな感覚が頭に浮かんだ。


「これが武器扱いLv3の効果なんだろうか?」


危なげなく急所を突きゴブリンを倒す。

これはかなり凄いんじゃないか?

明日オーク相手にも試してみよう。


レベルアップの喜びに疲れを忘れ

軽い足取りで帰路についたのだった。

【ステータス】

名前:ヤスモトダイスケ

レベル:8

加護:均衡成長

スキル:万能適正、武器扱い Lv3、採取 Lv2、解体 Lv3、火魔法 Lv3、水魔法 Lv2、気配察知 Lv1

筋力:31

敏捷:31

体力:31

魔力:31

精神:31

運:31

魔法:リトルファイア、ファイア、ファイアボール、ウォーター、ウォーターカーテン

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